制御盤の端子台やリレー、PLCの入出力ユニット、テスターまで、電気の現場では「COM」と書かれた端子や「コモン線」という言葉が出てきます。コモンの意味、プラス/マイナスの見分け方、配線方法を場面ごとの違いも含めてまとめました。
コモン(COM)とは
コモン(COM)は common(共通)の略で、複数の回路が共有する配線や端子のことです。例えばランプ3つを24V電源で点灯させるとき、0V側の3本を1本にまとめて配線すれば、その1本がコモン線になります。回路ごとに往復2本ずつ引く必要がなくなり、配線の本数を減らすのが目的です。機器ごとの違いは場面別の比較表にまとめました。

場面別のコモン(COM)の意味
どの場面でも「複数の回路で共有する側」を指す点は同じで、何を共有しているかが機器によって違います。ただしテスターのCOMは測定の基準にする端子で、回路を共有する配線ではありません。
| 場面 | COM(コモン)が指すもの | 補足 |
|---|---|---|
| 配線・端子台 | 複数の回路で共有する1本の配線(コモン線)と、それを繋ぐ端子 | 24V側を共有すればプラスコモン、0V側ならマイナスコモン |
| リレー(c接点) | a接点(NO)とb接点(NC)に共通の相手側端子 | 無励磁でCOM–NC間が導通、励磁でCOM–NO間が導通 |
| PLC入力ユニット | 各入力点で共有する電源側の端子 | COMを24Vに繋げばプラスコモン、0Vに繋げばマイナスコモン。極性が固定のユニットと、共用またはS/S端子で切り替えるユニットがある |
| PLC出力ユニット | 各出力点で共有する負荷電源側の端子 | 「16点1コモン」のように何点で共有するかが仕様に書かれる。「独立コモン」は共有しない |
| テスター | 黒のテストリード(マイナス側)を挿す共通端子 | 赤のリードは測定項目で挿す端子が変わり、黒はCOMに固定 |
プラスコモンとマイナスコモンの見分け方
プラスコモンかマイナスコモンかは、その機器のCOM端子(共通線)を電源のプラス側(24V)に繋ぐか、マイナス側(0V)に繋ぐかで決まります。注意したいのは、同じ回路でも機器ごとに見ると極性が逆になる点です。PLCの入力ユニットがプラスコモン(COMが24V)なら、そこに繋ぐセンサーは0V側が共通のマイナスコモン(NPN出力)になります。日本ではこの組み合わせが一般的で、欧州ではPLC入力がマイナスコモン、センサーがプラスコモン(PNP出力)が主流です。
トランジスタを使った入出力ユニットやセンサーは極性が固定で、組み合わせを間違えると信号が入りません。「シンク入力」「ソース入力」という呼び方は資料によって指す側が逆になることがあるので、仕様書の「COM端子をどちらに繋ぐか」で確認するのが確実です。電流の向きとNPN・PNPの関係はNPNとPNP、ソースとシンクの配線で解説しています。
コモン線の配線方法
端子台でコモン線を作る方法は、渡り線、ショートバー、コモン端子台の3つです。
渡り線
端子台に1本の配線を繋いだあと、隣の端子へ短い電線で順に渡していく方法です。部品が要らず、コモンにする端子の範囲を自由に決められます。

ショートバー(短絡バー)
渡り線を金具に置き換えたもので、隣り合う端子を端子台のねじで一括して繋げます。部品としての定格電流が決まっているため、渡した端子に流れる電流の合計がそれを超えないように選びます。
-
-
春日電機 ショートバー 10個入 TJ163B
www.amazon.co.jp
コモン端子台
端子台の内部で回路が繋がっていて、渡り線もショートバーも不要です。反面、繋がる端子の組み合わせは製品で決まっており、改造時の制約になります。

機器側のコモン端子(リレー・PLC)
リレーやPLCの入出力ユニットは内部にコモン回路を持ち、COM端子として外に出ています。c接点のリレーなら、COM・NO(a接点)・NC(b接点)の3端子のうちCOMに1本繋いでおけば、a接点とb接点のどちらにも使えます。

コモン線が断線すると影響が広がる
コモン線は複数の回路で共有しているため、1本の断線がその回路すべての断線に相当します。16点を1本のコモンにまとめていれば、16点が同時に止まるということです。重要な計器はコモンにまとめない、COM1とCOM2の2系統に分けて割り付ける、といった対策を重要度に応じて検討します。

独立コモンと1コモン
リレー出力のユニットやリレーターミナルの仕様には「16点1コモン」「独立コモン」といった表記があります。1コモンは全点が1本のコモンを共有する構成、独立コモンは各点にコモン端子があり内部で繋がっていない構成です。COM端子が複数あるユニットには、内部で繋がっていてどれに繋いでも同じものと、点数ごとにコモンが分かれているものがあるので、仕様書で確認します。DC24VとAC100Vのように電源の違う負荷が混在するときは、独立コモンを選べば1台で対応できます。
関連記事
オススメ書籍
・現場エンジニアが読む 電気の本
電気の基本理論から始まり、測定機器や電子部品、制御機器など基本的な要素が解説されています。
現場エンジニアが読む 電気の本(第2版)
www.amazon.co.jp
・現場エンジニアのための電気の実務がわかる本
動力回路や制御回路の設計、トラブルシューティング、保全など電気に関する現場向けの解説がされています。
現場エンジニアのための電気の実務がわかる本―もう現場でつまずかないズバリ答える50の疑問!
www.amazon.co.jp
・基本からわかるシーケンス制御
スイッチやボタンを用いた回路の組み方が初心者向けに分かりやすく解説されています。
全てカラーのため読みやすく、電気回路に慣れていない方にオススメです。
カラー徹底図解 基本からわかるシーケンス制御
www.amazon.co.jp
参考資料
- 三菱電機 FA FAQ「シンク入力/ソース入力とは?」「S/S端子の使い方」「入力のCOM端子が複数あるがどれを使っても良いか」
- 三菱電機「MELSEC-Qシリーズ 入出力ユニット」(プラスコモン/マイナスコモンの区分)
- 三菱電機エンジニアリング「FA-TH16YRA20S(16点独立コモン)」
- パナソニック 用語解説「リレーのNO、NC、COMとは」
- HIOKI「電圧の測定方法」
- 東洋技研「ショートバー BXシリーズ」「コモン端子台 VTXCシリーズ」
更新履歴 2026-09 定義と場面別の比較表を先頭に追加。プラス/マイナスコモンの判断基準、独立コモンの説明、参考資料を追加。関連記事にテスター記事を追加。





