ダイセル式生産革新を学ぼう!

2023年9月10日 広告

「生産性を3倍に跳ね上げる」

そんな夢のような話が、日本の化学工場で2000年に実現されていたことをご存知でしょうか?それが、ダイセル網干工場で生まれた「ダイセル式生産革新(ダイセル式)」です。

現代に起きているプロセス産業の課題を早い段階で解決し、業界のお手本となる取組でした。今なお進化を続けるダイセル式について、歴史や手法、そして現在の取り組み事情まで体系的に解説します。

公開情報を参考に記載しておりますので、実際の内容と異なる場合があります。それでも十分参考になりますので活用ください!

概要

まずは、ダイセル式の全体像と、それが生まれた背景について解説します。

ダイセルとは?

ダイセル(株式会社ダイセル)は、セルロース製品、有機合成品、合成樹脂、火工品(インフレータ)といった幅広い製品を展開する大手化学メーカーです。

設立は1919年(大正8年)であり、設立から100年を超える企業です。国内のセルロイドメーカー8社が合併して誕生した「大日本セルロイド株式会社」がその前身です。

株式会社ダイセル
株式会社ダイセル

www.daicel.com

ダイセル式生産革新が生まれたきっかけ

ダイセル式が生まれるきっかけとなったのは、1990年代に起きた「熟練技能者の大量退職」という危機でした。団塊世代が大量引退する「2007年問題」よりも10年ほど早いことがポイントです。歴史のある企業のため、世代交代の波が他社より早く訪れました。

「退職する前に技術を教えておけばいい」と思うかもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。 長年、OJT(実務を通じた教育)に頼ってきた結果、プラント運転のノウハウはベテランオペレーター個人の頭の中に「暗黙知」として蓄積されていました。

ダイセル式誕生のきっかけ

人手不足や働き方改革を背景とした、現代の製造業にも共通の問題があります。「なんとなくの感覚」や「経験則」で行われていた高度な判断を、若手に言葉で伝えることが極めて困難な状況に陥っています。

革新のテーマ:人を中心とした仕組みづくり

この危機を乗り越えるため、ダイセルの主力工場である網干(あぼし)工場がモデル工場として選ばれました。

ダイセル式が目指した真の目的は、単なるコスト削減や業務改善ではありません。 「知識を出し合う風土・仕組み・人づくり」こそが本質的なテーマでした。具体的なポイントは以下の3点です。

  1. 「縦割り」から「横の繋がり」へ:従来の製品別の縦割り組織から、工場機能に即した統合
  2. 「楽になる」を動機づけに:人の作業負担を減らすことを軸に進める
  3. 盤石な生産基盤の構築:生産プロセスの革新による、比較的低いリスクで確実な収益改善

ダイセル式は、ベテランの技をシステムに置き換えるだけでなく、人が本来やるべき「知的で創造的な業務」に集中できる環境を作った点に大きな価値があります。

トヨタ生産方式とは違うのか?

製造業における改善手法の代名詞といえば「トヨタ生産方式(TPS)」です。 ダイセル式も、トヨタ生産方式も「徹底的にムダを省く」思想が共通しています。

しかし、トヨタ生産方式は「組立加工(ディスクリート)型」を前提に体系化されたものです。対してダイセル式は、化学プラントなどの「プロセス型」産業から生まれたという決定的な違いがあります。次のような特徴があります。

  • 組成の変化:化学反応や物理操作が加わり、工程の中で物質の性質そのものが変化する
  • ブラックボックス化:塔や槽、配管のような外から中の様子を設備が使われる
  • 間接的な管理:内容物は流量や温度、圧力などで間接的に管理される
  • 属人化しやすい判断:プロセスの状況を推定しての管理であるため、オペレーター個人の技量や経験によって理解や判断が異なりやすい
  • 多様な形状:液体、気体、粉体、またはその複合体など扱いが多岐に渡る
  • 全数検査の困難さ:流体であるため、部品のように一個一個を手に取って検査することが難しい

