平成30年度 問5

芳香族性次の5つの化学種には芳香族性を示すものがある。芳香族性を示す化学種の数として、最も適切なものはどれか。

  1. 1個
  2. 2個
  3. 3個
  4. 4個
  5. 5個

解答解説

正答は4番です。

芳香族性を持つための条件は4つあります。

  1. 環状構造である
  2. 完全共役している
  3. 平面構造をとる
  4. 一つの環状に (4n+2)個のπ電子を含む(Hückel則)

A~Cを満たしていない化合物は「非芳香族化合物」、Dだけ満たしていない化合物は「反芳香族化合物」と呼ばれます。

左から1番目のシクロブタジエンはπ電子を4つ持っておりDの条件を満たしていないため反芳香族化合物です。

2番目のシクロペンタジエニルアニオンは芳香族化合物です。環内にあるC-原子の孤立電子対を用いてDの条件を満たしています。

3番目のピロールは芳香族化合物です。環内にある窒素原子の孤立電子対を用いてDの条件を満たしています。

4番目のピリジンは芳香族化合物です。環内に6個のπ電子を持つことからDの条件を満たしています。ピロールとは異なり、窒素の孤立電子対は芳香族性に寄与していません。

5番目のシクロへプタトリエニルカチオンは芳香族化合物です。7通りの極限構造式が共鳴したものであり、それぞれの炭素は1価の陽電荷を分け合い非局在化させています。Bの条件を満たしています。

参考資料

https://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/users/bioorg/member/Goto_class/ORC_11_handout_2018.pdf
有機反応化学 第10回 芳香族化合物

www.chem.s.u-tokyo.ac.jp

2024年3月10日 広告

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