インラインセンサーの種類と用途

2021年10月27日

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インラインセンサーは配管やタンクで直接測定が行えるセンサーです。

分析の種類

  • インライン分析:配管やタンクで直接分析
  • オンライン分析:自動でサンプリングして分析
  • オフライン分析:サンプルを取得して試験室で分析

プロセス制御においては温度計、流量計、圧力計が特に用いられます。

その他にも液面レベルや粘度、密度、濁度、濃度など様々な測定がインラインで可能です。

製造現場で測定することによる3つの特徴があります。

インラインセンサーの特徴

  • 品質管理工数の削減
  • リアルタイム計測
  • 時系列データ取得



インラインセンサーとは

インラインセンサーのインラインとは何を意味するのでしょうか。

まずは基本事項から解説します。

測定方法

インラインセンサーは一般的にライン、つまり配管やタンクで直接測定が行えるセンサーです。

多くはフランジやヘルールで配管やタンクに取り付けて使用されます。

管理された試験室とは違い様々な環境でリアルタイムに測定できることが求められます。

また多くのセンサーは4-20mAのアナログ形式でDCSやPLCに入力できる機能を有しています。

現在では電池駆動式や無線伝送式など省配線機能を持つインラインセンサーも多数販売されるようになりました。

インラインセンサーを用いた分析はインライン分析と呼びます。
対して自動でサンプリングして分析する際はオンライン分析、サンプルを取得して試験室で分析する際はオフライン分析と呼びます。

プロセス制御で有名な3大測定機器

昔から流体を制御する際に3つのセンサーの値を参考に制御が行われてきました。

それが温度計、流量計、圧力計です。

当たり前に使用されすぎて呼ばれることは無いですが、これらもインラインセンサーです。

他にもIoTの流れを受けて試験室で計測するような評価指標もインラインで計測できるようになりました。

後ほど紹介します。

用途

インラインで測定ができるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここではインラインセンサーの用途について解説します。

品質管理工数の削減

インラインセンサーはサンプリングが要らず、完全自動で測定できます。

検査室で測定する必要が無くなるため品質管理工数は大幅に削減できます。

リアルタイム計測

インラインで測定できるからこそ、今どのような状態であるか温度や圧力などと同様にリアルタイムで計測ができます。

品質管理項目を常に測定できることからトレーサビリティの強化にも繋がります。

時系列データ取得

これまでは製品ロットごとに単発測定されていた品質管理項目を時系列データとして大量に収集することが出来ます。

インラインセンサーの結果を用いた新たなソフトセンサーの開発にもつなげることが出来ます。

代表的なインラインセンサー

温度計、流量計、圧力計の他にも様々なインラインセンサーが存在しますので紹介します。

これを参考に皆さんの製造ラインにも組み込めないかぜひ検討してみてください。

レベル計

タンクの液面高さを測定します。

多くの測定原理があり、接触・非接触どちらでも対応可能です。

インラインセンサーと言えばレベル計測

粘度計

流れの粘性抵抗から粘度を測定します。

タンクで使用する場合は撹拌することで測定することが出来ます。

密度計

インラインでは特に振動式の密度が使用されます。

測定方法によってセンサー内へのU字のチューブ内蔵の有無が変わります。

濁度計

液体の中に含まれている懸濁粒子濃度を測定できます。

特に水中の油分といった環境測定用途で用いられます。

濃度計

有機溶剤や炭酸イオンなど流体中に含まれる特定成分の濃度を測定できます。

液体だけではなく気体中の特定ガス濃度を測定することもできます。

屈折式、密度式、音速式など種類が多いため注意が必要です。

注意点

インラインセンサーは魅力的ですが、インラインだからこその注意点がいくつかあります。

測定精度

インラインで高速に測定するという制約上、測定精度は卓上機器よりも劣ることが多いです。

測定方式によっても適応流体や精度が大きく異なりますので事前の確認は必須です。

使用可能温度

インラインセンサーは測定機器です。

正常動作ができる流体温度や環境温度が定められてます。 

推奨流速、推奨流量

配管に取り付けるタイプのインラインセンサーは配管の流量や流速に影響を受けることがほとんどです。

それは検出時間や検出可能量が当然センサーごとに設けられているためです。

場合によっては濃度分布の発生する可能性がある層流では使用できない場合もあります。

防爆

インラインセンサーは製造現場に設置します。

温度計や流量計と同様に防爆エリアでは防爆対応機器の選定が必須になります。

欲しい計測器がある場合は対応しているかどうかを必ず確認しましょう。

代表的なメーカー

ここまでインラインセンサーの特徴について解説しました。

市場には今回紹介したセンサーの他にも多種多様なインラインセンサーが存在します。

以下の代表メーカーを参考にすると目的のセンサーが見つかるかもしれません。

株式会社アントンパール・ジャパン

株式会社アントンパール・ジャパンはオーストリアのアントンパール社の日本法人です。

インライン密度計や濃度計、屈折率計などを取り扱います。

日本カンタム・デザイン株式会社

日本カンタム・デザイン株式会社はアメリカのカンタム・デザイン社の日本法人です。

インライン吸光度計や濁度計、pH計などを取り扱います。

横河電機株式会社

横河電機株式会社DCSやPLCなどの他にプラント用計測機器に強い特徴があります。

インラインpH系や赤外分光計、レーザーガス分析計などを取り扱います。

オススメ書籍

・現場エンジニアのための電気の実務がわかる本

現場で使う電気の知識が解説されています。
トラブルシューティングや保全についても記載されているため実用向きです。

現場エンジニアのための電気の実務がわかる本―もう現場でつまずかないズバリ答える50の疑問!
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・工業計測と制御の基礎

まず計装の勉強をする際はこの本が一番です。
センサーやバルブ、制御方法、計装システムの作り方まで広く解説されています。

工業計測と制御の基礎―メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる
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