製品が見えない環境から、属人化しやすい特徴があります。ダイセル式では、見えないプロセスの中身を推測するために行われている「人の判断(思考プロセス)」や「負荷」を見える化することに重点を置いています。

トヨタ生産方式との比較

かつては「プロセス産業=液体・気体」というイメージでしたが、現代の化学メーカーは様変わりしています。 高機能フィルムやシートのような固体の機能性化学品が非常に増えています。これらは「ディスクリート・ケミカル」とも呼ぶべき領域で、プロセス産業でありながら組立加工的な要素を強く持っています。

実際、ダイセル社内でも、インフレータを製造する播磨工場のような組立加工型の拠点では、ダイセル式だけでなくトヨタ生産方式も導入し、両者を使い分けています。

教育内容は、TPS(トヨタ生産方式)をベースとした標準作業教育の他、IE(Industrial Engineering:生産工学)、品質統計、問題解決手法、設備保全など、モノづくりに必要な知識と技能を、座学だけでなく実践や体験を通じて身に付けます。

※DSS:ダイセル・セイフティ・システムズ

播磨工場共育センター紹介ページ

「プロセス型だから」「組立型だから」と手法を分断して考える必要はありません。素材の生成(プロセス型)から最終製品への整形(ディスクリート型)まで、工程の特性に合わせて使い分けられる柔軟性が求められます。

得られた効果

生産革新により得られた効果を、2021年の日本知財学会年次学術研究発表会にて発表しています。活動前と比較して圧倒的な効果が出ています。

内容効果
作業負荷件数90%減
一人当たりの監視範囲3倍
アラーム数90%減
スタートアップ期間半減以下
品種切り替え時間半減以下
品種切り替え負荷90%減
制御装置数80%減
ノウハウの標準化数百万ケース/工場
ソフトの簡素化40アイコン化/工場
ダイセル式生産革新による効果

注目したいのは、原価や人員数のような見かけの効果ではなく、人の負荷という面で効果が出ていることです。革新に伴う人へのしわ寄せが起こりづらいため、こうした効果は改革の継続に繋がりやすくなります。

革新プロセス

ダイセル式における改革の対象は、大きく分けて以下の3つです。

  1. 人・組織の革新: 機能別運営への転換や、全体最適を目指す意識改革
  2. 生産システムの革新: 暗黙知の形式知化や、業務プロセスの標準化
  3. 情報システムの革新: 制御系と情報系の融合、知的統合生産システムの構築

更に、これらを実現するために踏むべき手順が、「予備調査」「基盤整備・安定化」「標準化」「システム化」の4つのステップです。最終段階の「システム化」はあくまで結果であり、そこに至る過程で人の意識を変え、盤石な基盤を作ることこそが本質です。

生産革新を進める全体イメージ

以降で各ステップを詳細に解説します。

第0段階:予備調査

まずは、業務分担や意思決定プロセスに潜む「ムダ・ロス」を徹底的に洗い出す「予備調査」から始まります。各部門で異なる標準を、全社統一された「共通のモノサシ」で評価できるようにします。

予備調査のために「オペレータ負荷解析」「ピーク作業負荷解析」「業務総点検」「コスト構造解析」を行います。その結果を使ってマスタープランを作成します。

オペレータ負荷解析

オペレータ負荷解析では、定常作業を数値化して解析します。アラームの発報回数、画面のタッチ回数、監視する設備や計器の数などが指標となります。

重要なのは「プロセスや設備の不具合を人がカバーしていないか?」という視点です。人がカバーしている場合、作業者のバラツキがプロセスおよび設備のバラツキに直結します。このバラツキを放置してシステム化しても、不安定なプロセスを自動化するだけになります。

プラントの運転業務は性質の異なる2つの作業があるため、解析のアプローチも分けます。

区分具体例解析(見方)のポイント
フィールド業務バルブ操作、点検など人の業務負荷という視点から、ムダやロスを顕在化する
オペレーション作業計器室(コントロールルーム)でのDCS監視操作など人の指示内容に加えて、センサー情報からプロセス状況を予測し、ムダやロスを顕在化する

