テスター(サーキットテスター、マルチメーター)で電圧・導通・抵抗を測る手順を、プラントの現場で測る機会が多いもの別にまとめました。三相200V・DC24V・ブレーカー・断線の確認手順のほか、COM端子の意味、OLと表示されたときの見方、短絡やレンジ間違いなど安全上の注意も載せています。
測りたいもの別 テスターの使い方 早見表
| 測りたいもの | ファンクション・レンジ | テストリード(テスト棒)の当て方 | 読み方・注意 |
|---|---|---|---|
| AC電圧(単相100V・200V) | ACV(交流電圧)。マニュアルレンジ機はまず最大レンジにする | 黒をCOM端子、赤をV端子に差し、2本の線(端子)に1本ずつ当てる | 赤黒の向きは関係なし。ブレーカーの一次側・二次側の比較に使う |
| AC電圧(三相200V) | ACV | 3本の線から2本ずつ、3通りの組み合わせで当てる(図の赤白・赤黒・白黒) | 3つの線間電圧がそろっているかを見る |
| DC電圧(24V) | DCV(直流電圧) | 赤をプラス側、黒をマイナス側 | 「−24V」のようにマイナスが付いたら極性が逆 |
| 導通・断線 | 導通(ブザーマーク)または抵抗(Ω) | 回路の電源を切ってから、線の両端に当てる | ブザーが鳴れば導通あり(抵抗表示なら目安100Ω以下、接点や端子の良否は数Ω以下で見る)。OLなら断線 |
| ブレーカー・スイッチのon/off | 抵抗(Ω)または導通 | 電源を切り、同じ極の一次側と二次側に当てる | ONで0Ω付近、OFFでOLなら正常 |
| 電流 | A(mA/A)。赤をA端子に差し替え、測定後はV端子に戻す | 回路の電源を切ってから負荷と直列に入れ、通電して読む | 使う頻度は低く、実務ではクランプメーターで電線を挟んで測る |
テスターとは
テスターは電圧・電流・抵抗を測る計測器です。 正式名称はサーキットテスター(回路計)で、欧米ではマルチメーターと呼びます。アナログ式とデジタル式があり、現在は小型で安価なデジタルテスターが主流です。

COM端子とは(テストリードの差し方)
テスターは本体と2本のテストリード(テスト棒)の組み合わせで、本体の差込口の一つにCOM(コモン=共通)と書かれています。黒のテストリードをCOM端子に、赤を測る種類に合わせた端子(V・Ω、電流ならA)に差します。 赤がプラス側、黒がマイナス側という決まりで、直流を測るときの向きの基準です。コモンの考え方はコモン線(COM)の意味と配線方法で解説しています。
三相200Vの測り方(AC電圧の測定)
ファンクションをACV(交流電圧)に合わせ、赤と黒のテストリードを2本の線に1本ずつ当てます。交流では赤と黒の向きを気にしなくてよいのが直流との違いです。 三相200Vは3本の線から2本ずつ、3通りの組み合わせ(図の赤白・赤黒・白黒)で線間電圧を測り、3つの値にばらつきがないかを見ます。

分電盤やブレーカーの端子に直接当てる測定はCAT IIIの区分なので、テスターの測定カテゴリ表示(CAT III 600Vなど)が足りているか先に確かめてください。
ブレーカーの測り方(電圧の比較とon/off確認)
通電したままACVで一次側と二次側の電圧を測り、ブレーカーが落ちていないのに一次側200V・二次側0Vなら、接点不良や焼き付きなどブレーカー自体の異常が疑われる状態です。 遮断できているかは、回路の電源を切ってから抵抗または導通のファンクションで、同じ極の一次側と二次側に当てて調べます。ONで機器自体の微小な抵抗(図では0.2Ω)、OFFでOL(無限大)と表示されれば正常です。ハンドルが中間位置で止まる中間トリップでも一次側200V・二次側0Vになるので、ハンドルの位置も併せて確認します。

DC24Vの測り方(極性の確認)
プラントの電源は交流が主ですが、計装機器の電源などにはDC24Vも一般的です。ファンクションをDCV(直流電圧)にし、赤をプラス側、黒をマイナス側に当てます。 逆に当てると「−24V」のようにマイナス付きで表示されるので、配線後の極性チェックや、どちらがプラスか分からないときの確認に使えます。

