電気制御

感電事故の人体影響と対策

感電事故が起きると体が動かなくなったり焼けたりすることを想像するかもしれません。

一方でなぜ静電気では我々が想像するような事故が起きないのでしょうか?

感電はシチュエーションによって影響が大きく変化します。

そのためどれくらいの強さならば安全性が高いのかを理解しておかなければなりません。

今回は感電の危険性や対策方法を解説します。

詳しい解説は目次から項目をクリックしてご確認ください。

感電とは

感電について厚生労働省は以下の様に定めています。

感電とは、電気製品や電気設備の不適切な使用、電気工事において何かの原因で人体又は作業機械が送電線に引っ掛かったこと、漏電の発生、及び自然災害である落雷等の要因によって人体に電流が流れ、障害を受けることをいいます。

厚生労働省 職場のあんぜんサイト

つまり人体に電流が流れることを感電すると言います。

感電の仕組み

感電原因箇所に人が触れた際、「原因箇所-人-地面-原因箇所」と回路が成立した場合に感電します。

つまり人と地面までの距離が離れていれば回路が成立せず感電しません。

空気は導電性が悪いため抵抗として作用しています。

電工仕様の高所作業車はバケットと車両が電気的に切り離されており、疑似的に宙に浮いた状態での作業を再現しています。

人体への影響

もし感電した場合はどうなるのでしょうか。

またその際にどれくらいの影響が人体に起こるのでしょうか。

これらについて解説します。

人体の抵抗値

人体の皮膚の接触抵抗は以下の通りです。

皮膚の状態接触抵抗
乾燥2000~5000Ω程度
汗ばむ800Ω程度
濡れる0~300Ω程度
皮膚の接触抵抗値
参考:一般財団法人 九州電気保安協会

上の表からも分かる通り、皮膚が汗や雨で濡れることで抵抗値が大きく下がります。

これは人体に電気が流れやすくなることを意味します。

純水は水中の固形物の他にイオン成分を取り除いているため絶縁体です。

流れる電流値と人体影響

人体への影響は電流値の大きさで決まり、以下のような影響があります。

電流値悪影響人体影響
0.5~1mA×ピリッと感じる程度で危険性無し
5mA×痛みはあるが人体に悪影響は及ぼさない
10~20mA意識的に筋肉が動かせず握った電線が離せなくなる
50mA気絶、人体構造損傷、呼吸器系への影響などがある
100mA心肺停止など極めて危険な状態になる
流れる電流値と人体影響
参考: 厚生労働省 職場のあんぜんサイト

電流の安全限界時間

先ず理解しておくべきなのは電圧が大きい=影響が大きいとは一概に言えないことです。

例えば静電気は電圧が大きい一方で電流の流れる時間が短いため危険性は高くありません。

人体を流れる電流の時間積として30mA・sが安全限界とされています。

参考として以下に安全限界時間を記載しています。

電流値人体を流れる電流の
安全限界時間
10mA3秒
100mA0.3秒
0.5A0.06秒
1A0.03秒
5A0.006秒
10A0.003秒
人体を流れる電流の安全限界

漏電遮断器は30mA、0.1秒で反応するものが一般に採用されています。

感電対策

ここまで感電の恐ろしさについて学びました。

それを踏まえて感電しないための対策を確認します。

通電箇所を露出させない

電線は絶縁体で覆う、端子台はカバーを取り付ける、分電盤には施錠をするなどして意図しない接触を防ぎます。

漏電遮断器を設ける

漏電は本来通るべきでない場所を電気が通ることを指します。

特にケーブルの絶縁被覆が損傷・劣化していた場合に発生します。

漏電が発生した場合に回路を即時遮断する漏電遮断器を設けることで感電を防ぐことができます。

また漏電遮断器は30mA、0.1秒で反応するものが一般に採用されています。

事前に仕様を確認しておくことが大切です。

接地工事を行う

接地工事はアース工事とも呼ばれ、地面に機器や配線などを接続する工事です。

接地側は人体よりも抵抗が小さくなるよう設計されています。

そのため仮に漏電が起きた場合でも地面に電気が流れて人体へは流れなくなります。

二重絶縁構造の機器を使用する

一般に機器へ行われる基礎絶縁の他に、基礎絶縁が不良となった場合に保護する補助絶縁が施されています。

つまり絶縁不良(基礎絶縁不良)となって場合でも安全が保たれる構造となっています。

二重絶縁構造を持つ機器には二重絶縁マークが表示されています。

このマークがついていない場合は漏電遮断器設置と接地工事が必須となります。

二重絶縁マーク
画像引用:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

絶縁用品を使用する

絶縁用保護具、電工用工具など絶縁性能を持つものを使用しましょう。

高圧活線作業の場合は労働安全衛生法で着用が義務付けられています。

停電作業表示をする

電気工事は停電作業が基本です。

工事中はその旨を表示しておくことで別の人が通電することを防ぎます。

電源スイッチの施錠をしておくと安全性が増します。

短絡設置をする

高電圧設備を公示する場合、短絡設置器具を用いて短絡設置を行わなければなりません。

短絡設置器具はアースフックとも呼ばれ、電路に残留した電荷を確実に放電させる、誤通電での事故を防ぐ役割があります。

まとめ

今回は感電の危険性と対策について解説しました。

ポイントを以下にまとめました。

ポイント

  • 感電は人体に電気が流れること
  • 人体を通しての回路が成立した場合に感電する
  • 人体に悪影響が無いのは大きくても5mAまで
  • 電流値に対する安全限界時間がある
  • 絶縁体で人や物をカバーすることで感電対策をする
  • 漏電遮断器や接地工事で感電対策をする

感電対策では電圧により実施が義務付けられているものもあります。

高圧受電設備に関しては以下の記事で解説しています。

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