ピーク作業負荷解析

ピーク作業負荷解析では、定常時とは異なる「非定常作業」に焦点を当てます。プラント運転の開始(スタートアップ)や停止(シャットダウン)、品種切り替えといった作業が該当します。

非定常作業は、通常の運転と比べて頻度が低くなります。そのため、若手への定着が特に難しく、ベテランの勘や経験に頼りがちです。

消防庁によれば、非定常時にプラント事故が増加しているデータもあります。非定常作業を解析し、標準化することは安全確保の観点からも極めて重要です。

火災事故において、定常運転中では要因の差は認められないが、非定常運転中では人的要因が物的要因の2倍以上となっている。
(中略)
漏えい事故において、定常運転中、非定常運転中とも、人的要因よりも物的要因が多い傾向にある。また、定常運転中の人的要因は低調に推移しているが、物的要因では増加が顕著である。非定常運転中では人的要因及び物的要因ともに増加している。

消防庁 石油コンビナートにおける事故の分析結果

業務総点検

業務総点検では、役割分担や報連相(報告・連絡・相談)の経路にムダがないかを徹底的に調査します。製造現場だけでなく、間接部門も含めた業務フロー全体を見直します。

ダイセルでは、設備、生産、品質保証といった異なる部署が「合宿形式」で行うこともあります。これには「情報共有の壁を無くす」効果や「人間関係を構築する」効果があります。

分析には、「業務工程」「業務機能」「意思決定レベル」という3つの軸を用いたマトリクスが使われます。

  • 業務工程: 受注、生産、出荷など、仕事の流れ
  • 業務機能: 製造、技術開発、営業・販売、総務など、仕事の内容
  • 意思決定レベル: オペレータ、リーダー、課長、工場長など、誰が判断するか

この粒度で業務を洗い出すと、例えば「報告するだけの資料」や「情報を右から左に流すだけのフロー」といったムダが可視化されます。ダイセルの調査では、業務情報の約半分がこうした単なる連絡事項だったという事例もあります。

コスト構造解析

コスト構造解析では、総原価や固定費の面から余計なコストが発生していないか解析します。

現代であればCO2排出量を指標に加えても良いと思います。

マスタープラン作成

既に潜在的なムダやロスが見えているはずです。

4種類の解析結果と目指すべき姿とのギャップからマスタープランを作成します。

ちなみにダイセル式生産革新を完遂するために最低3年かかると言われており、その時の社会情勢や経済状況に合わせてマスタープランも見直すことが大切です。

第1段階:基盤整備・安定化

ここでは改革を進めるためにムダやロスを徹底的に排除します。

指示報告系統の見直しや言語統一、3S活動が行われます。

まずは余裕を作る

生産革新を実施するにも各々に余裕がなければなりません。

経営層からDXやSDGsなどの仕事を上乗せされて「ただでさえ忙しいのに……」と思ったことは無いでしょうか?

まずはムダやロス、例えば”重複作業”や”無意味な作業”を徹底的に排除して負荷作業の低減を計ります。

つまり改善活動の前に余裕を作ります。

当然最初は余裕がない状況ではありますが、ダイセルでは設備・保守部門も含めた現場の各部門から改善の専任チームを選抜し、改善に努めたそうです。

指示や報告の見直し

特に無くせるのは、指示や報告をしたままで終わっているI字型と呼ばれる行動です。

意思決定も無いただ伝えるだけの連絡会議のようなものも含まれます。

基本的に指示や報告には往復の流れがあり、U字型や逆U字型と表現します。

  • 作業指示:上司から部下へ指示、作業後は上司へ(U字型)
  • トラブル発生報告:部下から上司へ報告、部下が対応へあたる(逆U字型)
  • ただの連絡:上司から部下へ指示して終わり、部下から上司へ報告して終わり(I字型)

