流量計の種類と選び方

電気計装/計測機器計測機器の7本目(全7本)公開

流量計を測る原理で9種類に分け、測れる流体・圧力損失・直管長・精度などで比べました。最初に選ぶ順番、次に比較表、最後に電磁流量計の導電率や差圧式の開平など、選定でつまずきやすい点を数値つきで並べています。表の数値はメーカー資料と規格からまとめた目安で、同じ方式でも機種と口径で変わります。

流量計を選ぶ順番

  1. 流体の種類で絞る。 液体・気体・蒸気・スラリーのどれかで候補が絞れます。電磁式は導電性の液体だけ、熱式はほぼ気体だけが対象です。
  2. 体積と質量のどちらが要るか。 質量を直接測れるのはコリオリ式と熱式です。ほかの方式は体積を測り、密度をかけて質量にします(体積流量と質量流量の関係)。
  3. 導電率と粘度を確かめる。 導電率が下限より低い液体は電磁式で測れません。粘度が高いと渦式は測れる流量の下限が上がります。高粘度の液には容積式とコリオリ式が向き、導電性があれば粘度の影響を受けない電磁式も使えます。
  4. 圧力損失をどこまで許せるか。 ポンプの揚程に余裕が無いラインでは、圧力損失がほぼ無い電磁式と超音波式から考えます。
  5. 直管長が取れるか。 取れない場所では、直管が要らない容積式・面積式・コリオリ式に絞ります。
  6. 精度は使い道で決める。 監視や警報なら差圧式(FSの±2%程度)でも足ります。積算には、指示値の±0.5%以下を狙える容積式・タービン式・コリオリ式・電磁式が向きます。
  7. 保守の手間を比べる。 容積式とタービン式は可動部が摩耗し、上流にストレーナも付けます。差圧式のトラブルは、差圧を伝送器へ導く導圧管から起きるものが多くなります。
  8. 価格は保守費まで含めて比べる。 流量計の値段に、ストレーナなどの関連機器と設置費、保守運用費を足して比べます。
この記事の内容
  1. 流量計の種類一覧(測れる流体と測る量)
  2. 圧力損失・直管長・精度の比較
  3. 電磁流量計は導電率が足りない液体を測れない
  4. 差圧式は開平が要り低流量が苦手
  5. 渦流量計の下限はレイノルズ数で決まる
  6. 気体はNm³/hと実流量を分けて扱う
  7. 精度の%FSと%RDGの違い
  8. 直管長が取れないときの誤差と対策
  9. 流量計の記号と出力信号
  10. 参考資料

流量計の種類一覧(測れる流体と測る量)

○は使える、△は条件付き、×は使えないか向かないことを表します。*は気体用・蒸気用に専用の機種を使うものです。JISの欄は、その方式を対象にしたJISの番号です。-は、その方式を対象にしたJISが無いものです。

方式 測る量 液体 気体 蒸気 スラリー 主な制約 JIS
差圧式(オリフィス・ベンチュリ管) 体積 ○ ○ ○ △ 開平が要る。導圧管が詰まる。スラリーは工夫しだい Z 8762
面積式 体積 ○ ○ ○ △ 標準は垂直上向き。水平・下向き用の機種もある。密度で指示がずれる。スラリーは低濃度まで B 7551
容積式 体積 ○ ○ × × 固形物で止まる。低粘度の液化ガスは苦手 -
タービン式 体積 ○ ○* ○* × 軸受が摩耗する。高粘度で特性が悪くなる Z 8765
電磁式 体積 ○ × × ○ 導電性の液体だけ B 7554
渦式 体積 ○ ○ ○ △ 低流速では信号が出ない。高粘度で下限が上がる。スラリーは低濃度まで Z 8766
超音波式 体積 ○ ○* ○* △ 伝搬時間差式は気泡とごみに弱い。スラリーはドップラー式 -
コリオリ式 質量 ○ △ × ○ 高価。外部の振動と気泡に弱い。気体は高圧のとき B 7555
熱式 質量 △ ○ × × 清浄なガス向き。ガスの種類で換算する。液体は微少流量用 -

圧力損失・直管長・精度の比較

数値は複数のメーカー資料と規格から組み直した目安で、列ごとの出典は表の下に書きました。レンジアビリティは精度を保証できる最大流量と最小流量の比で、Dは呼び径を表します。

