データサイエンティスト協会では「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」「ビジネス力」の3項目に分けて必要スキルを表現しています。
ただ公開されているスキルチェックリストの量が多いため理解に少し時間がかかってしまいます。
そのため今回はデータサイエンティストに求められるスキルのうちビジネス力に焦点を当てて解説します。
なお本記事を作成にあたりデータサイエンティスト協会のスキルチェックリストver.4を参考にしています。
ビジネス力とは?
ビジネス力は課題背景を理解し、ビジネス課題を整理・解決に導く力を指します。
テーマを設定したり得られた結果に対して結論を導く際に力を発揮します。
最低限用語を知っておくのも大切です。
AIや機械学習についての解説を以下で行っています。
ビジネス思考
ビジネスマインド・行動
課題や仮説を言語化して本質的な解決策を検討できる能力が求められます。
その際にスピード感のある意思決定や一次情報(例えば製造担当者の意見)の取得が重要になります。
論理的思考
データ分析において求められるデータが十分に得られることは滅多にありません。
限られたデータから論理的に推測し因果関係を明確にする能力が求められます。
推測して内側に留めておくだけではなく自身の考えを説得力のある形で伝えられる必要があります。
分析能力
課題設定
現在の事業内容や会社方針、社会課題などから分析課題を見つけます。
その際に課題を理解したうえで構造化し、進捗を判断するための数値(KPI)を設定できなければなりません。
関係部署、場合によっては経営陣とも連携を取り正しい方向性を決めることが重要です。
データの収集と分析評価
データ収集の観点では、他部署や外部など容易に入手できない箇所のデータを入手するためのアクセス確保が求められます。
集めたデータで得られた分析結果から、ビジネス観点での妥当性評価や検討目的との合致を評価します。
結果に対して背景や意味を正しく理解し、分からない点は詳細が分かる方へ確認を取らなければなりません。
データ分析を行うにあたり気を付けておきたいポイントに関しては以下の記事で解説しています。
リソースの適正管理
法令・契約・権利保護
AI開発を行う場合には既存のライブラリを使用しますし、AIが生み出すデータや開発したアルゴリズムにも権利が存在します。
これら権利や知的財産の所在を明確にするために正しい契約が行える必要があります。
また開発のために使用するデータには個人情報が含まれる場合もあります。
個人情報に関しては匿名化すべきデータがあるため、その選択と判断ができなければなりません。
マネジメント
プロジェクト、リソース、リスク、組織など様々なマネジメントがあります。
リソースマネジメントにおけるリソースは人材だけではなく予算や開発ツールなども含まれており、それらを把握して適切に割り振る能力が求められます。
リスクマネジメントは遅延・障害だけではなくマルウェア被害にあった場合の適切な対処を心得ておく必要もあります。
マネジメントの項目は経験豊富な方が担当するかもしれません。
その際はウォーターフォール開発やアジャイル開発、PoCなど基本的な開発体制の理解をしておくと指示をスムーズに理解できます。
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まとめ
今回はデータサイエンティストに求められるビジネス力について解説しました。
残り2つのスキルについては以下で解説しています。
データサイエンティストに求められるスキル全体については以下で解説しています。