「トリチェリの定理」の考え方

化学工学/流体の基礎流体の基礎の4本目(全7本)公開更新広告

トリチェリの定理はベルヌーイの定理から導かれる代表的な近似式です。

トリチェリの定理

$$u_2=\sqrt {2gz}$$

式は横にスクロールできます

g:重力加速度[m/s2]、z:液面高さ[m]、u2:排出口流速[m/s]

タンクの側壁に液面から0.5m、1m、2mの深さの穴が3つある。矢印の長さが流出速度を表し、深い穴ほど長く、3.1、4.4、6.3 m/sになる
液面から穴までの深さ z が深いほど流れ出る速さ u₂ は大きい(矢印の長さが速さ)
この記事の内容
  1. ベルヌーイの定理を確認
  2. トリチェリの定理を導出
  3. 関連記事

ベルヌーイの定理を確認

ベルヌーイの定理は位置エネルギー、圧力エネルギー、速度エネルギーの和が一定になることを示したものです。

この式を基本にトリチェリの定理は考えられます。

ベルヌーイの定理[J/kg]

$$gz+\frac{P}{\rho}+\frac{ \ u^2 \ }{2}=一定$$

式は横にスクロールできます

ρ:密度[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]
P:圧力[Pa]、u:速度[m/s]

ベルヌーイの定理の考え方

トリチェリの定理を導出

タンクの底部側面から液が排出される場合を考えます。

液面は排出口からz[m]の高さにあり、液体の密度はρ[kg/m3]とします。

上が開いたタンク。①液面は大気圧P1で断面積A1が大きく流速u1は約0。②排出口は側壁の下部にあり大気圧P2で、小さい穴から流速u2で流れ出る。液面から穴の高さがz
①液面と②排出口はどちらも大気圧。A₁ が大きいので u₁ ≒ 0 とみなせる

ベルヌーイの定理を適用

タンク液面と排出口におけるベルヌーイの定理式は以下のように表現できます。

①液面、②排出口におけるベルヌーイの定理式

$$gz+\frac{P_1}{\rho}+\frac{ \ u_1^2 \ }{2}=\frac{P_2}{\rho}+\frac{ \ u_2^2 \ }{2}$$

式は横にスクロールできます

ρ:密度[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]
P:圧力[Pa]、u:速度[m/s]

圧力は等しい

タンク液面と排出口は共に大気に接しています。

そのため両位置にかかる圧力はどちらも大気圧です。

圧力を共通のPに変更

$$gz+\frac{P}{\rho}+\frac{ \ u_1^2 \ }{2}=\frac{P}{\rho}+\frac{ \ u_2^2 \ }{2}$$

式は横にスクロールできます

ρ:密度[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]
P:圧力[Pa]、u:速度[m/s]

これにより圧力エネルギーに関する項(P/ρ)を削除できます。

圧力エネルギーの項を削除

$$gz+\frac{ \ u_1^2 \ }{2}=\frac{ \ u_2^2 \ }{2}$$

式は横にスクロールできます

g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]、u:速度[m/s]

断面積を比較する(連続の式)

ここで連続の式について考えます。

連続の式は流体における質量保存則です。

密度を一定と考えれば配管断面積と流速が反比例します。

連続の式

$$A_1 u_1=A_2 u_2$$

式は横にスクロールできます

A:断面積[m2]、u:速度[m/s]

タンク液面と排出口の断面積を比較してタンク液面側の方が圧倒的に断面積が大きいと考えます。

その時、タンク液面側の流速はゼロとみなすことができます。

今回の場合はu1が該当します。

液面側の流速をゼロに近似

$$gz=\frac{ \ u_2^2 \ }{2}$$

式は横にスクロールできます

g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]、u:速度[m/s]

最後に出口流速を求める

タンク液面側の流速をゼロに近似したことで分かりやすい式に変化しました。

最後に式変形して排出口における流速を求めます。

これがトリチェリの定理です。

トリチェリの定理

$$u_2=\sqrt {2gz}$$

式は横にスクロールできます

g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]、u:速度[m/s]

横軸が液面高さz(0〜3m)、縦軸が排出口流速u2のグラフ。u2=√(2gz)の曲線は右上がりで、zが2mで6.3 m/s、1mで4.4 m/s。液面が下がると流速は小さくなる
u₂ = √(2gz) のグラフ。液面が下がるほど流速は小さくなる(例:z = 2 m → 1 m で 6.3 → 4.4 m/s)

関連記事

ベルヌーイの定理の考え方

連続の式による流体の質量保存則

計算に重要な"理想流体"の考え方

流体の基礎の前後の記事

関連する書籍

執筆・監修のご依頼は、ご相談のページで受け付けています。