層流と乱流
配管内における流体の流れ方は、流速や粘度によって変化します。
大きく層流と乱流に分かれます。
層流
流体の各部分が流れ方向に平行である流れを層流と呼びます。
例えば水が配管内を低速で流れる時や高粘度流体を扱うときに見られます。
水が流れる配管中にインクを混入させた場合、流れに逆らわず進んでいきます。
乱流
流体の各部分が互いに入り乱れている流れを乱流と呼びます。
例えば水が配管内を高速で流れる時に見られます。
水が流れる配管中にインクを混入させた場合、周囲と入り乱れながら進んでいきます。
レイノルズ数
配管内における流体の流れが層流か乱流かどうかはレイノルズ数によって判定できます。
後述しますが、レイノルズ数以外に配管構造によっても流れは変化します。
計算式
レイノルズ数は以下の計算式で求められます。
単位のない無次元数です。
レイノルズ数$$\frac{D u \rho}{\mu} $$D:配管内径[m]、u:流速[m/s]、ρ:密度[kg/m3]、μ:粘度[Pa・s]
式の意味するところ
レイノルズ数は流体の慣性力と粘性力の比を表しています。
分子が慣性力、分母が粘性力を表します。
- 慣性力:流れ続けようとする力(質量×加速度)
- 粘性力:流れを留めようとする力(せん断力×面積)
層流と乱流の判定
おおよそレイノルズ数が2300以下で層流、4000以上で乱流となります。
また層流から乱流に変化する時のレイノルズ数は臨界レイノルズ数Recと呼ばれ、2300程度だとされています。
更に層流から乱流に変化する過程(2300~4000)での流れを遷移流と呼びます。
これら数値は書籍によりバラツキはありますが、概ねこのあたりの数値で表現されています。
つまり層流においては粘性力が、乱流においては慣性力が流れを支配していると考えられます。
レイノルズ数だけではない流れの状態
層流や乱流はレイノルズ数だけでは判断できない条件もあります。
主に流体が流れる時の構造に起因します。
配管流れ
配管の内壁が粗い場合や曲がりの多い配管の場合、低いレイノルズ数でも乱流になります。
流れの中で渦が発生することが原因です。
またポンプの必要動力を計算する際には、この渦によるエネルギー損失を考慮しなければなりません。
撹拌
撹拌において、マドラーで混ぜる時のように綺麗な渦が出来てしまうと効率よく撹拌はできません。
そのためタンク内壁面にバッフル(邪魔板)と呼ばれる板を取り付け、流れを遮ることで乱流状態にします。
オススメ書籍
・明解入門 流体力学(第2版)
少し慣れてきて、流体の勉強を頑張りたいときにオススメです。
ページ数が少ないものの丁寧に解説されています。
-
明解入門 流体力学(第2版)
www.amazon.co.jp
・化学工学ー解説と演習ー
化学工学を勉強したい!と思ったら真っ先にオススメしたい書籍です。
他の汎用化学工学書籍には無い「撹拌動力計算」や「撹拌伝熱計算」も記載されています。
-
化学工学―解説と演習ー
www.amazon.co.jp
・化学プラント配管設計の基本
伝熱の種類、熱伝導の計算、熱交換器の種類について記載されています。
その他、化学工学の基本事項が解説された後、それらを踏まえて化学プラントにおける配管設計の基礎から詳細に解説される書籍です。
この1冊で配管設計を一通り勉強できます。
-
化学プラント配管設計の基本―配管技術者への道しるべ
www.amazon.co.jp