プラント配管は何十年も使用することから錆の問題は避けられません。金属が錆びることを腐食と呼びます。ここでは配管の腐食の原因と対策を解説します。
腐食のメカニズム
腐食が起きる根本的な原因は水分と酸素の存在です。

つまり鉄を水分や酸素に触れさせない対策が一般的にとられます。
以下の腐食機構をイメージしておけば以降の理解に繋がります。
腐食機構
- 鉄の表面に水分が付着する
- 水分に鉄が溶けだし鉄イオンになる
- 空気中の酸素と鉄が反応して酸化鉄が生成される
水に関する原因
まずは水に関する原因から解説します。
対策
原因が水である場合、対策はステンレス鋼を使用することが一番簡単な方法です。
雨のような外側からの水の影響を減らしたい場合は鉄配管に塗装を施す方法もあります。
ステンレス鋼に比べて安価ではありますが定期的に再塗装する必要があり保守運用コストがかかります。
例えば蒸気配管を暫く使用しない場合では配管内の水抜きをやる対策もあります。
その際は水抜きを想定した液だまりのできない配管設計を行わなければなりません。
水温の影響
腐食においての水温は、水中の溶存酸素の量に影響します。
およそ80℃程度までは温度が高いほど腐食反応が促進されます。
一方で開放系では80℃を超えてくると溶存酸素が水から抜けやすくなり腐食速度は減少します。
pHの影響
腐食は鉄の酸化現象でありpH=4以下になると急速に腐食が進みます。
一方でアルカリ環境下では腐食速度は低下します。
pH=12以上では不動態被膜を形成するため腐食を防ぐようになります。
一般的にはステンレス鋼を使用すれば良いのですが、pHが低くなるにつれてSUS304ではなくSUS316やSUS316Lを選択しなければなりません。
例えば塩酸のような強酸性液体の場合はハステロイやライニング鋼管などを使用します。
塩の影響
海に近い場所で腐食が発生しやすいのは海水に含まれる塩が原因です。
塩は吸湿性が高いため大気中の水分を集めます。
更に塩は水に溶けることで電解質となりうることから腐食の進行を早めてしまいます。
そのため塩が付着した配管は腐食が起きやすくなります。
酸性液の時と同様に、ライニング配管とすることで安価に対策できます。
ただし屋外で使用する場合は強度や耐熱性の関係からモネルやハステロイのような高級材質に頼る場合もあります。
機械的影響
次は配管内の流れや応力に関する機械的な原因を解説します。
流速の影響(ミクロセル、エロージョン)
配管内の流速が低い場合、中に固形物が堆積してしまいます。
堆積物と配管の間に水を介して電位差が発生することで腐食が発生します。
このような部分的な電池をミクロセルと呼びます。
ただし流速を上げすぎるとエロージョンが発生するため注意が必要です。
エロージョンにより錆が取り除かれ、その後新たな錆が発生する潰食という悪循環に陥ってしまいます。
一般的に配管流速は2 m/s以下が良いとされています。
コストはかかりますが、内面ライニング鋼管と管端防食継手を使用することで金属と液の接触を防ぐこともできます。
応力腐食
オーステナイト系ステンレス鋼に起きうる腐食です。
代表的なものとしてSUS304やSUS316が挙げられます。
塩化物などを含む液体を使用している際に配管に応力がかかると腐食が発生しそこから割れが生じます(応力腐食割れ)。
塩化物水溶液だけでなく海水も原因の一つですので注意が必要です。
塩化物による割れの多くは、結晶粒の中を進む割れです。SUS316LはSUS304より割れにくいものの、炭素を減らしただけでは防げません。対策は応力(溶接の残留応力)を下げるか、塩化物の濃縮と高い温度を避けるか、二相系など割れにくい材料に替えることです。溶接の熱でクロム炭化物ができる鋭敏化が原因の粒界の割れには、SUS316LなどのL材が効きます。
異種金属接触
異種金属を液中で接触させたままにした場合、その液の中での電位の差によって腐食が発生します。
これをガルバニック腐食(ガルバニックコロージョン)といいます。
炭素鋼とステンレス鋼の接触でもガルバニック腐食が起きます。
例えば異種金属のフランジにおいては絶縁フランジを用いるなど対策を行い接続する必要があります。
フランジのみならず、フランジとボルトの材質が違うことで締結部付近から腐食が発生する事例が多数あります。
保温材の下と架台との接触部
外から見えにくい場所の腐食にも注意が要ります。
神奈川県の資料では、2018年に県内で起きた高圧ガス事故の多くが、保温材や保冷材などの内側で起きた配管の外面腐食でした。
保温材の下の腐食(CUI)
保温材の下で起きる腐食を保温材下腐食(CUI)と呼びます。
外装の継ぎ目のすき間やサポートの部分の切り欠きから入った雨水が保温材にしみ込み、配管の表面が濡れたままになるのが原因です。
保温材が腐食を隠すため、漏れて初めて気付くこともあります。
運転温度が-4~150℃程度の炭素鋼の配管は特に注意が必要です。
対策は、保温の前に配管を塗装しておくことと、外装の傷やすき間を直すことです。
保温材をすべて外して点検するのは手間がかかるので、日常の見回りで錆汁の跡や外装の傷みを見つけることが欠かせません。
架台との接触部の腐食
配管と架台が触れる部分も腐食しやすい場所です。
配管を伝った雨水がすき間にたまりやすく、運転中の熱による伸び縮みで接触部がこすれて塗装が早くはがれるためです。
架台との間に当て板やシューを入れて、配管が架台と直接こすれないようにする対策がとられます。



