配管

【フランジパッキン】フランジに使われるガスケットの種類

ガスケットはシール(密封)を行う機械要素の1つです。

多数ある種類の中から適切な選定をしなければフランジ面から漏れてしまいます。

今回フランジで用いられるガスケットに関する知識をまとめました。

詳しい解説は目次から項目をクリックしてご確認ください。

ガスケットとパッキンの違い

ガスケットはフランジのような静止箇所の漏れ止めに使用されます。

反対にパッキンは撹拌器やシリンダーのような運動箇所の漏れ止めに使用されます。

フランジ用にガスケットを購入しようとすると「フランジパッキン」との名称が使用されていることもあります。

役割を考えるとフランジパッキンはガスケットです

その他の細かい違いについては以下の記事にて解説しています。

使用材質によるガスケットの分類

ガスケットは使用材質の違いから大きく分けてソフトガスケット、セミメタリックガスケット、メタリックガスケットの3つに分けられます。

ソフトガスケット

ソフトガスケットは非金属ガスケットとも呼ばれます。

シートガスケットやフッ素樹脂包みガスケットが該当します。

使用可能範囲は温度-20℃~100℃、圧力2MPa程度です。

板状に成形された後、ガスケットの形に打ち抜いて製造される打ち抜きガスケットとしてよく製造されます。

ただしスラリー流体ではエロージョンによる損傷の恐れがあるため使用することができません。

セミメタリックガスケット

セミメタリックガスケットは非金属材料と金属材料を組み合わせたガスケットです。

うず巻き形ガスケットやメタルジョイントガスケットが該当します。

ソフトガスケットに比べて温度・圧力領域が広いことが特徴です。

メタルガスケット

メタルガスケットは金属ガスケットとも呼ばれます。

リングジョイントガスケットやメタル平形ガスケットが該当します。

温度は-270度~1000℃、圧力は超高真空から超高圧領域までカバーできます。

またスラリー流体にも利用が可能です。

構造面でのガスケットの種類

シートガスケット

シートガスケットはシートを打ち抜いて成形されたガスケットを指し、打ち抜きガスケットとも呼ばれます。

ゴムシート、フッ素樹脂シート、膨張黒鉛シート、ジョイントシートなど様々な材料があります。

ジョイントシートは繊維質材料にゴムや充填材を混ぜて圧延加硫させたガスケットを指します。

フッ素樹脂包みガスケット

フッ素樹脂包みガスケットは中芯材のガスケットをフッ素樹脂で包んだ構造をしています。

通常利用するシートに比べて非汚染性、耐薬品性に優れます。

ジョイントシートや膨張黒鉛シート中芯材とすることが一般的です。

うず巻き形ガスケット

うず巻き形ガスケットはフープと呼ばれるV字形をした金属薄板とフィラーと呼ばれるクッション材を交互に重ねてうず巻状に巻きつけたガスケットです。

フィラーにはマイカやPTFE、膨張黒鉛などが使用されます。

高温高圧まで使用ができ、温度サイクルが厳しい条件でもシール性に優れています。

水系配管は凍結に伴い体積膨張して圧力が増加するため、うず巻き形ガスケットがおすすめです。

メタルジョイントガスケット

メタルジョイントガスケットは金属を切削加工してガスケットの形状にしています。

ゴムや樹脂といった材料が使用できない時に使用するメタルガスケットです。

金属製のため高温・高圧環境に非常に強くなっています。

リングジョイントガスケット

リングジョイントガスケットはリングジョイント座フランジに用いられる金属単体のガスケットです。

フランジには深いV型のガスケット溝が設けられており、リング状ガスケットを入れられるようになっています。

リングジョイント座については以下の記事にて解説しています。

メタルジャケット形ガスケット

メタルジャケット形ガスケットは忠芯材を金属被覆したガスケットです。

耐熱フェルトといった耐熱性のある無機質クッション材を中芯材に使用しています。

金属材を使用しながらも任意の形状に成形しやすいため熱交換器や異形フランジにおすすめです。

熱交換器は仕切り板の形状に合わせて数10mm程度の溝を設けていることがあり、ガスケット形状が特殊となる場合があります。

メタル平形ガスケット

メタル平形ガスケットは金属板をガスケットの形状に加工したメタルガスケットの中でもシンプルな構造です。

のこ歯形ガスケット

のこ歯形ガスケットはメタル平形ガスケットのシール性を高めるため、同心円の溝が設けられています。

ガスケットの材料

ガスケットには条件に応じて金属表面になじみ柔軟性を持つ、機械的強度を持つ、耐薬品性を持つといった様々な制約が発生します。

それらを満たすため、場合によっては各種材料を組み合わせて使用します。

ここでは各材料毎の特徴を紹介します。

ゴム

材料の中でも比較的安価で汎用的に使用ができます。

ただし100℃以上で使用した場合、硬化して割れる恐れがあります。

ゴム材料は特に種類が豊富ですので以下にまとめました。

使用されるゴム材料一覧

  • ニトリルゴム(NBR)
    • アクリロニトリル-ブタジエンゴムとも呼ばれる
    • 安価で一般的によく使用される
    • 耐油性に優れる
    • 耐熱性や対候性に劣る
  • 水素化ニトリルゴム(HNBR)
    • NBRよりも耐油性や耐熱性など全体的に能力が向上しているが少し高価である
  • クロロプレンゴム(CR)
    • 機械的強度が強く耐候性に優れるため屋外で使用される
