コモン線は省配線を目的とした共通の配線を意味し、電気図面ではよくCOMと表現します。
「共通の」という意味を持つcommonが由来です。
またコモン線を接続する端子をコモン端子と呼びます。

コモン線の基礎
コモン線は電気設計において重要な基本事項です。
配線方法の前にまずは基礎を押さえておきます。
役割
コモン線の役割は省配線です。
3つ電球を各スイッチで点灯する配線例を用意しました(イメージしやすいよう簡略化しています)。
コモン線を用いない場合、マイナス側の配線を3本配線しなければなりません。
対してコモン線を用いた場合、マイナス側の配線を1本に集約してから配線するため3→1本に減らすことが出来ます。
当然コモン線の場合も集約するまでは3本の配線が必要なのですが、圧倒的に配線量と手間が減少します。

注意点
コモン線は複数の系統で統一した配線経路を有しているため、断線すると広い範囲に影響が及ぶ可能性があります。
1本の断線が共通配線全ての断線に相当する時もあります。
重要な配線系統は敢えてコストをかけコモン線としないことが大切です。
プラスコモンとマイナスコモン
直流電源(多くは24V)の場合、共通配線の種類によって呼び名が異なります。
24V側の配線をコモン線にする場合はプラスコモン、反対に0V側の配線の場合はマイナスコモンと呼ばれます。
断線時の安全性を考慮してプラスコモンを採用することが多いです。
配線方法
コモン線の配線方法にはいくつか方法があります。
渡り線
コモン配線の基本です。
別箇所から端子台に1本の配線を接続した後、隣の端子に向かって配線を伸ばして(渡らせて)いきます。
そうして渡らせた配線は共通、つまりコモン線となります。


ショートバー(短絡バー)
先ほど示したような渡り線で接続するのは手間がかかります。
また配線不良のリスクも増加します。
リスク低減と配線効率化のためにショートバーが使用されます。
ショートバーは隣り合う複数端子を一度に接続することが出来ます。
ただし全端子からの電流合計値がショートバーの定格通電電流を超えてはいけません。
コモン端子台
コモン端子が既に出来上がっているコモン端子台もあります。
別箇所から配線を1本接続すれば複数の端子に渡り線もショートバーも無しで分岐することが出来ます。
例えば3種類の配線をそれぞれ8端子に分岐できるようになっているコモン端子台などがあります。
コモン端子(リレーやPLC)
リレーやPLCなどの機器は内部でコモン配線用の回路が組まれており、コモン端子が設けられています。
コモン端子台の時とイメージは同じです。
例えばc接点(a接点+b接点)を持つリレーの場合、「a接点側端子」「b接点側端子」「コモン端子」の3端子が用意されています。
a接点とb接点どちらを使う場合もコモン端子1本に繋いでおけばどちらの接点にも利用することが出来ます。
機器内部で既に配線をまとめてくれているためこちらの配線手間が減っています。
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