蒸留は液体の気化しやすさの違いを利用し分離濃縮する精製技術です。蒸留設備を構成する蒸留塔、ポンプ、コンデンサー、制御機器などの要素を解説します。
蒸留機器
蒸留には蒸留塔が必要不可欠です。
蒸留塔
効率的に蒸留をするための塔形状の蒸発設備です。

中には棚板もしくは充填物が入っており何度も気液接触できるような構造として考案されました。
プレヒーターにて予熱された原料は塔の中段から供給されます。
まず底部の加熱機器(リボイラー)で塔内の液を加熱蒸発させ立ち昇らせます。
その蒸発気体と上段の液を接触させることで気体の潜熱を利用して液が蒸発します。
これを段々と上部に向かって熱交換を繰り返すことで純度の高い低沸点成分を1塔から得ることが出来ます。
塔の中身には棚段と充填物の2つがあり、違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 棚段塔 | 充填塔 |
|---|---|---|
| 気液の触れ方 | トレイの上にためた液に、下から蒸気を通す | 充填物の表面を膜状に流れ落ちる液と、すき間を通る蒸気が触れる |
| 主な種類 | 泡鐘トレイ、多孔板(シーブ)トレイ、バルブトレイ | 規則充填物、不規則充填物 |
| 圧力損失 | 大きい | 小さい |
| 塔径 | 下の段へ液を流すダウンカマーの場所が要る | ダウンカマーが要らないぶん小さくできる |
圧力損失が小さい充填塔は、真空蒸留など熱に弱い物質の蒸留に向いています。
送液機器
蒸留工程では使用する機器が多岐に渡ります。
それらを繋ぐために送液機器が重要な役割を果たします。
ポンプ
ポンプは原料の送液に始まり、製品の送液や液の循環に利用されます。
レシーバー
レシーバーは塔頂にて凝縮した液を溜める機器です。
また未凝縮の蒸気も分離する役割があります。
レシーバーに溜まった液の一部を蒸留塔へ戻すことで、蒸留の分離効率を向上させます。
この操作を還流と呼びます。
加熱冷却機器
蒸留は加熱して蒸気に、その蒸気を凝縮して収集する操作です。
様々な加熱冷却機器を使用します。
コンデンサー
コンデンサーは蒸留塔の塔頂部の蒸気を凝縮するために利用されます。
つまり気体を液体にする役割があります。
プレヒーター(原料予熱器)
プレヒーターは蒸留塔へ投入する液を事前加熱するために利用されます。
基本的に液体のままで相変化しない程度に加熱します。
リボイラー
リボイラーは蒸留塔の底部の液を再加熱するために利用されます。
つまり液体を気体にする役割があります。
リボイラーには、塔底の液の回し方でいくつかの型があります。
| 型 | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| サーモサイホン式 | 塔底の液と、加熱されて軽くなった気液の密度の差で、ポンプを使わずに液が回る | 設備費と運転費が安い。運転条件が安定していることが前提 |
| ケトル式 | 大きな胴にためた液に管の束を沈めて沸かす。堰で管の束が液に浸かった状態を保つ | 構造が簡単で信頼性が高い |
| 強制循環式 | ポンプで塔底の液を回す | 粘い液や汚れやすい液に向く |
圧力調節機器
物質の沸点は圧力によって変化します。
高沸点物質は減圧、低沸点物質は加圧することで効率的に蒸留が可能になります。
真空ポンプ
扱う物質の沸点が高い場合、もしくは加熱により分解してしまう場合は真空状態で蒸留します。
蒸気の発生量が多い場合には排気速度を上げることができるメカニカルブースターポンプ(別サイト)を併用します。
蒸気圧縮機
扱う物質の沸点が低い場合、加圧により沸点を上げて蒸留します。
例えば常温常圧で気体のプロパンやブタンが挙げられます。
また塔頂のガスを圧縮し温度を上げ、リボイラーの熱源として活用する場合があります。
制御機器
蒸留設備は規模も大きく、センサーデータを基に様々な制御を行います。
DCS
DCSは蒸留設備全体を制御するための機器です。
制御だけでなく監視・操作の役割も担っています。
大規模制御が可能であり、設備の稼働停止が起きにくいことや万が一故障しても全体に影響が広がりにくい特徴があります。
センサー
温度計や圧力計、流量計、レベル計が代表的なセンサーです。
製品によっては粘度や濁度、pHなど管理する指標に応じたセンサーが使用されます。
このような製造工程中に測定するセンサーはインラインセンサーと呼ばれます。
コントロールバルブ
配管の流量制御にはコントロールバルブを使用します。
センサーと組み合わせることで目的の流量・温度・圧力などに系内を制御する役割です。
電気だけでなく空気圧でも開度を調節できるものがあり、防爆環境でも使用できます。







