潤滑油やグリースを使う意味

2022年1月19日

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潤滑油やグリースには以下の役割があります。

潤滑油やグリースを使う意味

  • 機械的損失を減らす
    • 機械的損失を減らす
    • 摩擦を減らす
    • 冷却する(潤滑油のみ)
    • 応力を分散する
  • 清潔に保つ
    • 密封する
    • 腐食を防ぐ(防食・防錆)
    • 汚染を防ぐ



潤滑油やグリースとは

物体間の摩擦を減らす物質を総じて潤滑剤と呼びます。

その中でも潤滑油は液体の潤滑剤で鉱物油など石油精製品がよく用いられます。

対してグリースは潤滑油に増ちょう剤・添加物を加えてクリームのような半固体状となった潤滑剤です。

その他にもグラファイトやPTFE、二硫化モリブデンのような固体潤滑剤があります。

機械的損失を減らす

機械には部品同士が接触しながら動く摺動部(しゅうどうぶ)があります。

摺動は軸と軸受けのような回転摺動だけでなく、面摺動やスライド摺動など様々です。

このような接触部分の機械的損失を減らすための意味が3種類あります。

摩擦を減らす

摺動部で摩擦すると摩擦損失が発生します。

摺動面に潤滑剤を加えることで滑らかな摺動を実現できます。

摩擦によるエネルギー損失が発生する分、加えるエネルギーを増やさなくてはなりません。

またエネルギー損失だけでなく摩耗も起こります。

摩耗量は時間経過とともに増加し、機械的強度や組立精度を下げるため安全性を担保できなくなります。

冷却する

先の摩擦に関連する内容です。

摩擦損失の多くは熱エネルギーへ変換して損失されます。

そこで発生する熱は部品の膨張や摩耗を引き起こします。

こちらも機械的強度や組立精度を下げるため冷却が必要です。

そのため潤滑剤が熱を吸収し冷却することで使用中の温度上昇を抑えます。

一般的にグリースには冷却効果はありません。

応力を分散する

パッと見て平坦な金属平面でも、厳密には凹凸があります。

部品に力がかかる際は特に凸部分に力がかかるため金属疲労を減らすためにも避けなければなりません。

潤滑剤を用いることで力のかかる箇所を凸部分以外にも分散できます。

特に歯車のような強い力がかかるような箇所では意識が必要です。

表面粗さは部品製作時に指示すれば”減らす”ことはできます。
ただし特殊な加工で増額になることも多く、潤滑剤で対応できるならそれも一つの手です。

清潔に保つ

漏れや腐食など一般的に論じられる機械の不具合にも潤滑剤は効果を発揮します。

3種類に分けて解説します。

密封する

潤滑剤は潤滑性を持たせる箇所に密封効果も付与することができます。

摺動部は精密な加工をしなければ微小な隙間ができてしまいます。

そのため潤滑剤を摺動しながらも潤滑・密封させる役割として活用します。

有名なのが車のエンジンオイルです。

ピストンとシリンダーの隙間を密封してガス漏れを防ぎます。

グリースに密封効果はありますが異物除去は困難です。

腐食を防ぐ(防食・防錆)

金属表面に油膜を形成し水分との接触を防ぐことで防錆効果も発揮します。

また潤滑剤には酸化防止剤が添加されていることにも起因します。

金属部品を購入した際にも表面に油が塗られていますが、それと同様の役割です。

鉄の防食に関して

汚染を防ぐ

外部からの異物混入を防ぐ防塵性があります。

また部品間で発生した摩耗粉やごみなどを除去する役割もあります。

グリースは飛散が少ないことから使用環境の汚染も防ぐ効果があります。

摩擦による経済損失

1966年にJOST(ジョスト)レポートという報告書が報告されました。

この中に摩擦による経済損失を試算した内容が記載されています。

摩擦による損失を改善することで年間5.15億ポンド(約5000億円)の経済効果があるとのことです。

また2011年には日本でも試算されており、国民総生産(GNP)の約3%(17兆3000億円)の経済効果があるとのことです。

これは摩擦によるエネルギー損失だけではなく摩耗による材料損失も発生していることに起因します。

資料参考:トライボロジーの基礎(2015, 精密工学会誌)

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