方式 圧力損失 直管長(上流/下流) レンジアビリティ 精度の目安
差圧式 大(ベンチュリ管は小さめ) 長い(例:β0.67で90°ベンド1個なら44D/7D) 3:1程度とされてきた FSの±2〜3%
面積式 小〜大 不要 10:1程度 FSの±1〜5%
容積式 中〜大(ストレーナを含む) 不要 10〜20:1 指示値の±0.2〜0.5%
タービン式 比較的小さい(ストレーナを含めると中〜大) 要る(15D/5Dの例) 15〜25:1 指示値の±0.2〜0.5%
電磁式 ほぼなし 5〜10D/0〜3D 100:1程度 指示値の±0.15〜0.5%
渦式 小 5〜20D/5D 液体で10〜15:1程度 指示値の±0.75〜1%
超音波式 ほぼなし 10〜15D以上/5D 広い 接液形は指示値の±0.5%から、クランプオン形はFSの±2〜3%
コリオリ式 小〜大(機種で差) 不要 100:1程度 指示値の±0.1〜0.2%
熱式 ほぼなし 機種による(挿入形は要る) 広い FSの±0.5〜5%
  • 圧力損失: 東京計装の連載(第2〜6・10回)、キーエンス、オーバルの選定ガイド(p.15・p.21・p.22)。面積式の値と、容積式・タービン式のストレーナ込みの値はオーバル(p.25)。
  • 直管長: 差圧式はISO 5167の値(エマソンの技術資料)で、設計にはJIS Z 8762-2の表3を使います。電磁式・渦式・コリオリ式は横河電機の仕様書、面積式・容積式・熱式は東京計装です。タービン式と電磁式の下流3Dはオーバル(p.25)、超音波式は東京計装・オーバル・エンドレスハウザーによります。
  • レンジアビリティ: 東京計装(差圧式・面積式・渦式・超音波式・コリオリ式・熱式)とキーエンス(差圧式・コリオリ式)。電磁式は横河電機、容積式・タービン式はオーバルです。
  • 精度: 東京計装(差圧式・容積式・タービン式・電磁式・渦式・超音波式・コリオリ式)、横河電機(電磁式・渦式・コリオリ式)、オーバル(面積式・熱式)。

コリオリ式は細い管に速く流すため、東京計装は「かなりの圧力損失」が出るとし、オーバルのガイドも短所に圧力損失の大きさを挙げています。一方で横河電機は、20℃の水で圧力損失が1bar(100kPa)になる流量を常用流量と定めています。

電磁流量計は導電率が足りない液体を測れない

電磁流量計は、磁界の中を流れる液体に生じる起電力から流速を求めます。電気を通さない油や超純水は測れず、気体と蒸気も対象外です。必要な導電率は機種と口径で変わり、横河電機の仕様書では口径15〜125mmで1μS/cm以上、500mmで20μS/cm以上です。

純水やアルコール類のような低導電率の液は指示が揺れやすいため、渦式やコリオリ式、容量式の電磁流量計も候補にします。上流で薬液を注入して導電率にむらができても指示が乱れるので、注入点は下流に置き、上流なら約50D以上離します。直管長は短めで、同じ仕様書の推奨は上流5〜10D、下流0〜2Dです。

差圧式は開平が要り低流量が苦手

オリフィスやベンチュリ管で流れを絞り、その上流と絞った所の圧力差(差圧)から流量を求めます。化学工学便覧はオリフィスの流量を次の式で表しています。

オリフィス流量計の体積流量[m³/s]

$$q=C_{o}\varepsilon\frac{\pi d^{2}}{4}\sqrt{\frac{2\Delta p}{\rho}}$$

式は横にスクロールできます

q:体積流量[m³/s]、Co:流量係数(接近流速の影響を含む。JISの流出係数Cとは別)[-]、ε:膨張補正係数(気体のときに使う)[-]、d:オリフィスの孔径[m]、Δp:差圧[Pa]、ρ:上流側の流体の密度[kg/m³]

