撹拌レイノルズ数による層流と乱流の確認

化学工学/撹拌撹拌の3本目(全10本)公開更新広告

撹拌における層流と乱流を、撹拌レイノルズ数で判定する方法を解説します。

この記事の内容
  1. 層流と乱流
  2. 撹拌レイノルズ数
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層流と乱流

撹拌における流体の流れ方は、流速や粘度によって変化します。

流れの種類は大きく層流と乱流に分かれます。

層流

流体の各部分が入り乱れず、なめらかに流れる状態を層流と呼びます。

例えば回転数が低い時や高粘度流体を扱うときに見られます。

撹拌においては液同士の混ざりが悪く、撹拌不良の原因となります。

なおバッフル(邪魔板)は乱流域で生じる渦や固体的回転部を消すために取り付けるもので、層流域では邪魔板の有無にかかわらず動力数は同じになります。

乱流

流体の各部分が互いに入り乱れている流れを乱流と呼びます。

例えば回転数が高い時や低粘度流体を扱う時に見られます。

多くの撹拌に関する条件式は乱流域でのみ利用できる制約があります。

撹拌レイノルズ数

撹拌における流体の流れが層流か乱流かどうかはレイノルズ数によって判定できます。

計算式

撹拌レイノルズ数は以下の計算式で求められます。

単位のない無次元数です。

撹拌レイノルズ数

$$ Re=\frac{d\left(nd\right)\rho}{\mu}=\frac{nd^{2}\rho}{\mu}$$

式は横にスクロールできます

Re:撹拌レイノルズ数[-]、n:回転数[1/s]、d:翼径[m]
ρ:密度[kg/m3]、μ:粘度[Pa・s]

液を入れた槽にパドル翼を入れた断面。モーターの回転が回転数n、翼の端から端までの長さが翼径d、槽の中の液の密度がρ、粘度がμである。
式の記号と槽:d は翼径、n は回転数、ρ・μ は槽の中の液の物性

式の意味するところ

レイノルズ数は流体の慣性力と粘性力の比を表しています。

分子が慣性力、分母が粘性力を表します。

正確には先に示した計算式は、既に慣性力と粘性力の比から約分して整理した形です。

慣性力と粘性力をかみ砕いて説明すると以下のイメージです。

  • 慣性力:流れ続けようとする力(質量×加速度)
  • 粘性力:流れを留めようとする力(せん断応力×面積)

層流と乱流の判定

おおよそ撹拌レイノルズ数が50以下で層流、1000以上で乱流となります。

つまり層流においては粘性力が、乱流においては慣性力が流れを支配していると考えられます。

更に層流から乱流に変化する過程(50~1000)での流れを遷移流と呼び、その値は槽径と翼径の比(D/d)により異なります。

流れの判定値は書籍によりバラツキはありますが、概ねこのあたりの数値で表現されています。

撹拌レイノルズ数が10000以上では完全乱流域と呼ぶことも多く、動力数などの無次元数が一定に保たれスケールアップ時の目安とされます。

撹拌レイノルズ数を対数目盛で示した数直線。50以下が層流、50から1000が遷移流、1000以上が乱流で、10000以上は完全乱流域とも呼ばれる。
撹拌 Re による流れの区分(境の値は本文の目安)

配管内におけるレイノルズ数との違い

レイノルズ数の計算は配管内の流れを計算する際に用いられます。

意味は同じですが、配管内のレイノルズ数と撹拌レイノルズ数とで使用する値が異なります。

項目 撹拌 配管
代表流速 回転速度nd[m/s] 流速u[m/s]
代表長さ d:翼径[m] 配管内径D[m]
流体の密度 ρ:密度[kg/m3] ρ:密度[kg/m3]
流体の粘性係数 μ:粘度[Pa・s] μ:粘度[Pa・s]
レイノルズ数計算で利用する値の違い
上に配管の断面、下に撹拌槽を上から見た断面。配管は内径Dが代表長さ、流速uが代表速度。撹拌槽は翼径dが代表長さ、翼先端の動きnd[m/s]が代表速度になる。
代表長さ・代表速度の取り方:配管は D と u、撹拌槽は d と nd

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