安全弁・破裂板の選び方と吹出し量の求め方

安全/プロセス安全プロセス安全の1本目(全1本)公開

安全弁と破裂板は、許容圧力を超えた容器や配管から流体を逃がして破裂を防ぐ装置です。設定圧力は守る設備の許容圧力以下に置き、口径は必要な吹出し面積が最も大きくなる原因で決めます。形式の比較・吹出し量の式と計算例・法令の決まりを順に載せました。

安全弁・破裂板を決める順番(早見表)

順 決めること 目安・確かめること
1 守る範囲と設定圧力 設定圧力は守る設備の許容圧力(最高使用圧力・MAWP)以下。弁が2個以上なら2個目から少し高く置ける(法令の表)
2 圧力が上がる原因 出口の閉止、調節弁や減圧弁の故障、熱交換器のチューブ破損、冷却や電源の喪失、外部火災、液封の熱膨張、反応の異常
3 所要吹出し量 原因ごとに量を出す(API 521)。過圧の取り方や流体の状態で式が変わるので、必要な面積で比べる
4 形式 ばね式(通常形・平衡形)、パイロット式、破裂板、組み合わせから、背圧・漏れ・流体の性状で選ぶ(比較表)
5 背圧 放出先の圧力が変わるなら平衡形かパイロット式。通常形は吹出し背圧を過圧(10%など)以下に
6 口径 必要な吹出し面積が最も大きい原因で、メーカーの認定値からそれ以上の口径を選ぶ(計算例)
7 入口と出口の配管 入口の圧損は設定圧力の3%が目安(API 520 Part II)。元弁・放出先・吹出しの反力も決める
8 法令と検査 高圧ガス保安法・ボイラー及び圧力容器安全規則・消防法の基準を、所轄の行政に確かめる
この記事の内容
  1. 安全弁・逃し弁・安全逃し弁と破裂板の違い
  2. 形式の比較表(ばね式・パイロット式・破裂板)
  3. 設定圧力・吹止まり・背圧の用語
  4. 吹出し量を決める原因
  5. 口径の求め方と計算例
  6. 安全弁と破裂板の組み合わせ
  7. 据付けと保守でつまずく点
  8. 法令で決まっていること
  9. 参考資料

安全弁・逃し弁・安全逃し弁と破裂板の違い

どれも流体自身の圧力で開く装置で、外からの動力は使いません。自動弁の中での分け方は自動ボールバルブの種類と使い分けにあります。

種類 主な流体 開き方 作動の後 主な使いどころ
安全弁 蒸気・ガス 設定圧力で一気に開く(ポップ) 圧力が下がると閉じる ボイラー、圧力容器、ガスの配管
逃し弁(リリーフ弁) 液体 圧力の上昇に応じて少しずつ開く 閉じる ポンプの吐出側、液が閉じ込められる配管
安全逃し弁 ガス・液体 流体に応じて上の2つのどちらかの動き 閉じる ガスと液の両方が来る所
破裂板 ガス・液体 薄い板が破れて開く 閉じない(運転を止めて交換) 急な圧力上昇、腐食性・高粘度・固着する流体、弁座の漏れを嫌う所

出典:弁の区分はPentair(ASME PTC 25の用語)とベン、破裂板の特徴は高圧ガス保安協会の資料。

JIS B 8210(2017年版)の安全弁は、流体の圧力だけで開いて圧力が戻ると閉じる弁です。現行の2025年版は製品の規格で、パイロット式は対象外です。どこにどの形式を付けるかは、法令の基準とAPI 520・521などの指針で決めます。

形式の比較表(ばね式・パイロット式・破裂板)

