機械学習には教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3種類があります。
今回はそれぞれの意味とプラントでの使い方について解説します。
そもそも機械学習とは
今まではデータと条件を入力し判断させていました。
これをルールベースと呼びます。
一方で機械学習はデータと答えを入力して条件から考えさせます。
人が教えなくても自動的に機械が条件を学習するため機械学習と呼ばれます。

機械学習の分類
ここから教師あり学習、教師なし学習、強化学習それぞれについて解説します。
教師あり学習
教師あり学習は判断材料データと判断結果データを与え、それらの関係性を学習させます。
判断材料データは特徴量と呼ばれます。
特徴量は製造温度、流量、圧力、材料性状、製造時間など何でも使用可能です。
他にも設備から出る音や電流値なども重要なデータです。
また判断結果データは密度○○ g/cm3のように数値だけではなく品管OK/NGのような2値でも使用可能です。
2値の場合はダミー変数に変換することで利用できるようになります。
プラントにおいては以下のような使用例が挙げられます。
プラントへの教師あり学習の応用
- 材料の粘度データから製造温度、圧力データの決定
- 現在の製造データから粘度や密度など製品性状の予測
- 材料や製造データから品管合否結果の予測
教師なし学習
教師なし学習は判断結果データを与えず判断材料データ(特徴量)のみを与え、データの特徴を学習させます。
判断結果データが1種類ばかりの場合、学習したのと違う状況を検知する用途で有用です。
プラントにおいては以下のような使用例が挙げられます。
プラントへの教師なし学習の応用
- ポンプの音がいつもと違うなど設備異常の検知
- フィルターの差圧急変からフィルター詰まりの検知
- 包装容器の傷や汚れを検知
強化学習
強化学習はある操作に対する結果に点数(報酬)をつけ、その点数が最大になるような条件を学習させます。
教師あり学習、教師なし学習とは少し違った考え方です。
よく大量の製造条件からコストを最小化するような条件を導き出すようなときに活用されています。
特に強化学習は近年プラントの自動制御運転に応用されています。
例えば横河電機とJSRは蒸留塔を35日間に渡り自動運転することに成功しました。
その他にもいくつかAIを使った事例はあり、以下の記事で解説しています。
ディープラーニングはどの分野?
かなり有名になった言葉としてディープラーニング(深層学習)が挙げられます。
これは先に挙げた3つの分野のどこに属するのでしょうか?
実は、ディープラーニングは3種類すべての学習に使用される更に細かい要素の1つです。
それを表すように、例えば深層強化学習という言葉もあります。
そこにAIも併せて「AIの要素として機械学習があり、機械学習の要素としてディープラーニングがある」 と表現することができます。

AI、機械学習、ディープラーニングの違いについては以下の記事で解説しています。
まとめ
今回は機械学習の分類とプラントでの使い方について解説しました。
まずは違いと使い道を理解したうえで、どこかで使えないか考えてみてはいかがでしょうか。
教師あり学習で取り上げたダミー変数の作り方については以下の記事で解説しています。