アルキン次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1-ブテンに臭素を反応させた後に3当量のナトリウムアミドを作用させると、後処理後に1-ブチンが得られる。
- 1-ブチンに2当量の臭素を反応させると、1, 1, 2, 2-テトラブロモブタンが得られる。
- 1-ブチンにナトリウムアミドを作用させてからブロモエタンを反応させると、1-ブロモ-1-ブチンが得られる。
- 1-ヘキシンに硫酸水銀(Ⅱ)と硫酸存在下で水を反応させると、2-ヘキサノンが得られる。
- 4-オクチンにLindlar触媒存在下で水素を反応させると、cis-4-オクテンが得られる。
解答解説
正答は3番です。
1-ブチンに強塩基であるナトリウムアミド(NaNH2)を作用させると、末端アルキンの水素が引き抜かれ、アセチリドアニオン(R-C≡C+)が生成します。アセチリドアニオンは強力な求核剤として働き、ブロモエタンと反応すると求核置換反応(SN2)が起こるため3-ヘキシンが生成します。1-ブロモ-1-ブチンではありません。
1番はまず臭素との反応で1,2-ジブロモブタンが得られます。そこに強塩基であるナトリウムアミド(NaNH2)が反応することでプロトンが引き抜かれ、臭素イオンが脱離します。この反応が2回行われ、アルキンが生成します。末端アルキンの水素は酸性度が高い特徴があり、塩基存在下ではアセチリド(R-C≡C-)が生成してハロゲン化アルキルと反応する恐れがあります。そのためナトリウムアミドを3当量入れることでR-C≡CNaとして得るようにします。
4番の硫酸水銀の反応は、末端アルキンに対して行います。アルキンのπ電子は結合するアルキル鎖との超共役により電子密度が高くなり反応性が上がります。末端アルキンは超共役のアルキル鎖が片側1本しかないため反応性が内部アルキンに比べて劣ります。対して内部アルキンは酸触媒により反応が進みます。
5番のLindlar触媒は水素化触媒で、アルケンの段階で反応が止められる特徴があります。通常、Pd/Cなどの触媒を使うと反応が激しく進行するためアルカンが得られます。
参考資料
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アルケン・アルキンのその他の反応・多段階合成
www1.meijo-u.ac.jp
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アルキンの合成
xn--u8jvc1drbs0514cvfm43vv1giwx.net
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アルキンへの求電子付加反応
www1.meijo-u.ac.jp