平成25年度 問16

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ポリマーの立体規則性に関する次の記述の、【 】に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。

 プロピレンの重合により得られるポリマーの主鎖を平面ジグザグ構造で考えると、メチル基が同じ側にくる【 A 】ポリマー、メチル基が交互に逆側にくる【 B 】ポリマー、メチル基の配列に規則性がない【 C 】ポリマーの3種類の可能性がある。このうち、プロピレンから立体規則性の高い【 A 】ポリマーが【 D 】触媒により初めて合成された。【 D 】触媒の多くは不均一系触媒であったが、均一系触媒である【 E 】触媒がその後開発され、オレフィン類の重合及び共重合において分子量分布や分岐の制御も可能になった。

選択肢ABCDE
1アタクチックイソタクチックシンジオタクチックカミンスキーチーグラー・ナッタ
2イソタクチックシンジオタクチックアタクチックチーグラー・ナッタカミンスキー
3シンジオタクチックアタクチックイソタクチックメタロセンアダムス
4シンジオタクチックイソタクチックアタクチックチーグラー・ナッタメタロセン
5イソタクチックシンジオタクチックアタクチックアダムスカミンスキー



解答解説

正答は2番です。

ポリプロピレンの主鎖を平面ジグザグ構造で考えると、メチル基の配置によって3種類の立体構造が可能です。

  • イソタクチック(アイソタクチック):メチル基がすべて同じ側に配置(A)
  • シンジオタクチック:メチル基が交互に逆側に配置(B)
  • アタクチック:メチル基の配列に規則性がない(C)

チーグラー・ナッタ触媒は、高度に立体規則性の高いアイソタクチックポリプロピレンを初めて合成することを可能にしました。

チーグラー・ナッタ触媒の後に開発されたメタロセン触媒は、均一系触媒として知られています。この触媒は、オレフィン類の重合および共重合において、分子量分布や分岐の制御を可能にしました。メタロセン触媒の特徴として、高活性、得られるポリマーの分子量分布が狭いこと、さらに立体規則性(アイソタクチックやシンジオタクチック)の制御が可能であることが挙げられます

選択肢にあるカミンスキー触媒はメタロセン触媒の助触媒としてメチルアルミノキサンを利用した触媒です。

またアダムス触媒は、酸化白金(PtO2)を主成分とする主に水素添加や水素化分解反応に使用される触媒です。

参考資料

高分子の立体規則性  |  ひつじの高分子化学ラボ
高分子の立体規則性

chem-labo.com

https://www.shokubai.org/senior/News83.pdf
メタロセン重合触媒

www.shokubai.org

Adams触媒-酸化白金(IV)で接触還元! | ネットdeカガク
Adams触媒-酸化白金(IV)で接触還元!

netdekagaku.com

2024年3月10日