電縫管とは?シームレス管・鍛接管・アーク溶接管との違いと規格記号の読み方

2023年8月31日 広告

配管の製法には電縫管・鍛接管・シームレス管・アーク溶接管の4種類があり、継目の有無と作り方で強度・コスト・使える規格が変わります。この記事では4つの違いを早見表で比べ、JISの製造方法記号(-E・-B・-S・-A)の読み方と、SGP・STPG・ステンレス鋼管での使い分けをまとめました。

配管の製法の違い 早見表

製法継目JISの製造方法記号該当する主な規格特徴主な用途
電縫管(電気抵抗溶接鋼管・ERW管)あり(長手方向に1本)ESGP・STPG・SUS-TP熱延コイルを連続成形し高周波で溶接。安価で寸法精度が高い。水配管では溶接部の溝状腐食に注意SGPの125A以上、STPGの幅広い口径、一般の水・空気・蒸気配管
鍛接管(鍛接鋼管)あり(圧着)BSGPのみ加熱した帯鋼の縁を溶かさず圧着。配管用ではSGPだけに認められる製法SGPの100A以下(低圧の水・空気・蒸気)
シームレス管(継目無鋼管)なしSSTPG・STS・SUS-TP(SGPには無い)丸鋼片に穴を開けて圧延。継目が無く高圧・厚肉向きだが、偏肉が出やすく高価高圧配管(STSはシームレスのみ)、小口径の圧力配管
アーク溶接管(UOE・板巻・スパイラル)ありASUS-TP(炭素鋼はSTPY400・JIS G 3457)成形した板の継目をアーク溶接。炭素鋼は大口径・厚肉、ステンレス(-A)は一般配管の口径にも使う400A以上の大口径炭素鋼配管、ステンレス鋼管の溶接管

記号の組み合わせは規格記号の読み方、口径ごとの選び方は使い分けにまとめています。

電縫管とは

電縫管(でんぽうかん)は、帯状の鋼板(熱延コイル)をロールで管状に成形し、突き合わせた縁を高周波の電気抵抗加熱で溶かして接合した管です。JISでは電気抵抗溶接鋼管、英語ではERW(Electric Resistance Welded)鋼管と呼ばれ、管の長手方向に1本の溶接線が残ります。コイルから連続して作れるため安価で寸法精度も高い一方、水配管では溶接部だけが選択的に腐食する溝状腐食に注意が要ります。

鍛接管とは

鍛接管は、約1,200℃に加熱した帯鋼の縁をさらに1,450℃程度まで加熱し、管状に成形して縁どうしを圧着した管です。溶かさずに固相で接合する古くからの製法で、この記事で扱う配管用の規格で鍛接(B)を認めているのはSGP(配管用炭素鋼鋼管)だけです(水配管用亜鉛めっき鋼管SGPWにもあります)。低圧の水・空気・蒸気用に、100A以下のSGPで使われています。

シームレス管とは

シームレス管は、加熱した丸鋼片の中心に穿孔機で穴を開け、圧延して管に延ばした継目のない管です。JISの名称は継目無鋼管で、記号はS(Seamless)を使います。継目のある電縫管・鍛接管・アーク溶接管をまとめて溶接管と呼ぶので、シームレス管はその対になる管です。溶接部が無いので高圧・高温・厚肉の配管に向きますが、穿孔と圧延の工程上、周方向で厚さがばらつく偏肉が出やすく、電縫管より高価です。JIS G 3459でも偏肉の許容差(20%以下)があるのは熱間仕上げのシームレス管だけになります。

アーク溶接管とは

アーク溶接管は、板を管状に成形してから継目をアーク溶接で接合した管で、JISの記号はA(Arc welding)です。炭素鋼の大径管はサブマージアーク溶接、ステンレス鋼管の-Aは溶加材を使うかどうかをメーカーが選ぶ自動アーク溶接です。成形の仕方でUOE鋼管(UプレスとOプレスで丸める)、板巻鋼管(プレスベンドで丸める)、スパイラル鋼管(帯鋼をらせん状に巻く)に分かれます。炭素鋼では配管用アーク溶接炭素鋼鋼管(STPY400、JIS G 3457)が400A以上の大口径に使われ、ステンレス鋼管(JIS G 3459)でも自動アーク溶接(A)が製管方法の一つに入っています。

規格記号の読み方

製造方法は、種類の記号の後ろに「-製管方法-仕上げ方法」の順で付けます。たとえばSTPG370-S-Hは熱間仕上げのシームレス管、SGP-E-Gは溶接したままの電縫管です。ハイフンは空白でもよく、規格ごとに使える組み合わせは次の表のとおりです。

