本記事については、まずはコモン線について理解してから読むことをオススメします。
トランジスタはセンサー等のスイッチングに使われ、NPN型とPNP型に区分されます。
NPN型トランジスタは、ベース(B)からエミッタ(E)へ電流が流れると、コレクタ(C)からエミッタ(E)へ電流が流れます。
PNP型トランジスタはNPN型とは逆で、エミッタ(E)からベース(B)に電流が流れると、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れます。
トランジスタを利用した機器には、電流の向きに応じたソースタイプ(ソースロジック)とシンクタイプ(シンクロジック)という2種類の形式があります。
日本と北米では、ソース入力とシンク出力の組み合わせが一般的で、断線時は入力信号が出続ける特徴があります。
対して欧州では、シンク入力とソース出力が使われ、断線時は入力信号が途絶える特徴があります。
トランジスタにはNPN型とPNP型がある
トランジスタは、電気信号の増幅やスイッチングに使われる半導体デバイスであり、主に計装設計ではスイッチング用途で考えます。
基本構造として、ベース(B)、エミッタ(E)、コレクタ(C)の3つの端子をもちます。
トランジスタには大きくNPN型とPNP型の2種類があり、これらは内部の半導体の組み合わせ(n型半導体とp型半導体)によって区別されます。
NPN型トランジスタは、ベース(B)からエミッタ(E)へ電流が流れると、コレクタ(C)からエミッタ(E)へ電流が流れます。
PNP型トランジスタはNPN型とは逆で、エミッタ(E)からベース(B)に電流が流れると、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れます。
電流の向きでソース・シンクが区分される
トランジスタを利用した機器には、電流の向きに応じたソースタイプ(ソースロジック)とシンクタイプ(シンクロジック)という2種類の形式があります。
シンクタイプはNPN型のトランジスタが使用され、相手側から電流が流れる形式を意味します。
ソースタイプは反対に、PNP型のトランジスタが使用され、相手側へ電流が流れる形式を意味します。
この時、シンクタイプはマイナス側がコモン線となり(マイナスコモン)、ソースタイプはプラス側がコモン線となります(プラスコモン)。
センサーやパトライト、PLCの入出力ユニットなどそれぞれが極性をもち、マイナスコモンとプラスコモンどちらであるかは注意して機器を組み合わせなければなりません。
ソース・シンクが理解しにくい理由
多くのサイトで「ソースタイプは負荷に電流を送る」「シンクタイプが負荷から電流を受け取る」ような説明をされます。
実は電気回路の特性上、慣れていないと以下のように1つのユニットでソース・シンクどちらにも見えてしまいます。
つまり、どこからどこへ向かうかを説明されているのみで、”どのルートで” が抜け落ちています。
これは「コレクタ(C)と負荷の間」もしくは「コモン線ではない配線側」と考えれば理解しやすくなります。
コモン線がイメージしやすいよう、多点のPLC入力ユニット(プラスコモン)とNPNセンサー(シンクタイプ/マイナスコモン)を繋ぐときを考えます。
意味は何も変わりませんが、説明のため、少しセンサーの配線図の書き方を変更します。
以下にPLCの入力ユニットとセンサーを接続した図を表します。
この図における赤色の配線が「コレクタ(C)と負荷の間」もしくは「コモン線ではない配線側」であり、この配線における電流の向きがソース・シンクを決めます。
ちなみにセンサーの線色は茶(+)、青(-)、黒(出力信号)と決められています。
このうち「黒線に流れる電流の向き」と考えても問題ありません。
国によってソース・シンクの使い分けが異なる
どの国でもソースタイプとシンクタイプ両方の機器が手に入りますが、国によってスタンダードな形式が異なります。
各国の特徴を理解したうえで使い分けなければなりません。
日本と北米はソース入力、シンク出力
日本と北米では、ソース入力とシンク出力の組み合わせが一般的です。
PLCの入力ユニットとセンサーで考えます。
センサーから出る出力信号を入力ユニットへ入力するため、センサーはシンク出力(NPN)タイプを、入力ユニットはソース入力(プラスコモン)タイプを選択します。
電流はソースタイプである入力ユニットからシンクタイプであるセンサーへ流れます。
欧州はシンク入力、ソース出力
欧州では、シンク入力とソース出力の組み合わせが一般的です。
こちらもPLCの入力ユニットとセンサーで考えます。
センサーはソース出力(PNP)タイプを、入力ユニットはシンク入力(マイナスコモン)タイプを選択します。
電流はソースタイプであるセンサーからシンクタイプである入力ユニットへ流れます。
断線時の影響
ソースタイプとシンクタイプで断線時に起きる事象が大きく異なります。
先に紹介した各国が使うスタンダートと合わせ、影響内容を参考に仕様決定します。
ここではセンサーとPLC入力ユニット間の信号線(黒線)が断線し、盤の筐体に接触した場合を考えます。
つまり断線した配線が0V側に繋がったことを意味します。
断線時に信号が出なくなるのがソース出力
ソース出力センサーが断線した時を考えます。
入力ユニット側は回路が形成されておらず、電流が流れません。
そのため常に入力OFFの状態が続きます。
断線時に各機器が急に動き出す可能性が低く、比較的安全な回路であると考えられています。
しかし、センサー側に保護機能が無い場合、過電流でトランジスタが焼損してしまう恐れがあります。
断線時に信号が出続けるのがシンク出力
シンク出力センサーが断線した時を考えます。
入力ユニット側は回路が形成されてしまい、常に入力ONの状態が続きます。
故障でONになるため故障箇所の特定がしやすくなる特徴があります。
ただし機器が急に動き出す可能性が高く、ソース出力タイプより危険性は高いとされています。
一方でセンサー側には断線時に電流が流れないため、機器が故障しづらい回路です。
まとめ
シンクタイプはNPN型のトランジスタが使用され、相手側から電流が流れる形式を意味します。
断線時に信号が途絶える特徴があります。
ソースタイプは反対に、PNP型のトランジスタが使用され、相手側へ電流が流れる形式を意味します。
断線時に信号が出続ける特徴があります。
電流の流れの確認する際は、「コレクタ(C)と負荷の間」もしくは「コモン線ではない配線側」と考えれば理解しやすくなります。
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