差圧は流量の2乗に比例し、流量が2倍なら差圧は4倍です。そこで差圧の信号を開平(平方根の計算)して流量に直します。差圧に比例した4-20mA信号のままだと、流量50%で8mA(差圧25%)、流量10%では4.16mA(差圧1%)しかありません。差圧の測定範囲(スパン)の0.1%の誤差でも、流量10%では指示値の約±5%になります。

そのため1台で精度よく測れる最大と最小の流量比は、3:1程度とされてきました。差圧伝送器の性能が上がった今は、状況が少し変わったとも書かれています(東京計装)。伝送器で開平した信号を受信側でもう一度開平する二重開平も、よくある誤りです。電流と流量の換算は4-20mA信号換算ツール(別サイト)で確かめられます。

渦流量計の下限はレイノルズ数で決まる

渦流量計は、流れの中に置いた柱の下流にできるカルマン渦の数から流速を求めます。流量がある値より下がると、信号が出なくなります。横河電機の仕様書では、測れる最小流速はレイノルズ数5000に当たる流速です(密度で決まる下限の方が大きければそちら)。それより遅いと出力はゼロになり、精度を保証するのはレイノルズ数20000以上、大口径では40000以上です。

内径50mmで水(1mPa・s)なら、レイノルズ数5000は流速0.1m/s、20000は0.4m/sに当たります。ただし水では密度で決まる下限(口径50mmの一般形で√(90/ρ)=0.3m/s)の方が大きく、0.3m/s未満で出力がゼロになります。密度が同じで粘度10mPa・sの液ではレイノルズ数の下限が1m/sと4m/sに上がり、精度を保証できる幅は液体の上限10m/sまでの2.5倍しか残りません。計算はレイノルズ数(配管)の計算ツール(別サイト)で、考え方はレイノルズ数による層流と乱流の確認で確かめられます。

気体はNm³/hと実流量を分けて扱う

気体の体積は温度と圧力で大きく変わるため、0℃・101.325kPa(絶対圧)の基準状態に換算したNm³/hで表すことが多くなります。運転条件のままの体積は実流量(実m³/h)として区別します。

実流量から基準状態の流量への換算(理想気体)[Nm³/h]

$$Q_{N}=Q\times\frac{P}{101.325}\times\frac{273.15}{273.15+t}$$

式は横にスクロールできます

QN:基準状態の流量[Nm³/h]、Q:実流量[m³/h]、P:運転圧力(絶対圧)[kPa]、t:運転温度[℃]

0.5MPaG・40℃の配管で実流量100m³/hなら、Pは601.325kPaで約518Nm³/hとなり、実流量の5倍を超えます。圧力はゲージ圧に大気圧を足した絶対圧で入れます(絶対圧力とゲージ圧力の違いと換算方法)。

渦式は運転条件での体積を測り、差圧式も運転条件の密度で流量を計算します。どちらもNm³/hで表示するには温度と圧力の補正が要り、補正器の設定の誤りもよくあるトラブルです。換算は理想気体の状態方程式・標準状態換算(別サイト)、配管内の流速は実流量のまま流量・流速・配管径換算(別サイト)で求めます。15℃を基準にしたSm³/hもあるので、受け取った数字は基準の温度と圧力も確かめます。

精度の%FSと%RDGの違い

%FSはフルスケールに対する誤差で、流量が小さいほど指示値に対する割合が大きくなります。フルスケール100m³/hで±1%FSなら、20m³/hでも誤差は±1m³/hで、指示値の±5%です。±1%RDGなら同じ20m³/hで±0.2m³/hにとどまります(測定精度を表すF.S.とrdgの違い)。

指示値に対する精度でも、出力の種類で値が変わります。横河電機の仕様書は精度をパルス出力で決めていて、電流出力では渦流量計でフルスケールの±0.1%、電磁流量計でスパンの±0.05%が足されます。

直管長が取れないときの誤差と対策

流量計の多くは、管内の流速分布が整った状態を前提にしています。直管長が足りないと分布が偏り、誤差の元になります。エンドレスハウザーの資料の例は、1パスのクランプオン式超音波流量計を90°ベンドの5D下流に付けた場合です。センサの向きしだいで-25〜+15%の誤差が出ることがあり、補正の無い場合は上流に15D以上を求めています。表の直管長は目安です。渦流量計でも、上流に弁があると20Dが要る例があります(横河電機)。