項目 ばね式(通常形) ばね式(平衡形・ベローズ) パイロット式 破裂板
閉じておく力 ばね ばね。ベローズで背圧の効きを打ち消す 流体の圧力。小さなパイロット弁が主弁を開閉する 板の強さ
吹く前から出口にある背圧 その分だけ開く圧力が上がる 開く圧力は変わらない 開く圧力は変わらない 差圧で破れるので、その分を見込んで破裂圧力を決める
吹出し背圧の目安 過圧(10%など)以下 API 526の多くのガス用の弁は、過圧10%なら総背圧が設定圧力の30%まで容量が落ちない 高い背圧にも耐えやすい -
設定圧力の近くでの運転 漏れの試験は設定圧力の90%(API 527) 同左 95%(一部は98%)まで漏れない例 弁座の漏れは無い。運転圧力の上限はメーカーの値
吹下がり ガス用で7〜10%、液用で10〜15% メーカーの値(弁座まわりは通常形とほぼ同じ) 必要な量だけ開くモジュレーティング形で3〜4% 吹き止まらない
弱み 入口の圧損の影響を受けやすい。重畳背圧で開く圧力が変わる ベローズの耐圧に上限がある。ボンネットの通気口を塞ぐと設計どおりに働かない 高温・薬品・重合する液や粘い液では使える範囲に制約がある。構造が複雑。背圧が入口の圧力を超えうるなら逆流防止の部品が要る 一度作動すると運転を止めて交換。定期的な交換も要り、間隔は運転圧力と破裂圧力の比、圧力・温度の変動、腐食で決める

出典:ばね式とパイロット式はPentair(2012年)、通気口はAIChE CCPS、破裂板はJIS B 8226-1と高圧ガス保安協会の資料。

ばね式は、開く直前に弁座を押す力が最も弱くなります。パイロット式は逆で、圧力が上がるほど強く締まります。ばね式は、流量の決まり方で揚程式と全量式に分かれます(JIS B 8210)。揚程式は弁体と弁座のすき間で、全量式は入口ののど部の面積で流量が決まります。

破裂板には、ドーム形(正作動)・反転ドーム形(逆作動)・平形などがあります(JIS B 8226-1)。一般高圧ガス保安規則の例示基準で破裂板が挙がるのは、急な圧力上昇のおそれがある設備です。反応生成物の性状でばね式安全弁が向かない設備も同じで、自動圧力制御装置でもよいとしています。

設定圧力・吹止まり・背圧の用語

Pentairの図の例(ASME Sec.VIII・弁1個)では、設定圧力が許容圧力と同じ100%です。吹出し中は110%まで上がってよく、弁は92%で閉じます。運転圧力は、にじみ始める90%より下の84%です。

用語 意味 数値の例・決まり
設定圧力 安全弁が開き始める圧力として決めた圧力 守る設備の許容圧力以下
吹出し圧力 弁体が一気に大きく上がる(ポップする)入口圧力 蒸気用の弁の設定の基準
吹始め圧力 流体がわずかに流れ出す入口圧力 液体・気体用の弁の設定の基準
過圧 設定圧力を超えて上がる分。吹出し量はこの圧力で計算する ASME Sec.VIIIの弁は過圧10%で定格の吹出し量
蓄圧(アキュムレーション) 吹出し中に許容圧力を超えてよい上がり幅 ASME Sec.VIIIで弁1個なら10%、複数なら16%、火災なら21%
吹出し量決定圧力 吹出し量を計算する入口の圧力(高圧ガスの用語) ばね式は圧縮ガスで許容圧力の1.1倍以下、液化ガスで1.2倍以下。破裂板は1.1倍以下
吹止まり圧力 吹いた後に圧力が下がり、弁が閉じる圧力 上の図の例では設定圧力の92%
吹下がり 設定圧力と吹止まり圧力の差 ガス用の弁で7〜10%
重畳背圧 吹く前から出口にかかっている圧力 データシートには一定と変動を分けて書く
吹出し背圧 自分の吹出しで出口配管に生じる圧力 通常形は過圧以下

出典:設定圧力は高圧ガス保安協会、吹出し・吹始め圧力はベン、吹出し量決定圧力は例示基準、そのほかはPentair(ASMEとAPIの説明)。

式の圧力は絶対圧で、ゲージ圧に大気圧を足します(絶対圧力とゲージ圧力の違い)。設定圧力を超える分を「アキュームレーション(増加圧力)」と呼ぶ国内のメーカー資料もあります。%の数字は、どちらの圧力が基準かを確かめて読みます。

