製法による配管の分類
配管にも製造方法により様々な種類があります。
まずは製法ごとに概要を解説します。
電縫管(電気抵抗溶接管)
電縫管は、金属板を円形に成形(ロールフォーミング)して継目を高周波誘導加熱により溶接した配管です。
溶接管、電気抵抗溶接管、ERW鋼管とも呼ばれます。
そのため外から配管を見てもパイプ長手方向の繋ぎ目が分かります。
連続製造できるため価格を抑えられます。
ただし繋ぎ目部分の強度低下や腐食しやすさに注意しなければなりません。
シームレス管
シームレス管は、丸棒の中心を広げて中空にした配管です。
押出管とも呼ばれます。
電縫管のような繋ぎ目が無いことから高強度あり、特に肉厚の配管を製造するときに用いられます。
ただし加工の関係上、偏肉が起きやすいため寸法精度が出しづらく、電縫管に比べてコストが高くなります。
また大口径での製造は難しく、溶接管に頼ってしまいます。
鍛接管
電縫管と異なり、継目を熱と圧力を用いて接合した配管は鍛接管と呼びます。
圧接の一種で、溶融することなく固相で接合します。
接合部の強度はあまり高くないため100A以下のSGPで用いられます。
自動アーク溶接管
電縫管と異なり、継目をアーク溶接した配管はアーク溶接管と呼びます。
製造方法により種類が分かれます。
- UOE鋼管:UプレスとOプレスで円筒形状にし、継目をアーク溶接
- スパイラル鋼管:らせん状に巻いた板をアーク溶接することで円筒へ仕上げる
- 板巻鋼管:ロール曲げやベンド曲げにより厚鋼を円筒形状にし、継目をアーク溶接
冷間仕上と熱間仕上
金属の加工には熱間仕上と冷間仕上があります。
熱間仕上は数百℃と高い温度に熱して加工する方法です。
熱間圧延加工は加工性が高いため低コストで製造できますが寸法精度が出しにくい点が特徴です。
冷間仕上は室温程度の低い温度で加工する方法です。
寸法精度は出しやすいですが熱間仕上よりもコストが高くなる傾向にあります。
製法記号
各製造法に対応した記号が以下のように設定されています。
その他にも種類はありますが、代表的なものを紹介します。
配管製造方法 | 製法記号 |
---|---|
電縫管 | E |
鍛接管 | B |
熱間仕上シームレス管 | S-H |
冷間仕上シームレス管 | S-C |
自動アーク溶接管 | A |
冷間仕上自動アーク溶接管 | A-C |
使い分け
いくつか分類に応じた使い分けを紹介します。
SGP
100A以下のSGPでは鍛接管が用いられ、それ以上の口径では電縫管になります。
STPG
40A程度までは熱間仕上シームレス管が使われ、それ以上の口径では電縫管になります。
ステンレス鋼管
ステンレス鋼管は基本的に冷間仕上で製造されます。
例えばSUS-TPは40A程度までは冷間仕上シームレス管が使われます。
それ以上の径では冷間仕上自動アーク溶接管になります。
低合金鋼管、低温用鋼管
低合金鋼管や低温用鋼管は、基本的に熱間仕上シームレス管が用いられ、400Aあたりから自動アーク溶接管になります。
大口径の配管
ステンレス鋼管や低合金鋼管、低温用鋼管では、350A~400Aあたりから自動アーク溶接管が使われるようになります。