言語の統一

言語統一では、「P&IDなど図面の書き方」や「装置や物質の呼び方」を統一します。

これにより全員が同じ言語でコミュニケーションが取れるため、全員が知識を出し合う風土に繋がります。

この統一作業は、オペレーションエリアの集約やデータベース構築において重要な役割を発揮します。

図面を用いた原理原則での議論をする風土の醸成にも繋がります。

大事なのは全面改訂するのではなく統一することです。

3S活動

3S活動は整理・整頓・清掃の頭文字から名付けられた工場改善・安全のための活動です。

また3Sを維持するための清潔・躾を加えて5Sと呼ぶ場合もあります。

製造現場維持の基本です。

  • 整理:必要なものと不必要なものを区別し片づける
  • 整頓:置き場所を明確にして直ぐに出せるようにする
  • 清掃:ゴミや汚れを取り除きながら機器や道具に異常が無いか点検する

3S活動を蔑ろにすると物を探すムダや不良品のムダが発生します。

(コーヒーブレイク)人が絡む難しさ

革新プロセスは長くなりますので、ここで少し気持ちの部分を記載します。

重要な主任・課長クラス

ダイセル式は経営陣と現場を繋ぐ製造課長クラスの振る舞いが重要とされており、活動推進は主任や課長といった中間管理職が行います。

改善の順序はガイドブックとして形式化されています。

その上で目標値を主任・課長クラスが自ら決定して推進します。

本当に主任・課長クラスが回せるのか?

個人的には、ここがネックになる会社さんが多いのではないかと思いました。

そもそも主任・課長クラスが仕事を抱え込んでおり回っていないケースもあるからです。

ちなみに、主任・課長クラスの人材育成を掲げてダイセル式を導入した企業もあるようです。

戦うことも多い

当然、抵抗勢力もいます。

ダイセルは経営層からも反対されて相当大変だった模様です。

ー社内の反応は、どのようなものだったのでしょうか。

ものすごい抵抗がありました。重役会議でも、散々に叩かれました。「今までの取り組みを否定するのは、先輩たちをバカにしている」とか、「書いてある中身は機密事項ばかりじゃないか。こんなものを皆に分かるようにしてはいかん」といった意見がありました。私は文字通り、死に物狂いで、反対意見と戦いました。私たちの目指す方向に賛同してくれる先輩も数多くおられ、最終的には、我々の意見が通ったわけです。

エンジニアリング協会 会員企業トップインタビュー(2021年8月)

これ……無理じゃね?

ここまで読んで頂いた方で少なくとも「無理じゃね?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は私もです。

一人がダイセル式に影響を受けて改革するには気力と体力の両面で負担が大きすぎます。

この取り組みを主導した小川義美 現社長は、当時は網干工場の生産部酢酸セルロース課の部員だったそうです。

小川さんの考えに賛同した上司の助けもあり、時間外に自主的に集まって検討することからスタートしました。

少しずつ、腐らず、そして着実に……出来ることから始めて賛同者を集めながら大きくするのが良いと思います。

とはいえ最終的には全社的な取り組みに昇華させなければ効果としては得られない可能性は高いです。

ダイセル方式を導入して成功するためには、本格的な取組を実行しうる社内体制を整えることが重要である。準備なく導入を試みた場合には、本来の成果を得られないおそれが大きい。導入の効果を最大化するための条件としては、
①経営陣トップの決断
②製造課長クラスのミドル層のリード力
③オペレータ・スタッフからなる製造現場従事者の強い意志
の3つがあげられよう。

生産革新研究会報告書について化学/プロセス産業における革新的生産システムの構築 〜新たな生産方式の胎動〜(経済産業省 2008年4月)