規格製管方法の記号仕上げ方法の記号表示の例
SGP(JIS G 3452)E(電気抵抗溶接)・B(鍛接)H(熱間仕上げ)・C(冷間仕上げ)・G(電気抵抗溶接まま)SGP-E-G、SGP-E-H、SGP-E-C、SGP-B
STPG(JIS G 3454)S(継目無し)・EH・C・GSTPG370-S-H、STPG370-S-C、STPG370-E-G、STPG370-E-H、STPG370-E-C
STS(JIS G 3455)SのみH・CSTS370-S-H、STS370-S-C
SUS-TP(JIS G 3459)S・A(自動アーク溶接)・L(レーザ溶接)・EH・C・B(溶接部加工仕上げ)・GSUS304TP-S-H、SUS304TP-S-C、SUS304TP-A、SUS304TP-A-C、SUS304TP-A-B、SUS304TP-L、SUS304TP-L-C、SUS304TP-L-B、SUS304TP-E-G、SUS304TP-E-C

仕上げ方法の記号は、最後の圧延や引抜きをどの温度で行ったかを表します。熱間仕上げ(H)は850℃以上で圧延する方法で、安価な反面、寸法精度と表面の平滑さは冷間仕上げに劣るのが特徴です。冷間仕上げ(C)は常温で加工するため薄肉・厚肉や高い寸法精度に対応できますが、コストは上がります。G(電気抵抗溶接まま)は、溶接後に熱処理も仕上げ圧延もしていない電縫管の記号です。

ステンレス鋼管でよく見るTP-AとTP-Sもこの製管方法の記号で、Aは自動アーク溶接管、Sはシームレス管を指します。電縫管ならTP-Eです。

使い分け

口径と規格ごとの選び方の目安です。メーカーの製造範囲は製法どうしで重なるので、最終的には圧力・温度・コストで決めます。

  • SGP。 JFEスチールの製造範囲は鍛接管が15A〜100A、電縫管が15A〜500Aで、125A以上は電縫管だけです。日本製鉄は鍛接管を作らず、15A〜100Aを熱間仕上げ電縫管(-E-H)で製造しています。SGPにシームレス管の規定は無いため、継目のない管が要るときはSTPGのシームレス管(STPG370-S-H など)に切り替えます。
  • STPG。 製造範囲は電縫管が10A〜600A、シームレス管が10A〜400A(日本製鉄)と重なるため、圧力と肉厚、流体の腐食性(電縫管の溝状腐食)で決めます。
  • STS(高圧配管用)。 規格上シームレス管だけです。STPGの肉厚(Sch80まで)で足りない高圧配管は、Sch160まであるSTSを選びます。
  • ステンレス鋼管。 小口径は冷間仕上げシームレス管(-S-C)、それ以外は自動アーク溶接管(-A、-A-C)が一般的です。境界の口径はメーカーの製造範囲で決まるので、カタログで確認します。
  • 低合金鋼管・低温用鋼管・大口径。 配管用合金鋼鋼管(STPA)や低温配管用鋼管(STPL)はシームレス管で、JFEの製造範囲は20A〜400Aです。大口径はアーク溶接管(STPY400は400A〜1600A)に切り替わりますが、電縫管で600A前後まで作るメーカー規格もあり、境界は規格とメーカーで違います。

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参考資料

  1. JIS G 3452:2019「配管用炭素鋼鋼管」
  2. JIS G 3454:2019「圧力配管用炭素鋼鋼管」
  3. JIS G 3455:2020「高圧配管用炭素鋼鋼管」
  4. JIS G 3459:2021「配管用ステンレス鋼鋼管」
  5. JFEスチール 配管用鋼管カタログ(製造法・製造可能範囲)
  6. JFEスチール 熱間仕上、冷間仕上鋼管の特徴比較
  7. 日本製鉄 鋼管:製造プロセス
  8. 日本製鉄 建設用資材ハンドブック 2025年9月版 配管用炭素鋼鋼管(SGP)
  9. 日本製鉄 建設用資材ハンドブック 2025年9月版 圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)
  10. 日本製鉄 建設用資材ハンドブック 2025年9月版 配管用ステンレス鋼鋼管

更新履歴 2026-09 早見表・規格記号の読み方(JIS G 3452/3454/3455/3459の製管方法・仕上げ方法の記号と表示例)を追加。ステンレス鋼管のTP-Aを「電縫管」としていた誤りを「自動アーク溶接管」に訂正。使い分けにメーカーの製造範囲を併記。

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