導通・断線の確認(抵抗測定)
抵抗は電気の流れにくさなので、線が傷めば抵抗値が上がり、完全に断線すれば無限大(OL表示)になります。抵抗や導通のファンクションでは、必ず回路の電源を切ってから測ってください。 電圧のかかった回路に当てるとテスターが壊れ、感電の原因にもなります。

導通のファンクションはブザーやランプで知らせるので、表示を読む手間が省けます。ブザーが鳴るしきい値は機種で違い、取扱説明書では数十Ω以下(三和PC773は30Ω未満、三和PM3は10〜120Ω、HIOKI 3801は400Ωレンジで10Ω以下)です。通常の抵抗のファンクションで調べる場合は、おおよそ100Ω以下であれば導通ありと判断できます。 ヒーターの断線確認には別の注意点があります(電気ヒーターの断線を確認する方法)。
電流の測り方(クランプメーターが一般的)
テスターでも電流は測れますが、テストリードを回路に直列に入れる必要があるため、線を一度外さなければなりません。現場では線を外さずに済むクランプメーター(クランプ付きテスター)で電線を外から挟んで測るのが一般的で、テスターの電流測定を使う頻度は低くなります。

OLと表示されたら
OLはoverload(過負荷)の略で、測定値がそのレンジの上限を超えたときのオーバー表示です(機種により「O.L」「OL」)。抵抗や導通の測定でOLが出るのは、回路が開いている=断線や接点OFFの状態で、故障ではありません。電圧測定でOLが出る場合は、レンジやファンクションの設定を誤っているか、テスターの測定限界を超えた対象と考えられます。
使用上の注意
- テストリード同士を触れさせない。 電圧のかかった線を先端で短絡すると大電流が流れ、火花や発熱で機器破損や火災につながります。片手で2本を持つ「お箸持ち」は短絡しやすいので、両手で1本ずつ持って測ります。ピンを短くしたテストリードやテストピンキャップも短絡防止用に売られています。
- 測定中にファンクションやレンジを切り替えない。 特に電流のファンクション・端子に電圧が加わると、短絡電流が流れて本体が破損し、人身事故につながります(取扱説明書が「電流端子に電圧を加えない」と警告している項目です)。A端子で電流を測った後は、赤のリードをV端子へ戻してから次の測定に移ります。切り替えるときは、いったんテストリードを測定対象から離してください。
- 測る前にファンクションとレンジを確認する。 電圧以外のファンクションで電圧を測ると人身事故や破損の原因になります。デジタルテスターはオートレンジのものが多くレンジ間違いは減らせますが、テスターごとの測定上限(最大定格入力)は確認しておきます。
- 使用前に点検する。 テストリード同士を当てて抵抗を測り、ほぼ0Ω(テストリード自体の抵抗が0.2〜0.5Ω程度乗ります。三和PM3の取扱説明書は表示1.0Ω以下を正常としています)なら本体とリードは正常です。電流が測れないときは内蔵ヒューズの断線も疑います。
- 使用環境を守る。 高温・多湿では正しく測れず、機種ごとに使用温湿度範囲(例:0〜40℃、80%RH以下)が決まっています。トランスや大電流路など強い磁界の近くでは正確に測れないことがあります。
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参考資料
- 三和電気計器「デジタルマルチメータ PM3 取扱説明書」 https://www.sanwa-meter.co.jp/japan/pdf/manual/digital_multimeters/PM3_JP.pdf
- 三和電気計器「デジタルマルチメータ PC773 取扱説明書」 https://www.sanwa-meter.co.jp/japan/pdf/manual/digital_multimeters/PC773_JP.pdf
- HIOKI「ディジタルハイテスタ 3801 取扱説明書」 https://www.hioki.com/download/28045
- 共立電気計器「DMMガイドブック」 https://www.kew-ltd.co.jp/tech-library/knowledge/guidebook/dmm/
更新履歴 2026-09 測りたいもの別の早見表・COM端子/三相200V/DC24V/ブレーカー/OLの節を追加し、地の文を短縮。導通しきい値の根拠をリンク切れのHIOKI FAQから各社取扱説明書に差し替え。





