流体の圧縮性と非圧縮性

化学工学/流体の基礎流体の基礎の7本目(全7本)公開更新広告

圧縮性流体と非圧縮性流体の違い、マッハ数による判断の基準、実務での圧縮性の扱いを解説します。

この記事の内容
  1. 圧縮性流体とは?
  2. マッハ数
  3. 実務における圧縮性の考慮
  4. 関連記事

圧縮性流体とは?

圧縮性流体は圧力変化に伴い体積および密度が変化する流体を指します。

圧縮性があるため弾性体であるとみなします。

何をもって圧縮性と考えるか?

世の中に完全なる非圧縮性流体は存在しません。

正確には”変化量が少ない”ことを意味します。

そのため基本的に液体は非圧縮性とみなします。

気体を非圧縮性流体とみなすかどうかは流速、正確には次で説明するマッハ数で判断します。

空気は約100m/s以下で非圧縮性とみなします。

マッハ数

非圧縮性かどうかは音速を基準に考えます。

流速と音速の比をとった無次元数をマッハ数と呼びます。

この値で非圧縮性流体として考慮できるか判断します。

マッハ数

$$M_{a}=\frac{v}{a} $$

式は横にスクロールできます

Ma:マッハ数[-]、v:流速[m/s]、a:音速[m/s]

非圧縮性とみなす基準

一般に密度変化が5%以内に収まるマッハ数0.3以下であれば非圧縮性とみなします。

横軸がマッハ数、縦軸が密度の変化の割合[%]のグラフ。曲線はマッハ数とともに急に大きくなり、マッハ数0.3で約4.6%、5%の線のすぐ下を通る。
マッハ数と密度の変化の割合(空気の等エントロピー流れの式から計算。流れが止まったときの密度との差)

なお音速は物質や条件によって変わります。

空気中の音速は大気圧・20℃で340m/sと有名です。

空気の流速を横軸にした帯。0から約100 m/s(マッハ数0.3)までが非圧縮性とみなす範囲、そこから音速340 m/s(マッハ数1)までが圧縮性を考える範囲。
空気の流速とマッハ数(音速 340 m/s として。0.3×340=約100 m/s)

音速を求める

圧縮性は体積弾性係数もしくは圧縮率で表します。

体積弾性係数が大きいほど体積変化しづらく、その逆数を圧縮率と呼びます。

圧力がΔp変化するに伴い体積や密度がΔVやΔρに変化した場合、以下で計算できます。

体積弾性係数と圧縮率

$$K=\frac{1}{\beta}=\frac{\Delta p}{-\Delta V/V}=\frac{\Delta p}{\Delta \rho/\rho} $$

式は横にスクロールできます

K:体積弾性係数[Pa]、β:圧縮率[1/Pa]
Δp:圧力変化量[Pa]、ΔV:体積変化量[m3]、V:初期体積[m3]
Δρ:密度変化量[kg/m3]、ρ:初期密度[kg/m3]

ピストン付きのシリンダーに入った空気と水。同じ圧力の増加Δpを加えると、空気の体積は約10%縮むが、水の体積は約0.00045%で図では縮みが見えない。
同じ Δp=10 kPa を加えたときの縮み(例:空気は等温で K=P≒100 kPa、水は K≒2.2 GPa。ΔV/V=Δp/K)

音速は体積弾性係数と密度から求め、その値でマッハ数を算出します。

音速

$$a=\sqrt{\frac{K}{\rho}} $$

式は横にスクロールできます

a:音速[m/s]、K:体積弾性係数[Pa]、ρ:密度[kg/m3]

実務における圧縮性の考慮

圧縮性流体の基準は分かりましたが、どのように使うのでしょうか?

圧縮性流体の利用頻度は低い

基本的に液体は非圧縮性、気体も流速100m/s以下は非圧縮性です。

そのため実際のプラント設計で圧縮性を考慮に入れる場面は滅多にありません。

例えば液体の配管内は圧力損失を考慮すると2m/s以下にすることが望ましいとされています。

気体の配管でも流速は10~30m/s程度が普通で、100m/sより十分に小さい速さです。

理想流体

非圧縮性であり粘性がない流体を理想流体と呼びます。

現実には存在しない流体ですが、近似して計算できる場面も多くあります。

理想流体とみなすことで計算式が簡易になり流れ計算が容易になります。

計算に重要な"理想流体"の考え方

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