計装用空気の特徴

2022年4月29日 広告

プラントの計装機器に使用する圧縮空気は計装用空気と呼ばれます。

計装用空気は一般に使う空気(一般雑用空気)と比べて高品質です。

計装用空気の条件

  • 供給圧力が安定している
  • 水分や油分、塵ごみを含まない
  • 可燃性ガスを含まない(防爆を保つため)

上記の条件を満たすために一般雑用空気よりも機器点数が多くなります。

そのため計装用空気はコストが割高です。

使用機器

  • オイルレスコンプレッサー(油分を防ぐ)
  • アフタークーラー(水分を防ぐ)
  • レシーバータンク(安定供給を実現する)
  • エアドライヤー(水分を防ぐ)
  • エアフィルター(塵やごみを防ぐ)

計装用空気に求められる条件

まずは計装用空気に求める条件を解説します。

供給圧力が安定している

計装機器には動作圧力があります。

そのため計装用空気は安定した圧力で供給する必要があります。

また意図しないタイミングで供給不良となり動作しなくなる危険性もあります。

水分、油分、塵ごみを含まない

計装用空気には水分や油分、塵・ごみを含んではいけません。

水分や油分は機器の錆び、塵やごみは動作不良に繋がります。

計装は装置の制御に関わるものです。

安全に影響する箇所で正常動作しなかったとき、最悪の場合は人の命が失われます。

可燃性ガスを含まない

基本的に圧縮空気は爆発の危険が無く本質的に安全とみなされています。

防爆エリアでは空気圧信号が頻繁に用いられます。

可燃性ガスは含まれていると防爆性能を保てなくなるため、含まないのは必須の条件です。

計装用空気に必要な機器

計装用空気も圧縮空気なのでコンプレッサーで製造することには変わりません。

ただしその空気をいくつか処理する機器が必要でます。

オイルレスコンプレッサー

一般雑用空気には潤滑やシールの目的で油潤滑のコンプレッサーが使用されます。

ただし油潤滑式では圧縮空気の中に油分が含まれてしまいます。

そのため計装用空気にはオイルレスコンプレッサーが使用されます。

ただし油潤滑が無い分、運転時間は短く騒音・振動が大きいデメリットがあります。

アフタークーラー

コンプレッサーで圧縮された空気は高温になります。

それを冷却するためにアフタークーラーを使用します。

アフタークーラーで冷却された空気は水滴含んでいる可能性もあります。

この水滴を無くしたい場合にはレシーバータンクの手前にプレフィルターを取り付けます。

レシーバータンク

コンプレッサーで作成した空気は圧力が変動をしながら供給されます。

このような変動は脈動と呼ばれます。

更に圧縮空気は使用具合によっても圧力が変動します。

不安定な運転ではコンプレッサーがON/OFFを頻繁に繰り返し寿命を縮める恐れがあります。

これを防ぐためにレシーバータンクへ圧縮空気をためておき、常に一定圧力で供給できるようにしておきます。

またコンプレッサーが故障した際には予備空気源としても活用されます。

予備空気源があると安全に設備を停止させる処理ができるようになります。

エアドライヤー

レシーバータンクから供給する空気はエアドライヤーで除湿します。

ただしエアドライヤーは圧縮空気に含まれる水分量をどの程度にするかで除湿方式が違いますので注意が必要です。

つまり圧縮空気の水分はエアドライヤーで決まります。

除湿方式には冷却式、吸着式、膜式などがあります。

エアフィルター

供給する手前で細かい塵やごみはエアフィルターを用いて取り除きます。

通常は2~3種類のフィルターを段々と目が細かくなるように繋げて使います。

効率的に捕集するために、最初に粗取りした後1/100~1/1000ミクロン程度の不純物を取り除きます。

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