吹出し量を決める原因

原因 起きること 所要吹出し量の考え方
出口の閉止 出口弁を閉めたままポンプや圧縮機を回す 往復式・回転式の圧縮機は圧力が上がり続けるので安全弁が要る。吐出量の全量を所要吹出し量とする
調節弁・減圧弁の故障 上流の高い圧力の流体が全開の弁から流れ込む 全開の弁を通る量。下流の安全弁がこの量を逃がせるか確かめる
熱交換器のチューブ破損 高圧側の流体が低圧側に入る チューブ1本が切れ、2つの切り口から流れ込む量。臨界流速で流れるのはガスの場合。低圧側の試験圧力が高圧側の圧力以上なら、破損を想定しなくてよい場合がある
外部火災 容器の液が火で熱せられて蒸発する 入熱を下の式で出し、蒸発潜熱で割る
液封の熱膨張 閉じ込められた液が日射や加熱で膨らむ 量は小さく、3/4×1インチの逃し弁が多い
反応の異常 反応が通常の状態を外れて圧力が上がる 急な圧力上昇には破裂板も候補。液とガスが混じって吹く場合(二相流)は、API 520 Part Iの二相流の方法で計算する

出典:出口の閉止は化学工学便覧(表5·22)と例示基準、調節弁はBaumannの訳書(第7章)、チューブ破損は石井とCheCalcの解説。そのほかはAPI 521・520(Pentairの説明)と高圧ガス保安協会の事故例。

口径を決めるのは、必要な吹出し面積が最も大きくなる原因です。火災は過圧21%で計算でき、液とガスでは式も違うためです。API 521は、還流の停止・電源の喪失・液の入れすぎも原因に挙げています。液が来る原因もあるなら、液でも安定して働く形式を選びます。

外部火災で容器の液が受ける熱(API 521)

$$Q = 43200\,F\,A_w^{0.82}$$

式は横にスクロールできます

F:環境係数[-](保温なしで1.0)、Aw:火にさらされる濡れ面積[m²]、Q:液が受ける熱[W]

速やかな消火と排液が見込めない場所では、係数を70,900にします。濡れ面積は、火元から高さ7.6 mまでの部分です。高圧ガスの液化ガス設備は、例示基準の式で出します。貯槽なら外表面積の全体を使い、係数は2.56×10^8 J/h(約71,100 W)です。この係数は43,200の約1.65倍で、水噴霧か散水の設備があればFは0.6になります。

外部火災の所要吹出し量

$$W = \frac{3600\,Q}{L}$$

式は横にスクロールできます

W:所要吹出し量[kg/h]、Q:液が受ける熱[W]、L:吹出し圧力での蒸発潜熱[J/kg]

例として保温の無い容器で濡れ面積が20 m²なら、Q=43,200×20^0.82≒504 kWです。蒸発潜熱が300 kJ/kgの液なら、所要吹出し量は約6,050 kg/hになります。

口径の求め方と計算例

ガスや蒸気は、出口の圧力が十分に低いと弁ののど部で音速に達します。この状態を臨界流れといい、流量は出口の圧力によりません。音速は流体の圧縮性と非圧縮性で扱っています。

ガスの必要吹出し面積(臨界流れ)

$$A = \frac{W}{C\,K\,P_1\,K_b\,K_c}\sqrt{\frac{T\,Z}{M}}$$

式は横にスクロールできます

A:必要な吹出し面積[mm²]、W:所要吹出し量[kg/h]C:比熱比で決まる係数(下の式)、K:吹出し係数[-]、P1:吹出し時の入口圧力(絶対圧)[MPa]Kb:背圧の補正係数[-]、Kc:破裂板と組み合わせる補正係数[-]、T:吹出し時の入口温度[K]k:比熱比[-]、Z:圧縮係数[-]、M:分子量[kg/kmol]

係数C(W[kg/h]・A[mm²]・P1[MPa]の組で使う値)

$$C = 39.48\sqrt{k\left(\frac{2}{k+1}\right)^{\frac{k+1}{k-1}}}$$

式は横にスクロールできます

Pentairのハンドブックの式(bar表示)を、MPaとmm²の組に直した形です。例示基準も同じ形の式で、空気(k=1.40)ならC=27.0になります。kが分からなければC≒23.9を使います。

