配管の肉厚を決める!スケジュール(Sch)基本解説

2021年7月18日

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配管スケジュール(Sch)は圧力配管の肉厚を表現するための規格値です。 

数値が大きくなるほど肉厚が厚くなり高圧環境にて使用することができます。

スケジュールの種類対象の材質表記
ノルマルスケジュール基本的にこの規格を採用Sch10, Sch20
スインスケジュールステンレス鋼管Sch10S, Sch20S
スケジュール無しSGP-
スケジュールの種類

必要なスケジュールは配管にかかる圧力と配管自体の許容引張応力によって決まります。

スケジュール計算
$$ Sch=\frac{P}{S} \times 1000$$
Sch:スケジュール番号[-]、P:設計圧力[MPa]
S:設計温度における配管の許容引張応力 [N/mm2

許容引張応力はJISにて定められており、以下のリンクを参考にしてください。

代表的な配管の許容引張応力



スケジュールの種類

スケジュールにはノルマルスケジュールとスインスケジュールの2種類があります。

また使用する配管材料によっても考え方が変わります。

スケジュール(Sch)は肉厚を意味する

配管スケジュール(Sch)は圧力配管の肉厚を表現するための規格値です。 

配管にかかる圧力と許容応力によって配管の肉厚が定められています。

数値が大きくなるほど肉厚が厚くなり高圧環境にて使用することができます。

基本的なスケジュール(ノルマルスケジュール)

基本的にはノルマルスケジュール系が用いられSch10やSch20のように表記します。

ステンレス鋼管は異なるスケジュール(スインスケジュール)

ステンレス鋼管はスインスケジュールが用いられます。

スインスケジュール系を用いるのは、その他鋼管と比べて引張強さが大きく耐食性があるためです。

そのため経済的観点から同じスケジュール番号でも肉厚が薄く設定されています。

スインスケジュール系はSch5SやSch10S、Sch20Sの3種類が存在し、Sch40以降はオーステナイト系のステンレス鋼管でもノルマルスケジュールが用いられます。

SGPにはスケジュールが無い

そもそもスケジュールは高圧での使用を想定した場合に必要な肉厚です。

SGPは低圧(1 MPa以下)での使用を想定された配管材のためスケジュールという概念がありません。

そのためSGP(配管用炭素鋼鋼管)は肉厚が1種類に限定されます。

スケジュールの計算方法

設計圧力を基に使用する配管の厚み(スケジュール)を決定できます。

配管にかかる圧力から計算

目安として常温域において、例えばSch40であれば設計圧力4MPa(40bar)、Sch80では8MPa(80bar)で使用できます。

ただし使用温度や材料の種類によって要求されるスケジュールは変化しますので、必ず以下の式を利用してください。

設計圧力は1 kgf/cm2 = 0.098 MPaと変換できます。

スケジュール計算
$$ Sch=\frac{P}{S} \times 1000$$
Sch:スケジュール番号[-]、P:設計圧力[MPa]
S:設計温度における配管の許容引張応力 [N/mm2

配管の許容引張応力

配管の許容応力はJIS B 8265「圧力容器の構造-一般事項」にて温度ごとに規定されています。

例えば配管材質STPG370-Sで200℃使用時における許容引張応力は92 N/mm2です。

設計圧力が1 MPaの場合、「1/92×1000 ≒ 10.9」となりますので、少なくともSch20以上の配管を選定する必要があります。

代表的な配管の許容引張応力

スケジュールに対する肉厚の参考式

スケジュール番号と配管外径から基準となる肉厚(呼び厚さ)を算出できます。

実際にはこの式の結果よりも厚めに規格している材料もあります。

呼び厚さ
$$ t=\frac{Sch\times D}{1750}+2.54$$
t:呼び厚さ[mm]、Sch:スケジュール番号[-]、D:管の外径[mm]

まとめ

スケジュールの基本はノルマルスケジュールです。
ステンレス鋼管は薄肉のスインスケジュール、SGPにはスケジュールがありません。

スケジュールの種類対象の材質表記
ノルマルスケジュール基本的にこの規格を採用Sch10, Sch20
スインスケジュールステンレス鋼管Sch10S, Sch20S
スケジュール無しSGP-
スケジュールの種類

配管にかかる圧力と配管自体の許容引張応力からスケジュールが計算できます。

スケジュール計算
$$ Sch=\frac{P}{S} \times 1000$$
Sch:スケジュール番号[-]、P:設計圧力[MPa]
S:設計温度における配管の許容引張応力 [N/mm2

参考資料

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「はじめての配管技術」を読んだ後にオススメしたい書籍です。

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プラントレイアウトと配管設計
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