  • 差圧式はJIS Z 8762-2の表3で確かめる。 整流装置が無いときの直管長は、絞り直径比β(孔径÷管内径)と上流の継手で決まります。β=0.75で同じ平面上に90°ベンドが2個S字に続き、その間隔が10D以内なら上流44Dです。
  • 整流器を入れる。 流速分布の乱れが大きいとき、上流側の直管長を短くできます。
  • 差圧式は絞りをベンチュリ管にする。 オリフィスより必要直管長が大幅に短く、圧力損失も小さくなります。
  • 直管の要らない方式に替える。 渦流量計の直管長が取れないときは、コリオリ式に替える手があります。
  • 2つの平面にまたがるエルボを避ける。 強い旋回流で、タービン流量計に大きな誤差が出た例があります(東京計装)。

流量計の記号と出力信号

計装図(P&ID)では流量をFで表します。FEは検出器(オリフィスなど)、FTは伝送器、FICは流量の指示調節、FQは積算です(JIS Z 8204)。ほかの文字は計装用の文字記号の表にあります。瞬時流量は4-20mAで送り(4-20mAと1-5Vの違いと変換方法)、積算にはパルス出力を使うことが多くなります。

参考資料

  1. オーバル「だれでもかんたん。流量計の選びかた」第2章 流量管理の課題、第3章 流量計の選定(各方式の長所と短所、主な測定対象の表) https://www.oval.co.jp/fwp/wp-content/uploads/2022/12/wp_flowmeter_e.pdf(別サイト)
  2. 東京計装 技術情報「流量計とは」第2回 差圧式流量計〜第12回 流量計のトラブル https://www.tokyokeiso.co.jp/techinfo/magazine/(別サイト)
  3. キーエンス 流量知識.COM「流量計の種類」 https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/(別サイト) /「選定のポイント【基礎編】」 https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/selection/point.jsp(別サイト)
  4. 横河電機 一般仕様書 GS 01E22A01-01JA(電磁流量計、2025年4月版) https://web-material3.yokogawa.com/19/15850/files/GS01E22A01-01JA.pdf(別サイト)
  5. 横河電機 一般仕様書 GS 01F07A00-01JA(渦流量計、2026年3月 8版) https://web-material3.yokogawa.com/GS01F07A00-01JA.pdf(別サイト)
  6. 横河電機 一般仕様書 GS 01U10B04-00JA-R(コリオリ質量流量計、2026年7月 7版) https://www.yokogawa.co.jp/pdf/provide/J/GW/GS/0000086660/0/GS01U10B04-00JA-R.pdf(別サイト)
  7. エンドレスハウザー ホワイトペーパー WP01198D/JA「超音波流量計クランプオンセンサ用の流れの障害補正(FlowDC)機能」 https://bdih-download.endress.com/files/DLA/005056A500261EEF8BA22B7C1825A3A8/WP01198DJA_0124_FlowDC%20for%20ultrasonic%20clamp-on%20sensors.pdf(別サイト)
  8. エマソン(Rosemount)Technical Note「Conditioning Orifice Plate Technology」2004年7月(ISO 5167の必要直管長の表) https://emerson.com/documents/automation/technical-note-conditioning-orifice-plate-technology-taking-standard-to-a-new-level-of-capability-rosemount-en-77742.pdf(別サイト)
  9. 化学工学会 編『改訂六版 化学工学便覧』丸善、1999年、5·4·5「流量の測定」(式5·188)
  10. JIS Z 8762-1〜-4:2007「円形管路の絞り機構による流量測定方法」第1部〜第4部、JIS Z 8762-2:2007 正誤票(日本規格協会) https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/errata/jis_z_08762_002_000_2007_cor_1_200701_j_ch.pdf(別サイト)
  11. JIS B 7554:2024「電磁流量計」
  12. JIS Z 8766:2002「渦流量計-流量測定方法」
  13. JIS B 7555:2003「コリオリメータによる流量計測方法(質量流量,密度及び体積流量計測)」
  14. JIS B 7551:1999「フロート形面積流量計」
  15. JIS Z 8765:1980「タービン流量計による流量測定方法」
  16. JIS Z 8204:1983「計装用記号」

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