ジャケットの種類
タンクジャケットには加熱冷却媒体が循環します。
使用する圧力や温度、加熱効率などを考えて様々な形式のジャケットが使用されます。
二層式
二層式は一般的によく用いられるジャケットの形式です。
タンクの周囲に加熱冷却媒体が通る層を設けます。
構造が単純なことから容量が小さなタンクにも使いやすいことが特徴です。
スパイラルバッフル
スパイラルバッフルは二層式タンクのジャケットに螺旋状の仕切り板(バッフル)が設けられています。
バッフルにより加熱冷却媒体は螺旋状に流れるようになります。
また乱流を誘発するため伝熱効率の向上が見込めます。
更にバッフルはジャケット自体の補強にも繋がります。
ハーフパイプコイル
ハーフパイプコイルは半分に切断したパイプがコイル状に溶接されています。
そのコイルの中を加熱冷却媒体が通ります。
溶接個所が多いことからタンク壁面の強度増加、コスト削減に繋がります。
また加熱冷却具合は領域によってコイルの巻き数を変えることで調節できることが特徴です。
底部、胴部でコイルを分離すれば加熱冷却媒体を使い分けることも出来ます。
流れは乱流になり高い伝熱効率、また高い流速を実現できます。
ディンプル
ディンプルは”小さなくぼみ”を意味します。
一定間隔にくぼみがある板をジャケットに使用し、ゴルフボールのようなタンク表面になります。
板自体に強度があり、温度変化が大きく耐圧性があることが特徴です。
また加熱冷却媒体の流速が低い場合でも乱流を発生できます。
例えば高圧蒸気を通す場合に使用されます。
覗き窓付きジャケット
一部が強化ガラスになっており、中を覗くことができるジャケットも存在します。
液面高さや状態を確認する必要がある場合は覗き窓付きのジャケットを用います。
ただしガラスの費用や加工費用も上乗せされるため高価になります。
ジャケットの保温
ジャケットは加熱冷却するために取り付けます。
そのため周囲との熱交換を防ぐために保温材を巻きつけ保温するのが一般的です。
断熱材
断熱材は種類が多く、プラントにおいてはグラスウールが広く普及しています。
その他にもロックウール、ケイ酸カルシウム、発泡ポリウレタン、パーライトなどがあります。
断熱材を剝き出しにしておくことは少なく、表面を薄い金属板で保護します。
これをラッキングと呼びます。
断熱の効果
ジャケットは周囲との熱交換を防ぐ以外にも効果があります。
- 周囲からの温度影響を受けにくくなる
- 周囲に温度影響を与えにくくなる
- 火傷を防止する
- 結露を防止する
溶接式三層
断熱材を取り付ける際、二層式ジャケットタンクを三層構造にする場合があります。
断熱層もタンクに溶接で取り付けられているため、外から丸洗いできることが特徴です。
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