第2段階:標準化

標準化では、人の介在理由を解析し、意思決定フローを整理・標準化します。

この標準化は、OJTに頼らない効率的な教育や第3段階「システム化」の仕様書にも繋がります。

ダイセルでは840万の意思決定フローが8種41動作に区分されました。

オペレーションノウハウの標準化

オペレーションにも定常操作・非定常操作・緊急時操作のように種類が分かれます。

ダイセルでは"総合オペラビリティスタディ"と呼ばれる取り組みによりノウハウを顕在化します。

これは運転操作の際、何を?どのように?考えていたかを細かくヒヤリングし、それを参考に「科学的な観点から正しい意思決定とは何なのか?」を明確にするものです。

その際には、安全・品質・生産量・コストの観点から監視・意思決定・操作の流れで網羅するようにします。

ちなみにこのヒヤリング、ダイセル内で認定された人が担当するようです。

1人のオペレータに朝から夕方まで週5回、3ヶ月ヒヤリングを行った事例もあるようで、この工程で時間がかかる事は問題ありません。

固有要素技術の標準化

製品の種類が数多くあっても、単位操作や使用機器は共通するものがあります。

  • 単位操作:蒸留、抽出、混合、反応など
  • 標準機器:蒸留塔、撹拌槽、ポンプ、熱交換器など

原理・原則から、各要素に対してどのように運転管理すべきか?設備管理すべきか?を体系的に整理します。

重要度分類

標準化したオペレーションノウハウや固有要素技術を活用できるよう、工程管理項目一覧として体系的にまとめます。

それぞれの要素に対して影響度を出し、その影響度に対して重要度分類して作成します。

第3段階:システム化

標準化した内容や運転に伴い得られたノウハウをシステム化し、必要な時に作業者へ提供する仕組みを構築します。

これは"知的生産システム"と呼ばれています。

プラント運転の情報は煩雑になりやすく、オペレータ負荷を抑えながらも標準化した作業手順から逸脱させない重要な役割を果たします。

シングルウィンドウオペレーション

"シングルウィンドウオペレーション"は、プラントの異常発生時にオペレータへ必要な情報を提供するためのシステムです。

そもそも目的の画面を表示できること自体がノウハウになってしまうとの思想から生まれています。

目的の情報が1つの運転操作画面上で提供されるため"シングルウィンドウ"と名付けられています。

状況に沿って選択していくと、以下のようなガイダンスが順に表示されていきます。

  1. 異常発生箇所
  2. 想定原因
  3. 優先的な対処方法
  4. 対処法選択に必要な基礎知識

これにより異常拡大や生産停止を避けるために迅速に意思決定できます

基礎知識を明確に出せる仕組みがあり、ランクに応じた社内教育にも活用していると予想されます。

維持管理できるシステムを

製造におけるアラームや異常の発生条件は変化していきます。

また設備も新設や改修が進められます。

こうした変化があるたびに標準化した内容と差異は無いか見直すシステムにしなければなりません。

オペレータ自身が業務の一貫として修正できる仕組みにするのも1つの方法です。

ダイセル式生産革新の進化

1990年ごろから始まったダイセル式生産革新ですが、2020年頃よりAIを活用して一層の進化を遂げています。

自律型生産システム

ダイセルは既に20年以上も価値のあるデータを蓄積し続けています。

そのデータは、コンピュータの処理速度向上およびAIアルゴリズムの発展に伴い更なる価値を持つことになります。

そこで生み出されたのがAIを用いた自律型生産システムによる効率化です。

  • 最適運転条件導出システム(PCM):安全・品質・生産量・コストをリアルタイム予測し、最適な運転条件を導出する
  • 高度予知予測システム(APS):安全・品質・生産量・コストの悪化に繋がる予兆を検知し、原因を除去することで損失を未然防止する

既に2020年~2022年の間で8億円のコストダウンに貢献しているようです。

そして2025年までに40億円のコストダウンと大幅な作業負荷低減に繋がる見込みです。

ここで気を付けたいのは、昨今のAIブームに安易に乗っかるのではなく、まず行うのはムダやロスを排除して標準化・基盤づくりすることです。

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技術開発

中期計画としての取り組みに以下が挙げられています。

  • プロセス・インフォマティクス:実験・プラントデータに対するAIを用いた新材料・新生産プロセスの探索の効率化
  • バーチャルラボ、ベンチ、パイロット:他社とのデータ連携による、シミュレーションを用いた検討の加速と高精度化

参考資料

・ダイセル式生産革新はこうして生まれた

書籍は当時の取り組みについてダイセル関係者4名へのインタビュー形式で記載されています。
この本から入るのではなく、本記事の内容を把握したうえで読む方がスムーズに理解できます。

ダイセル式生産革新はこうして生まれた
ダイセル式生産革新はこうして生まれた

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