  • K:メーカーが試験で求めた値の0.9倍を使う(ASME、ISO 4126)。弁を決める前の予備計算はAPI 520の有効値で、ガス・蒸気0.975、液0.65。
  • Kb:大気へ放出する通常形なら1.0。背圧が高い場合や平衡形は、メーカーの線図から読む。
  • Kc:破裂板が無ければ1.0。組み合わせる場合は次の節。

例題:空気圧縮機につないだ空気槽の安全弁(条件は例として置いた値)

項目 値
所要吹出し量 W 1,500 kg/h(圧縮機の吐出量。出口を閉じると全量が槽に入る)
設定圧力 0.95 MPa(ゲージ圧)。槽の許容圧力と同じ
吹出し時の入口圧力 P1 過圧10%で 0.95×1.10+0.101=1.146 MPa(絶対圧)
入口温度 T 40℃=313.15 K
空気の物性 M=28.97、k=1.40(C=27.03)、Z=1.0
吹出し係数 K 0.975(API 520の予備計算用の有効値)
Kb、Kc 1.0(大気へ放出、破裂板なし)
必要な吹出し面積 A 1,500÷(27.03×0.975×1.146)×√(313.15×1.0÷28.97)≒163 mm²
選ぶ面積(API 526) 163 mm²以上で最小のF(198 mm²)。同じ条件で約1,820 kg/hを流せる

出口は大気圧で、P1との比は0.088です。空気の臨界圧力比0.528より小さく、臨界流れの式が使えます。API 526(フランジ形の安全弁の規格)の文字記号なら、Fの198 mm²です。

弁を決めたら、認定吹出し係数と実際の面積で計算し直します(API 520 Part Iの手順)。予備計算の有効値と実際の値は、1つの計算に混ぜません。空気1,500 kg/hは約1,160 Nm³/hです。換算は理想気体の状態方程式・標準状態換算(別サイト)でできます。

安全弁と破裂板の組み合わせ

破裂板を安全弁の入口側に置くと、腐食性の流体から安全弁を守れます。高価な耐食材料が要るのは破裂板だけで、運転中の漏れもゼロです。固形物を含む流体や粘い液にも使われる組み合わせです。

  • 破裂板と安全弁の間に圧力計と排気を付け、破れや漏れを見つけられるようにする。間に圧力がたまると、破裂板が正しく開かない(ASME Sec.VIII)。
  • 破片の出ない破裂板を選び、安全弁へのかみ込みを防ぐ。
  • 安全弁の吹出し量に組み合わせの係数Kcを掛ける。組み合わせで試験していなければ0.9とする(ASME Sec.VIII)。JIS B 8226-2も、この係数を試験で決める方法を定めている。

出口側に破裂板を置く使い方もあります。この破裂板は大気圧に近い圧力で破れるものが多く、間の空間は大気に通じさせます。安全弁は平衡形を使う置き方です。

据付けと保守でつまずく点

入口配管の圧損は設定圧力の3%が目安

安全弁が開くと、入口配管の摩擦で弁の入口の圧力が下がります。この圧損が吹下がりより大きいと、閉じた弁がすぐ開いて開閉を繰り返します(チャタリング)。Pentairの例をMPaに直して考えます。設定圧力1.0 MPa・吹下がり7%の弁は、0.93 MPaで閉じます。入口の圧損が3%なら設備側は0.96 MPaにとどまり、弁は閉じたままです。圧損が10%だと設備側は1.03 MPaになり、閉じた弁がまた開きます。

API 520 Part IIの目安は、設定圧力の3%以下です。圧損は、弁の定格の吹出し量で計算します。3%は、圧縮性流体で吹下がりとの差を残すための目安です。ASME Sec.VIII(圧力容器の規格)の付録Mも3%でした。ASMEは2021年版で、圧力逃し装置の規定をSection XIIIへ移しています。ISO 4126-9の上限は3%と吹下がりの1/3の小さい方で、吹下がりと圧損の差も2%以上が条件です。国内の配管設計の本にも、塔頂から安全弁入口までを2%以下とする例があります(石井)。

