個人的に面白いと思った配管のDX関連製品をまとめてみました。
INTEGNANCE VR
INTEGNANCE VRは、プラントや工場の保全業務を支援するために設計されたデジタルプラットフォームです。
360度撮影が可能な3Dスキャンカメラで作成された仮想空間上の設備をウェブ上で閲覧・管理できます。
特徴的なのは、3Dスキャンカメラを持ってプラント内を歩き回るだけで仮想空間上にプラントを再現できることです。
概算見積はオンライン完結
「工事の対象の詳細」「正確な場所」「工事導線」という工事に重要な情報が3Dで取得できます。
また画面上で測量したり空間に仮想で物を配置したりも出来ます。
それにより、足場や重機の物量等、概算見積が非常に簡易になり、場合によっては現場確認せずとも概算見積が出せます。
配管NAVI
INTEGNANCE VRの中でも、特に「配管NAVI」は、3Dスキャンカメラで撮影された360度画像と点群データを活用した従来の配管図面に代わる新しい配管管理手法です。
配管NAVIでは3D CADソフトを使用しません。
配管ルートのセンターラインを三次元的に抽出し、ユーザーが画面上で配管ルートの始点と終点を定義することで、指定した範囲の配管ルートを一体のオブジェクトとして登録できます。
INTEGNANCE VR機能の紹介動画
実際に3Dマップ上を確認したり、測量したり、マーキングしたりする機能の動画があります。
3Dプリンタによる炭素鋼造形
日揮グローバルは、炭素鋼材料を用いた3Dプリンタによる設計と造形を成功させました。
特に3Dプリンタ業界では、高級鋼の適用例は多いものの、プラント建設に広く用いられる炭素鋼の造形例が多くはありませんでした。
この造形には、「WAAM技術」と呼ばれる3Dプリンタ用ワイヤを金属材料として使用し、アーク熱源で溶融させて造形する技術が使われています。
最適化された形状で作られた配管サポートは、材料の重量を約3~4割削減し、崩壊荷重を2~6割増加させる強度向上も達成しました。
これにより調達リスク低減や現地での施工性向上、人件費の削減が期待できます。
PlantStream
PlantStreamは、プラント配管設計の初期段階を効率化するための高度な3D CADソフトウェアです。
約1,000本の配管を1分間で自動ルーティングし、初期空間設計の作業量を75%削減します。
この配管配置の様子が圧巻で、動画をぜひご覧ください。
ソフトを提供するPlantStreamという会社は千代田化工建設が50%出資しています。
その関係でソフト設計には熟練プラントエンジニアの知識をアルゴリズムに統合し、速度と精度の両面で品質が高いことが特徴的です。
Dx Valve Cloud Service
アズビルの「Dx Valve Cloud Service」は、調節弁メンテナンスサポートシステム「PLUG-IN Valstaff」で収集されたバルブの稼働データをクラウド上に自動送信・解析するサービスです。
バルブデータの解析と健全性評価を通じて、生産設備の安定化と保安力の強化を目指しています。
クラウド上で毎週更新される診断結果を確認でき、従来の6か月ごとの診断レポートに比べて、バルブの状況を常時把握することが可能です。
PLUG-IN Valstaffについて
「PLUG-IN Valstaff」は、調節弁メンテナンスを支援するシステムで、スマート・バルブ・ポジショナの診断パラメータをプラント運転中にオンラインで監視します。
これにより異常の早期発見や保全計画の立案支援に活用できます。
接続した調節弁は、診断パラメータを24時間365日モニタリングして以下のような支援が受けられます。
- オンライン傾向モニタリング:摺動距離積算、全閉回数積算、反転動作回数などの診断データを収集し、調節弁の劣化や異常の推定を支援
- ステップ応答検査:プラント停止時に実施し、調節弁の性能評価に役立つデータを提供
- オート・セットアップ:ポジショナ自動調整機能を実行し、調節弁の劣化や異常を推定するためのデータを収集
ただしFOUNDATIONフィールドバスやHART®通信に対応したスマート・バルブ・ポジショナと通信が必要です。
3つの主要なコンセプト
Dx Valve Cloud Serviceは、3つの主要なコンセプトに基づいてバルブの診断結果を提供します。
これには、「必要なときに」、「必要な形で」、「必要な場所で」の3つの側面が含まれます。
例えば、バルブ異常の兆候が発生した時や保全計画を立てるとします。
その際にメールやWebダッシュボード、レポートを通じて、事務所や現場、テレワークなどのさまざまな状況でバルブの健康状態を確認できます。
液漏れ検知システム
東北電力とトッパン・フォームズが印刷配線とRFID技術を活用した液漏れ検知システムを開発しました。
このシステムは、油や水、水性薬品などの液漏れを早期に検知するために設計されており、特に難視視点検が必要な発電所の配管などに利用されます。
特殊インキで印刷された電気回路を利用し、液体が付着すると通電状況が変化する特性を持っています。
この変化は、検知部に接続されたICタグによって感知され、RFIDリーダーを使用して検知部の通電状況とICタグのID情報を取得し、液漏れの有無を確認します。
オススメ書籍
・トコトンやさしい配管の本
まず配管を勉強したいときに必ず読みたい書籍です。新人さんにオススメです。
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トコトンやさしい配管の本
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・はじめての配管技術
配管の勉強をするために次に読んでおきたい書籍です。
配管継手に関しても一通りのものが解説されています。
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はじめての配管技術
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・化学プラント配管設計の基本
上記書2冊で基礎を学んだあと、化学プラントで配管設計を行うなら必ず読んでおきたい書籍です。
化学工学も同時に学ぶことができ、内容が充実しています。
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化学プラント配管設計の基本―配管技術者への道しるべ
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