スケジュールとは
- スケジュール(Sch)は圧力配管の肉厚を表す規格値
- 強度の観点からステンレス鋼管には一部他と違うスケジュールが割り当てられる
- SGPにはスケジュールが存在しない
- 大口径の場合はミリメートル方式にて表現する
スケジュール計算の際には以下の式を利用します。
$$ スケジュール番号=\frac{設計圧力 [MPa]}{設計温度での配管の許容引張応力 [N/mm^2]\times1000}$$
目次
スケジュール(Sch)とは
配管スケジュール(Sch)は圧力配管の肉厚を表現するための規格値です。
配管にかかる圧力と許容応力によって配管の肉厚が定められています。
数値が大きくなるほど肉厚が厚くなり高圧環境にて使用することができます。
スケジュールの種類
スケジュールにはノルマルスケジュール系とスインスケジュール系の2種類があります。
基本的にはノルマルスケジュール系が用いられSch10やSch20のように表記します。
スインスケジュール系(ステンレス鋼管)
オーステナイト系のステンレス鋼管はスインスケジュール系が用いられ、Sch5S、Sch10S、Sch20Sが存在します。
スインスケジュール系を用いるのは、その他鋼管と比べて引張強さが非常に大きいからです。
経済的観点から同じスケジュール番号でも肉厚が薄く設定されています。
オーステナイト系ステンレスはSUS304やSUS316、SUS316Lなど代表的なステンレス鋼管が該当します。
Sch40以降はステンレス鋼管でもノルマルスケジュール系が用いられます。
SGPのスケジュール
実はSGP(配管用炭素鋼鋼管)だけJISにて既に肉厚が一定に決まっています。
そもそもスケジュールは高圧での使用を想定した場合に必要な肉厚であり、SGPは低圧(1 MPa以下)での使用を想定された配管材のためスケジュールという概念がありません。
スケジュールの計算方法
使用圧力によってスケジュールが決まることから、設計圧力を基に使用する配管を選定することができます。
耐圧に基づいた基本式
スケジュール計算の際には以下の式を利用します。
$$ スケジュール番号=\frac{設計圧力 [MPa]}{設計温度での配管の許容引張応力 [N/mm^2]\times1000}$$
各単位は以下のように変換することもできますので、参考にした資料の単位に合わせて計算してください。
- 設計圧力:9.8 MPa = 1 kg/cm2
- 許容応力:1 N/mm2 = 9.8 kg/mm2
配管の許容引張応力
配管の許容応力はJIS B 8265「圧力容器の構造-一般事項」にて温度ごとに規定されています。
例えばSTPG370-Sが200℃の時の許容引張応力は92 N/mm2です。
設計圧力が1 MPaの場合、「1/92×1000 ≒ 10.9」となりますのでSch20以上の配管を選定する必要があります。
その他の肉厚表記
今回紹介したスケジュール方式以外にもウエイト方式やミリメートル方式もあります。
ミリメートル方式
配管の厚みをミリメートルで表現したものになります。
特に大口の径である場合や特別肉厚が必要な場合に使用される方式です。
直接厚みが表されているため分かりやすいです。
ウエイト方式
アメリカのMSS:Manufacturers Standardization Society(メーカー標準化協会)が定めた肉厚です。
以下の3種類が定められていますが使用頻度は少ない印象です。
規格一覧
- Std(スタンダードウェイト)
- XS(エキストラストロング)
- XXS(ダブルエキストラストロング)