イーサネット(Ethernet)とよく聞きますが何を意味するのでしょうか。
今回はEthernetについて初めて勉強される方に向けて可能な限りかみ砕いて解説します。
※初心者が聞くと混乱されやすいOSI参照モデルを用いた解説は行わず別で解説しています。
Ethernetとは?
EthernetとはPLCやPCをはじめ様々な機器同士が有線で通信するための規格です。
つまり機器のメーカーや種類が違っていても、お互いがEthernet規格に対応しているおかげで問題なく通信ができるということです。
※正確には通信するためにEthernetだけでなく他の通信規格も組み合わせており、それら全ての規格を合わせなければなりません。
LANケーブルとの違い
そもそもEthernetという規格では使用するケーブルの種類やコネクター形状が定められています。
それがEthernetケーブルです。
私たちが普段使用するLANケーブルはEthernetケーブルの一種です。
その他にもテレビのアンテナ線で使われる同軸ケーブルやネット回線に使われる光ファイバーがEthernetケーブルに分類されます。
汎用的にはLANケーブルが多く用いられており、Ethernetケーブルと言えばLANケーブルを指すことが一般的です。
Wi-Fiとの違い
Ethernetが有線の通信規格であるのに対してWi-Fiは無線通信の規格です。
ただし機器同士の接続方法を有線か無線か決めているだけです。
データ自体をどこにどんな形式で送るかなどはTCPやIPといった別の規格で決めるため有線・無線関係ありません。
ちなみにWi-FiとEthernetの変換、つまり無線と有線の変換はイーサネットコンバーターで行われます。
伝送速度による区分
Ethernetの中にも伝送速度やケーブル種別に応じて区分された規格が存在します。
現在の主流は”1000BASE-T”です。
LANケーブルを用いており伝送速度が1000Mbpsの規格です。
またLANケーブルにはカテゴリー(CAT)という区分があります。
1000BASE-Tで使われるカテゴリーはCAT5eであり、これを使用していれば基本的に支障はありません。
Ethernetケーブルには様々な規格がありますのでリンク先を参考にしてみてください。
産業用Ethernet
そもそもEthernetは大量のデータ送信を目的としており伝送時間に関しては重要視されていません。
そこでEthernet技術を産業領域に適応できるようリアルタイム性能やデータ信頼性を向上させた産業用Ethernetの分野が確立しました。
RTE(リアルタイムイーサネット)とも呼ばれます。
フィールドバスからの移行
産業用Ethernetが普及するまではPROFIBUS DP、Modbus-RTU、CC-Link、DeviceNeなどのフィールドバスが主流でした。
制御機器と現場機器との通信にはフィールドバス特有の確実な伝送が求められたためです。
一方でフィールドバスへの通信速度に対する限界から着実に産業用Ethernetへと移行が進んでいます。
代表的な規格
代表的なものにPROFINET、Ethernet/IP、EtherCAT、CC-Link IE、FL-netなどがあります。
産業用EthernetはDCSやPLC計装の通信にも使用されています。
それぞれの細かい内容を勉強するのは難易度が高いですので、ひとまず名称だけでも覚えておくと今後の役に立ちます。
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