熱交換器の種類

2022年6月30日

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熱交換器熱交換効率サイズメンテナンスコスト備考
多管式××高温高圧〇
二重管式××配管にも適用
コイル式×タンク内にも適用
プレート式高温高圧×
スパイラル式××内部が汚れにくい
ジャケット式×××タンク用
フィンチューブ式×気体接触用
熱交換器の特徴比較



管を用いた熱交換器

まずは管内に流体を通して熱交換する方式を解説します。

多管式(シェルアンドチューブ)

多管式熱交換器は円筒シェルと複数のチューブ(チューブバンドル)間で熱交換する機構です。

シェルアンドチューブや円筒多管式などとも呼ばれます。

シェル側の内部にはバッフルプレートが設けてあり、流路が長くなるように設計されています。

熱交換能力を上げやすいこと、圧力温度の適用範囲が広いことが特徴です。

一方で構造が複雑なためメンテナンス性が悪いことが挙げられます。

多管式の詳細分類

二重管式

二重管式は1本の管(内管)の周囲に別流体が流れるよう2層目(外管)が設けられた非常に単純な構造です。

配管にも適用できる構造で、温度維持や加熱のために用いられています。

コイルやU字など様々な形状で設計できることが特徴です。

ただし伝熱面積を稼ぎづらく、工業的には比較的小容量の熱交換に用いられます。

コイル式

片側の流体をコイル状に巻いた管の中を通し、もう片側の流体に接触させる構造です。

またコイルを巻くだけと単純な構造である点が特徴です。

液体に浸け込んだり気体に接触させたりと広く使用できます。

タンク内にも入れることができ、加熱冷却用途で用いられます。

板を用いた熱交換器

次に板を加工して流路を作成した熱交換器の構造を解説します。

プレート式

プレート式は凹凸にプレス加工されたプレートを複数枚重ね合わせた構造です。

1層ごとに高温側⇒低温側⇒高温側と交互に流れており、プレート面で熱交換します。

軽量で小サイズながらも高い熱交換効率が得られる特徴があります。

プレート枚数を調節することで伝熱面積は自在に変えることができます。

ただし構造上、高圧条件では使用できず圧力損失も比較的大きいデメリットが挙げられます。

スパイラル式

スパイラル式は2流体の流路を渦巻状に形成した構造です。

スケールが付着した場合は流速の増加に伴い自動で洗浄できることが特徴です。

そのため他の熱交換器に比べて汚れによる性能低下がありません。

ただしメンテナンス性が良くありません。

また構造は単純なものの製造が難しく、高価になってしまいます。

ジャケット式

タンクの周囲に加熱冷却媒体が通る層を設けます。

タンク外表面から熱伝導させるため、容量が大きくなると効率が悪くなってしまいます。

もしくは細長いタンクにして高さを稼がなくてはなりません。

様々なタンクジャケット

フィンチューブ式

フィンチューブ式はチューブの外周に大量のフィンが付いた構造をしています。

主に外気との熱交換で使われます。

フィンの効果でチューブ単体に比べて伝熱面積が広くなる単純な原理であることが特徴です。

構造によってクロスフィン、プレートフィン、コルゲートフィンなど種類があります。

その他の熱交換機構

熱交換にはこれまで挙げた熱伝導を主とする方式以外にもあります。

ヒートポンプ

ヒートポンプは循環する冷媒の圧縮・凝縮に伴う加熱冷却を利用しています。

以下のサイクルで外部との熱交換を繰り返します。

  1. 冷媒を膨張(温度低下)させて熱源から吸熱する
  2. 冷媒が循環して圧縮機へ
  3. 冷媒を圧縮(温度上昇)させて別の加熱源へ放熱する
  4. 冷媒が循環して膨張弁へ

省エネ機器として特に注目されています。

ただし通常のヒートポンプでは100℃程度までの温度でしか利用できません。

クーリングタワー(冷却塔)

水を始めとした液体を大気と送風機で接触させて冷却させます。

気体との熱交換だけではなく液体の気化熱(蒸発熱)も含めて冷却に使用している点が特徴です。

屋外の循環冷却水に使用されます。

クーリングタワー参考

参考資料

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・伝熱工学 (JSMEテキストシリーズ)

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