配管に行うライニング加工の役割



腐食性流体を扱う場合、配管やタンクにライニング加工を施します。

ライニングは耐食性を向上させるため基材表面に樹脂やゴムなどの膜で覆う加工です。

化学や食品、薬品など様々な業界で使用されています。

今回は配管に行うライニング加工の役割について解説します。



ライニングとは?

ライニングとは基材表面に厚めに設ける膜を指します。

一般的に膜厚が1mm程度を超えたあたりでコーティングからライニングへと呼び名が変わります。

腐食性流体が金属面に接することなく取り扱うことができるため耐食性向上の目的で使用されます。

特にピンホールや剥離の恐れがあるため配管用途ではコーティングではなくライニングが選択されます。

配管にライニング加工を施したものをライニング鋼管と呼びます。

加工方法

配管のライニング加工には2つの代表的な加工方法があります。

1つ目がロトライニングです。

配管内にライニング材を入れて材料の融点以上まで加熱しながら三次元回転させることで均一に定着させます。

膜を厚くでき複雑な形状でライニングできることが特徴です。

一方で手間がかかるだけではなく残留応力が残る可能性もあります。

もう1つがルーズライニングです。

ライニング材のチューブを配管内に挿入し、チューブを開いて固定(フレア加工)します。

複雑な形状は難しいですが均一な膜厚や内面にできるのが特徴です。

ライニング鋼管の種類

ライニング鋼管には様々な種類があります。

代表的なものをいくつか紹介します。

グラスライニング

グラスライニングはガラスを用いており耐食性に非常に優れています。

使用温度や圧力の範囲が他のライニング材よりも広い特徴があります。

ガラスの割れやすいデメリットを鋼管側がカバーし、鋼管の腐食性をガラスがカバーしている形です。

一方で高価でありアルカリ性流体には弱い性質があります。

ただし現在はアルカリ耐性を持つグラスライニング製品も販売されているため絶対に使用できないわけではありません。

フッ素樹脂ライニング

フッ素樹脂ライニングはあらゆる流体に不活性な点が特徴です。

グラスライニングには劣りますが中程度の耐熱性もあります。

その他にも低摩擦性、不燃性、非粘着性など様々な特性があるため様々な業界で使用されています。

フッ素樹脂にも種類があり、PTFEをはじめPFAやETFEが有名です。

硬質塩化ビニルライニング

硬質塩化ビニルライニングは主に水用配管で用いる非常に安価なライニング材です。

また機械的強度があり表面が平滑という特徴ががあります

ただし適用温度範囲が0℃~50℃程度と狭いのが難点です。

よく水用配管に塩ビ配管を用いることがあります。

塩ビ配管は軽量・安価であることが特徴的で、塩ビライニング配管は重量が増加する一方で耐腐食性を保ちながらも機械的高強度を実現できます。

ポリエチレン粉体ライニング

ポリエチレン粉体ライニングは表面にポリエチレン粉体を熱溶着させたものです。

厚さがあり均一な点が特徴です。

硬質塩化ビニルライニングよりも温度範囲が広く、特に-30℃程度の低温域でも使用できるようになります。

接続方法

ライニング鋼管は一般的にフランジ接続が選択されます。

ねじ込みで配管を接続する場合には注意が必要です。

ねじ込み配管は注意

特にねじ込みライニング配管の場合、管の切断面が水などに触れると腐食してしまいます。

これを集中腐食と呼びます。

ねじ込みで継手やバルブと接合する場合は管端防食継手を使用する必要があります。

ねじ込み部分には管端コアと呼ばれる管内保護キャップのような部品を取り付ける必要があります。

ただ最近の防食用のねじ込み継手には管端コア内蔵のものが多く販売されています。

まとめ

今回はライニング鋼管について解説しました。

化学メーカーで配管設計経験から考えると、温度や圧力による制約でグラスライニングを選択される方が多いのではと思います。

温和な条件においては別のライニング鋼管を選択できる可能性もあります。

腐食流体を扱う際には参考にしていて頂ければ幸いです。







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