超えたら、入口配管を太くするか短く真っすぐにします。API 520 Part IIは第6版で、記録を含む評価があれば3%超も認める形に改めました(E2Gの解説)。

背圧で開く圧力が変わる

通常形の弁は、吹く前から出口にある重畳背圧の分だけ開く圧力が上がります。重畳背圧が一定なら、試験台ではその分を差し引いて合わせます。この試験台での圧力が冷温補正試験圧力(CDTP)で、温度の補正も含めた値です。放出ヘッダーの圧力がほかの弁の吹出しで変わるなら、補正では追いつきません。平衡形かパイロット式を選びます。

元弁は常に全開

安全弁と設備の間の元弁(止め弁)は、常に全開にしておく弁です。一般高圧ガス保安規則も、修理や清掃で特に必要な場合のほかは全開と定めています。ASME Sec.VIIIの付録Mは、元弁を開けた状態で施錠するよう求めています。閉めるのは、点検・試験・修理の間だけです。元弁に使うのは、流路が狭まらない全断面の弁です(フルボアとレデューストボアの違い)。高圧ガス保安協会の資料には、元弁を閉めずに安全弁を外して漏れた事故が3件あります。

そのほかに確かめること

  • 液封の熱膨張:両端の弁を閉じた配管や熱交換器の液は、日射や加熱で膨らんで圧力が上がる。API 521によると量の計算は難しく、3/4×1インチの逃し弁を付けることが多い。長い配管や、液の満ちた熱交換器・容器は別に検討する。
  • 作動試験:吹始め圧力だけを見ると、弁座の漏れを吹始めと取り違えて調整ねじを締めすぎるおそれがある。吹出し圧力まで確かめるのが望ましい(高圧ガス保安協会)。
  • 一度吹いた弁は、弁座にごみをかみ込んだり傷が付いたりして漏れやすい。作動のたびに点検する。
  • 放出配管に脱圧の配管をつなぎ、背圧で安全弁が作動した事故がある。瞬間的な背圧なら、設定圧力よりずっと低くても作動しうる(高圧ガス保安協会)。
  • 破裂板では、ホルダの締め付けトルクの不足や破裂圧力の違う板の取り付けで、決めた圧力より低く破れた事故がある。
  • 出口配管には吹出しの反力と振動がかかる。サポートを強くし、大気に放出する端に余計な曲がりを作らない(岡田『はじめての配管技術』)。
  • 弁軸は鉛直にして付けるよう、ASMEの説明の中で勧められている。
  • 高圧ガス設備の安全弁と破裂板には放出管を付け、開口部はガスの性質に合った位置にする。不活性ガス(特定不活性ガスを除く)と空気の設備は対象外(一般高圧ガス保安規則 第6条第1項第20号)。

法令で決まっていること

高圧ガス設備・第一種圧力容器・危険物を加圧する設備には、それぞれの法令が安全装置を求めています。

法令 決まっていること(要点) 条文
高圧ガス保安法(一般高圧ガス保安規則) 高圧ガス設備に圧力計と、許容圧力を超えたら直ちに許容圧力以下に戻せる安全装置を設ける 第6条第1項第19号(定置式製造設備の基準)
同上 安全弁と破裂板には放出管を設け、開口部は放出するガスの性質に応じた位置にする。不活性ガス(特定不活性ガスを除く)と空気の設備は除く 第6条第1項第20号
同上 安全弁・逃し弁に付けた止め弁は常に全開。修理・清掃で特に必要な場合を除く 第6条第2項第1号イ
同上(例示基準) ばね式安全弁の吹出し量決定圧力は、圧縮ガスで許容圧力の1.1倍以下、液化ガスで1.2倍以下。破裂板は1.1倍以下 一般高圧ガス保安規則関係例示基準 13節2.2(4)
同上(例示基準) 液化ガス設備のばね式安全弁は、液が内容積の98%まで膨らむ温度での圧力で作動させる 同 13節2.2(5)
同上(保安検査) 原則1年に1回。ばね式安全弁は要件を満たせば2年か4年 製造細目告示 第14条
ボイラー及び圧力容器安全規則 第一種圧力容器の安全弁は最高使用圧力以下で作動するよう調整する。2個以上あれば、2個目からは最高使用圧力の3%増以下でよい 第65条(ボイラーは第28条、第二種圧力容器は第86条)
消防法(危険物の規制に関する政令・規則) 危険物を加圧する設備などに圧力計と安全装置を設ける。破壊板は、危険物の性質で安全弁の作動が難しい加圧設備に限る 政令 第9条第1項第16号、規則 第19条

