プラントの工事見積を行うと「電気計装費用」の項目が見受けられます。
計装は特に計測・監視・制御に関する事柄を指します。
今回は計装と電気の違いについて工事範囲や必要知識の違いなどを解説します。
※厳密にはビルの空調や排水設備を扱うビル計装もありますが、今回はプラント計装のみを取り上げます。
計装とは
計装は制御を行うための計測機器や制御機器を装備することです。
「計」は計測機器(略して計器)、「装」は装備を意味します。
つまり計装は制御に関する事柄を指しています。
一般にはそこから更に広げて計測・監視・制御に関する事柄として認識されています。
工事範囲の違い
電気と計装は「電気計装工事」とまとめて言われることが多々あります。
それはどちらも電気配線工事を行うためお互いが密接に関わっているからこそです。
それぞれの工事はどの範囲を表しているのでしょうか。
電気工事
電気工事は送電設備や配電設備などにおける配線工事です。
つまり機器を動作させる動力配線に関する工事が多くなります。
電気工事(例)
- 動力配線(ケーブル、電線管、ブレーカー)
- 接地
- 照明
計装工事
計装工事は制御システムを構築するための工事です。
計装工事(例)
- 制御機器配線
- センサー配線
- LAN配線
- 防爆工事
必要知識の違い
ここまで電気と計装の違いをイメージしました。
次はそれぞれどのような知識を求められているのか解説します。
電気の知識
電気に関する知識は以下のようなものが挙げられます。
電気の知識(例)
- 高圧受電設備
- 低圧受電設備
- 動力機器(モーター)
特に高圧受電設備に関する知識は重要になります。
計装の知識
計装に関する知識は以下のようなものが挙げられます。
計装の知識(例)
- 制御機器(DCS、PLC、SCADA)
- ネットワーク(伝送路、プロトコル)
- 制御方式(PID制御、シーケンス制御)
- センサー
- 防爆
センサーにはインラインセンサーがあり、そのため配管に関する知識も重要となります。
デジタル活用の広がりに伴い、ネットワークとしてEthernetの利用が増加してきました。
基本的な内容に関しては以下の記事で解説しています。
圧縮空気はどっち?
電気以外にも機器の動力や信号として使用する媒体として圧縮空気が挙げられます。
これは電気工事・計装工事どちらになるのでしょうか?
圧縮空気はコンプレッサーから配管を通して工場内へ供給されます。
つまり電気・計装どちらでもなく配管工事です。
ただしメイン配管より枝分かれしたバルブからホースやチューブを用いて機器に繋ぎこむ際は計装工事として扱われるようになります。
まとめ
今回は電気と制御の違いについて解説しました。
なお電気や計装の工事に関する線引きは各社で変わりますので、施工業者さんに作業内容を伝えて判断して頂く方がスムーズに話が進むかもしれません。
大切なのはどちらでもよい内容で相手との関係を損なわないことです。
今回関連する記事として、プラントで頻繁に用いられるDCSに関しての解説は以下で行っています。