【ファニングの式】配管と流体の摩擦損失を計算

2022年8月16日 広告

配管内壁と流体の間には摩擦によるエネルギー損失が発生します。

その損失量は圧力損失としてファニングの式より見積もることができます。

ファニングの式$$ \Delta P = 4f \left( \frac{\rho u^2 }{2} \right) \left( \frac{L}{D} \right)$$ΔP:圧力損失[Pa]、f:管摩擦係数[-]、ρ:密度[kg/m3
u:流速[m/s]、L:配管長さ[m]、D:配管内径[m]

ファニングの式を使用するにあたり管摩擦係数fの値が必要となります。

層流/乱流、配管内壁の粗さ、レイノルズ数から適当な式を用いて計算します。

ただしプラントル・カルマンの式およびコールブルックの式の式は両辺に管摩擦係数fの項を持つ式であるため、Excelのゴールシーク機能などを用いて計算します。

流れの状態配管内壁粗さレイノルズ数Re計算式名
層流関係なし層流域ハーゲン・ポアズイユの式
乱流平滑管103~106ブラジウスの式
乱流平滑管106~108ニクラゼの式
乱流平滑管103~108プラントル・カルマンの式
乱流粗面管乱流域コール・ブルックの式
管摩擦係数の計算式選択

ファニングの式

配管内を流体が流れる時、摩擦によるエネルギー損失が発生します。

その時のエネルギー損失量を圧力で表した圧力損失を求める式が一般に用いられます。

ファニングの式は配管長さに対する圧力損失の量を見積もることができます。

計算式

ファニングの式は以下の通りです。

ファニングの式$$ \Delta P = 4f \left( \frac{\rho u^2 }{2} \right) \left( \frac{L}{D} \right)$$ΔP:圧力損失[Pa]、f:管摩擦係数[-]、ρ:密度[kg/m3
u:流速[m/s]、L:配管長さ[m]、D:配管内径[m]

圧力損失は密度を用いることで水頭(ヘッド)としても表現することができます。

その際、圧力損失ではなく損失ヘッドと呼びます。

損失ヘッドへの変換$$ h= \frac{\Delta P}{\rho g}$$h:損失ヘッド[m]、ΔP:圧力損失[Pa]
ρ:密度[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2

(関連式)ダルシーワイズバッハの式

圧力損失を求める式にはファニングの式の他にダルシーワイズバッハの式があります。

この式は管摩擦係数を4fからλに表記を変えたファニングの式です。

そのため式の意味や利用目的は同じです。

ダルシーワイズバッハの式$$ \Delta P = \lambda \left( \frac{\rho u^2 }{2} \right) \left( \frac{L}{D} \right)$$ΔP:圧力損失[Pa]、λ:管摩擦係数[-]、ρ:密度[kg/m3
u:流速[m/s]、L:配管長さ[m]、D:配管内径[m]

層流における管摩擦係数

層流の場合は非常に分かりやすく簡便に計算できます。

ハーゲン・ポアズイユの式

層流の場合はハーゲン・ポアズイユの式を用います。

層流の場合は配管内の面粗さは考慮しません。

ハーゲン・ポアズイユの式$$ \Delta P = \frac{32 \mu Lu}{D^2} $$ΔP:圧力損失[Pa]、μ:粘度[Pa・s]
L:配管長さ[m]、u:流速[m/s]、D:配管内径[m]

「ハーゲン・ポアズイユの式」を「ファニングの式」に代入すると、管摩擦係数fを求める式が得られます。

層流における管摩擦係数$$f = \frac{16}{Re} $$f:管摩擦係数[-]、Re:レイノルズ数[-]

乱流における管摩擦係数

乱流における管摩擦係数は配管内壁の粗さを表す相対粗度(ε/D)によって用いる式が変わります。

εは配管内壁の凹凸の平均高さ、Dは配管内径を表します。

平滑管は相対粗度(ε/D)がゼロに限りなく近い、つまりεがほぼゼロであるときを意味します。

例えばガラス管やアクリル管において利用される場合があります。

対して面粗さのある管は粗面管と呼びます。

鋼管などプラントで使用する多くの管は粗面管に該当します。

3,000<Re<100,000、平滑管の場合(ブラジウスの式)

平滑管でレイノルズ数が10万以下の時はブラジウスの式を用います。

ブラジウスの式$$ f = 0.0791 Re^{-1/4} $$f:管摩擦係数[-]、Re:レイノルズ数[-]

100,000<Re<3,000,000、平滑管の場合(ニクラゼの式)

平滑管でレイノルズ数が10万以上の時はニクラゼの式を用います。

ニクラゼの式$$ f = 0.0008+0.05525 Re^{-0.237} $$f:管摩擦係数[-]、Re:レイノルズ数[-]

3000<Re<3,000,000、平滑管の場合(プラントル・カルマンの式)

プラントル・カルマンの式は、ブラジウスの式やニクラゼの式に比べてレイノルズ数の適用可能範囲が広いことが特徴です。

ただし両辺に管摩擦係数fの項があるため簡単に計算することはできません。

例えばExcelのゴールシーク機能を用いて求めることができます。

プラントル・カルマンの式$$ \frac{1}{\sqrt{f}} = 4.0 \log_{10} (Re \sqrt{f})-0.4$$f:管摩擦係数[-]、ε:配管粗さ[m]
D:配管内径[m]、Re:レイノルズ数[-]

粗面管の場合(コールブルックの式)

粗面管の場合はコールブルックの式を用います。

プラントル・カルマンの式と同様に、両辺に管摩擦係数fの項がありExcelのゴールシーク機能などを用いて計算します。

コールブルックの式$$ \frac{1}{\sqrt{f}} = -4 \log_{10}{ \left\{ \frac{1}{3.7} \left( \frac{ \epsilon }{D} \right) + \frac{1.255}{Re \sqrt{f}} \right\} }$$f:管摩擦係数[-]、ε:配管粗さ[m]
D:配管内径[m]、Re:レイノルズ数[-]

ムーディー線図

ムーディー線図はレイノルズ数と相対粗度から管摩擦係数λ(もしくは4f)が分かる表です。

層流においてはハーゲン・ポアズイユの式、乱流においてはコールブルックの式が用いられています。

化学工学関係の多くの書籍にムーディー線図が載っていますので参考にしてみてください。

参考資料

・明解入門 流体力学(第2版)

少し慣れてきて、流体の勉強を頑張りたいときにオススメです。
ページ数が少ないものの丁寧に解説されています。

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オススメ書籍

・化学工学ー解説と演習ー

化学工学を勉強したい!と思ったら真っ先にオススメしたい書籍です。
他の汎用化学工学書籍には無い「撹拌動力計算」や「撹拌伝熱計算」も記載されています。

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・化学プラント配管設計の基本

伝熱の種類、熱伝導の計算、熱交換器の種類について記載されています。
その他、化学工学の基本事項が解説された後、それらを踏まえて化学プラントにおける配管設計の基礎から詳細に解説される書籍です。
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化学プラント配管設計の基本―配管技術者への道しるべ
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