電磁弁の構成要素
電磁弁は電気信号を受け取り弁体を開閉するための機器です。
特に空圧機器ではエアーの流路を切り替える目的で使われます。
ソレノイド
ソレノイドは鉄心にコイルを巻き付けた電磁石です。
電流が流れることで磁化します。
この磁力が流路を変化させるための駆動源になります。
またスプリングも組み合わせて電圧をかけていない時の状態を調整している電磁弁もあります。
ポート
ポートはエアーの通り道のことです。
後述するポートの数によって機能が変化します。
スプール
スプールは複数ある電磁弁のポートを一度に開閉するための部品です。
ソレノイドの駆動に合わせてスプールが動くことで開閉状態が変化します。
動作原理
まずソレノイドに電圧を加えることで磁化します。
磁力によりスプールが移動し、ポートを通過するエアーのルートが変化します。
駆動方式
電磁弁の駆動には、よく電磁石とスプリングが用いられます。
注意点
電磁弁は電磁石により駆動することから、弁体の駆動を電気で行っていると勘違いされがちです。
しかし、電気で弁体を動かしているのは一部の電磁弁だけです。
多くは外部から圧縮空気を供給したり、流路にある流体の圧力を使ったりしています。
直動式
直動式は電磁弁を開閉することで目的のラインのエアーを制御します。
シングルソレノイドは電磁弁1つとスプリング1つの組み合わせです。
電圧を加えると弁体が動き、逆に加えていない状態ではスプリングの力で弁体が元の位置に戻ります。
ダブルソレノイドではスプリングを使わず電磁弁2つで駆動します。
各位置を2つの電磁弁に電圧を加えるかどうかで動作を制御します。
パイロット式
パイロット式はメインラインの弁体はエアーの圧力で駆動します。
この弁体駆動のためのエアーを供給するかどうかを制御するために電磁弁が使われます。
メインラインのエアーを分岐して電磁弁の駆動に用いるものは内部パイロット式と呼ばれます。
一方でメインラインとは別のエアー供給源を用いるものは外部パイロット式と呼ばれます。
ポート数
電磁弁はポート数によって機能が変わります。
よく3ポートや5ポートがよく用いられます。
2ポート
2ポートはエアーの入口と出口が1つずつある電磁弁です。
電磁弁のON/OFFで流路の開閉を切り替えます。
3ポート
3ポートはエアーの出入口に加えて、排気口が追加されます。
空圧機器にエアーを供給するだけでなく、供給を止めた時に空圧機器内部のエアーを排気する機能があります。
この排気が正しく行われないと、空圧機器へエアー圧がかかったままとなり、トラブルに繋がります。
4ポート
4ポートはエアーの出口が2つ、エアーの入口と排気口を兼用したポートが2つで構成されます。
2つの出口空圧機器へのエアー供給方向を切り替えられます。
5ポート
5ポートは動作としては4ポートと同じですが、エアーの入口と2つの排気口が独立しています。
ポジション
電磁弁のポジションには大きく2位置と3位置があります。
基本は2位置です。
2位置
2位置はバルブが開と閉のポジションをとることができます。
電圧を加えていない時に、電磁弁が開閉いずれの状態をとるかによって種類が分かれます。
- ノーマルクローズ(NC):信号がOFFの時に電磁弁が閉側に位置
- ノーマルオープン(NO):信号がOFFの時に電磁弁が開側に位置
ノーマルオープンとノーマルクローズは、停電やソレノイドの故障時にエアーを供給するか否かが決まるものです。
異常時にどちらのポジションをとるのが安全か、考えて導入しなければなりません。
3位置
3位置は開閉ポジションだけでなく、2つの電磁弁をOFFにしたときに中間ポジションをとることができます。
中間ポジションの振る舞いによって3種類に分類されます。
- クローズドセンタ:流路を全て遮断、エアーの排気も遮断されるため現在ポジションの維持が可能
- プレッシャーセンタ:排気口のみ遮断し2位置にエアーを送り続ける、2位置が圧力を受ける面積が異なると片側に移動する
- エキゾーストセンタ:エアー供給を停止し2位置のエアーを排気する、フリーになるため手動で動かせるようになる
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