ボールバルブのフルボアとレデューストボアの違いを、ボア径・圧力損失・サイズ・価格・用途の面からまとめました。定義はキッツの技術資料と、API 608/API 6Dの区分が根拠です。どちらを選ぶかの判断基準も載せています。
フルボアとレデューストボアの違い 早見表
| 項目 | フルボア | レデューストボア |
|---|---|---|
| ボア径と呼び径の関係 | ほぼ同じ(配管内径と同等) | 呼び径より1サイズ以上小さい |
| 圧力損失 | 小さい(直管に近い) | 大きい |
| ボール・ボデーの大きさと質量 | 大きい・重い | 小さい・軽い |
| 価格 | 高い | 安い |
| ピグ・スワブの通過 | 可 | 原則として不可 |
| 主な用途 | 流量を確保したい配管、ピグを通す配管 | 圧力損失が問題にならない開閉用途、スペースやコストを抑えたい配管 |

フルボアとは
フルボアは、全開にしたときの流路が配管の内径とほぼ同じになるボールバルブです。ボールの穴(ボア)が呼び径いっぱいに開いているため、流体がバルブを通るときに流路が絞られず、圧力損失は直管に近い小さな値です。パイプライン用バルブの規格API 6D(ISO 14313)では、全開時に流路に障害物がなく、規格で決められた最小ボア径を満たすものをフルオープニングと呼びます。その代わりボールと本体が大きくなり、同じ呼び径のレデューストボアより重く、価格も高くなります。
レデューストボアとは
レデューストボアは、ボア径が呼び径より1サイズ以上小さいボールバルブです。キッツはスタンダードボア形(1サイズ小さい)とレデューストボア形(1サイズ以上小さい)に分類しています。ただしこの区分はメーカーによって差があり、BONOMI(RuB)はフルボアとレデューストボアの中間の口径をスタンダードボアと呼びます。金属製ボールバルブの規格API 608と対応するISO 17292では、ボアはフルボア・レデューストボア・ダブルレデューストボアの3区分です。ボールが小さい分だけ本体もコンパクトで安価になり、コストや設置スペースを優先する配管で選ばれます。表記はレデュースボア、レデュースドボアと書かれることもありますが、いずれも同じreduced boreです。reduceは減らす・小さくするという意味で、口径を変える継手のレデューサ(同心、偏心レジューサの使い分け)も同じ語から来ています。
ボア径とは
ボールバルブは、貫通穴を空けた球状の弁体(ボール)を90度回転させて開閉するバルブです。この貫通穴の内径がボア径で、全開時には穴が流路と一直線になるため弁体が流路に残りません。一方、呼び径(20A、3/4Bなど)は接続する配管のサイズを表す番号で、ボア径とは別の値です。フルボアは呼び径とボア径がほぼ一致し、レデューストボアは呼び径よりボア径が小さい、という整理になります。呼び径そのものの決まりは配管の呼び径とは?外径や内径との違いで解説しています。

使い分け
- 流量を確保したい配管はフルボア。 ボア径が小さいほど圧力損失が増え、同じ差圧で流せる流量が減ります。ポンプ吐出や主配管のように流量が大きい箇所ではフルボアを選びます。
- 設置スペースが限られる場合はレデューストボア。 ボールが小さい分、ボデーの大きさと質量を抑えられます。
- 価格を優先するならレデューストボア。 ただし圧力損失の分だけ運転コストは増えるので、常時大流量を流す配管では初期費用だけで決めないほうが無難です。
- ピグやスワブを通す配管はフルボア。 レデューストボアでは流路に段差ができ、清掃・検査用のピグは原則として通せません。
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参考資料
- キッツ「バルブ選定によくある質問 ボール弁:フルボア形、スタンダードボア形、レデューストボア形の違いを教えてください」(https://www.kitz.co.jp/faq_dialect/ball-valves/)
- キッツ「バルブの基礎知識:ボールバルブ(Λポートバルブ)」(https://www.kitz.co.jp/reference/structure/ballvalve/)
- API 608 "Metal Ball Valves—Flanged, Threaded, and Welding Ends" / ISO 17292 "Metal ball valves for petroleum, petrochemical and allied industries"(ボアの3区分。ISO 17292 の公開プレビューで確認。API 608 の概要は Relia Valve https://www.reliavalves.com/api-standard/api-608 )
- API 6D "Specification for Pipeline and Piping Valves" / ISO 14313:2007 "Pipeline valves"(フルオープニングの定義 4.11・6.2.1。API 6D の概要は Relia Valve https://www.reliavalves.com/dimensions-and-weight/api-6d-valve-minimum-bore-size )
- オンダ製作所「FIVEシリーズ」(F型=配管径より1サイズ小さいレギュラーボール、FS型=2サイズ小さいレデューストボア)(https://www.onda.co.jp/products/series/five/index.html)
- RuB(BONOMI Industries)ボールバルブのボア区分(https://www.rubkk.jp/ja/furuhoasutantatohoareteyusutohoawoshiifenketeliuliangtokosutowoxiaoluhua)
更新履歴 2026-09 定義と早見表を冒頭に移動。ピグ通過・用途の比較、API 608/API 6Dの区分を追加。表記を「レデューストボア」に統一。