出典:条文はe-Gov法令検索(2026年10月21日に確認)、例示基準は経済産業省の令和8年6月11日改正版、保安検査の期間は高圧ガス保安協会の資料。

ボイラーの過熱器の安全弁は、胴の安全弁より先に作動させる決まりです(第28条)。例示基準は基準に合う例を国が示したもので、ほかの方法は事例ごとに判断されます。法令の要求は、所轄の行政と最新の条文で確かめてください。

参考資料

  1. JIS B 8210:2025「安全弁」
  2. JIS B 8226-1:2011「破裂板式安全装置-第1部:一般」
  3. JIS B 8226-2:2011「破裂板式安全装置-第2部:安全弁との組合せ」
  4. JIS B 8226-3:2011「破裂板式安全装置-第3部:適用,選定及び取付け」
  5. 高圧ガス保安協会「高圧ガス設備における安全弁作動の高圧ガス事故の注意事項」2023年 https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/2022/2022_anzenben.pdf
  6. 一般高圧ガス保安規則(昭和41年通商産業省令第53号)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50000400053
  7. 経済産業省「一般高圧ガス保安規則の機能性基準の運用について」(令和8年6月11日改正、20260528保局第2号)別添 一般高圧ガス保安規則関係例示基準(13節 圧力計及び許容圧力以下に戻す安全装置) https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/hipregas/files/ippan_reiji.pdf
  8. ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000033
  9. 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)・危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334CO0000000306 、https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50000002055
  10. Pentair Valves & Controls『Pentair Pressure Relief Valve Engineering Handbook』Technical Publication No. TP-V300、2012年(API 520 Part I・Part II、API 521、API 526、API 527、ASME Sec.VIII、ISO 4126-9の内容の解説を含む)
  11. API Standard 520「Sizing, Selection, and Installation of Pressure-relieving Devices」Part I(Sizing and Selection)・Part II(Installation)、API Standard 521「Pressure-relieving and Depressuring Systems」(内容は参考資料10と、E2G・CheCalcの解説による)
  12. 化学工学会編『改訂六版 化学工学便覧』丸善、1999年(表5·22 p.333)
  13. 石井泰範『化学プラント配管設計の基本』日本工業出版、2015年(p.369〜370、p.389)
  14. 岡田旻『はじめての配管技術』森北出版、2011年(3.1.3、4.2.4)
  15. H. D. Baumann 著、須加寿雄・渡部剛 訳『計装エンジニアのためのコントロールバルブ』工業技術社、1996年(第7章 p.54)
  16. ベン「自動弁へのアプローチ 安全弁編」(2026年4月現在) https://www.venn.co.jp/content/download/6550/143080/file/3.安全弁編.pdf
  17. AIChE CCPS「Process Safety Beacon 安全弁のボンネット-プラグをすべきか、否か?」2013年5月(日本語版) https://www.aiche.org/sites/default/files/2013-05-Beacon-Japanese.pdf
  18. E2G「Inlet Pressure Drop」 https://e2g.com/engineering/pressure-relief-process-technology/inlet-pressure-drop/
  19. CheCalc「Sizing Relief Systems for Heat Exchanger Tube Rupture Scenarios」 https://checalc.com/tube_rupture_article.html
  20. ASME「2021 ASME Boiler and Pressure Vessel Code」(Section XIII の新設) https://www.asme.org/codes-standards/bpvc-standards/bpvc-2021 、ZOOK「ASME Section XIII」の解説 https://zookdisk.com/?p=12698

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