    • 耐熱性に劣り、低温時には結晶化しやすい
    • 含有塩素による金属腐食には注意
  • フッ素ゴム(FKM)
    • ゴム材料の中で最高の耐熱性を持ち、耐薬品性、耐油性に優れる
    • ガス透過性も低いため高真空関係のシールとしても利用される
    • 価格が高く耐寒性に劣る
  • エチレンプロピレンゴム(EPDM)
    • 耐熱性、耐水性、耐蒸気性に優れる
    • 耐油性に劣りギヤー油やマシン油といった一般工業用鉱物油には使用できない
  • シリコーンゴム(VMQ)
    • 耐熱性、耐寒性に優れゴムの中では最も低温使用できる
    • 機械的強度が弱くガス透過性が大きいため運動用途や真空用途では使用しづらい
  • ブチルゴム(IIR)
    • 対候性、耐酸性、耐蒸気性に優れる
    • 極性溶媒には強い一方で耐油性に劣る

フッ素樹脂

四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が代表的で、耐薬品性に優れることから化学プラントでは頻繁に使用されています。

耐薬品性、耐熱性、非粘着性、電気絶縁性、低摩擦性、耐候性に優れます。

PTFTは不燃性の樹脂であるため酸素や支燃性の流体においても使用できます。

一方、耐放射性に劣るため放射性流体には使用ができません。

コールドフロー特性があるため、初期の締付圧力が高い場合に樹脂が流れ、面圧が大きく低下してしまうため注意が必要です。

炭素繊維、膨張黒鉛

柔軟性、耐薬品性、密着性、高温耐性に優れています。

-250℃のような極低温でも使用できることができます。

クリープが少ないことも特徴です。

編み込んでグランドパッキンにも使用されています。

金属

ガスケット用金属には様々な最高使用温度や硬さを持つ金属が利用されます。

純鉄(538℃)、SUS304(427℃)、SUS316(816℃)、銅(400℃)、アルミニウム(260℃)、チタン(1093℃)などが利用金属として挙げられます。

硬さは測定方法によってブリネル硬さ(HB)やビッカース硬さ(HV)がなどが使用されますが、それぞれ換算することができます。

ノンアス(ノンアスベスト)

現在ではアスベストを使用しないガスケットは「ノンアス」の名称で区別されています。

アスベストはケイ素を主成分とした鉱物からなる繊維状の物質であり、石綿とも呼ばれます。

ガスケットとして高性能なのですが発がん性があることが明らかとなりました。

そのため現在では製造・使用が完全に禁止されています。

しかし残念ながら未だに石綿よりもシール性・耐食性・耐摩耗性・耐熱性に優れた材料は開発されていません。

1970年代や1980年代で主に使用されているため、長期にわたりメンテナンスを行っていない配管などには未だに使用されている可能性もあります。

石綿は新規購入禁止ではなく在庫品含め使用禁止ですので注意してください。

ガスケット特性

用途応じた選定ができるためにはガスケット特性を知っておく必要があります。

常温シール性

配管施工後に石鹸水を使い気密試験を行うことがあります。

そのため常温でのシール性も非常に重要となります。

圧縮復元性

圧縮量が大きいほどフランジ面の凹凸を吸収することができシール性を保つことができます。

一方、復元性が大きいほど運転時にフランジが開いてきても追従することができシール性を保つことができます。

加熱サイクルシール性

ガスケットは特に常時加熱から冷却に変化した時に漏れが発生しやすくなります。

間欠運転を行う配管では注意が必要です。

ちなみに運転を停止してフランジを一度開けた後、ガスケットを再使用することは推奨できません。

一度使用したガスケットはフランジ面に合わせて微変形しているため再使用は漏れの原因となります。

クリープ・応力緩和性

クリープとは一定の温度・応力を受ける材料が、時間の経過によってじわじわと変形していく現象のことです。

常温でのクリープ現象はコールドフローとも呼ばれ、フッ素樹脂では特に確認されます。

反対に応力緩和は一定のひずみを与えた時の応力の減衰のことです。

ガスケット使用時は同時に起こっており、クリープリラクゼーションと呼ばれます。

漏れの形式

ガスケットが原因によりフランジ面から漏れると言っても、洩れ方は種類あります。

接面漏洩

一般的にフランジ同士が完全な平面でなく、その非平面性をガスケットの変形で吸収します。

そのためガスケットとフランジの接合面には微小隙間が発生します。

微小隙間から発生する漏れを許容できる仕様のガスケットを選定しなければなりません。

またフランジのボルトを決められたトルクで締め付けていないとガスケットとフランジの接触面から漏れてしまいます。

浸透漏洩

ガスケット自身に浸透性がある場合、ガスケットからの浸透漏れも考慮に入れなければならなりません。

特に熱媒油は浸透性が高いため膨張黒鉛ガスケットを使用するなど対策が必要です。

まとめ

今回はガスケットについての基本的な内容を解説しました。

ひとまずPTFEのガスケットを使用しているところもあるかもしれません。

まとめ買いで同一在庫を持つのであればありですが、使用に問題ないか判断できるようになっておく必要があります。

フランジに関しては以下の記事もありますので是非ご覧になってください。

参考資料

  1. 株式会社バルカー 製品情報
  2. ニチアス株式会社 製品案内
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