経済産業省にて、より実践的なデジタル人材育成のため「マナビDX Quest」が実施され、私も参加してきました。
同様の取り組みが毎年実施されており、次年度以降の参考として概要や感想をまとめておきます。
個人的には大満足でした!
本内容は2022年度の体験情報であり、次年度以降は内容やスケジュールが変更となる可能性があります。
参考情報としてご利用ください。
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基本事項
マナビDX Questについて基本事項を整理します。
関連企業・団体
主体はコンサル業界の中でも有名なBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)です。
その他にも以下の企業や団体が参加しています。
前身はAI Quest
これまで”AI Quest”という名前で同様の取り組みが3回実施されてきました。
AI QuestではAIモデルの開発がベースのプログラムであり、プログラミングスキルも必要でした。
しかし2022年度よりマナビDX Questに名前を変え、AI開発も含めたDX推進・変革を学ぶことができるプログラムに変更されました。
なんと無料!
プログラムにおける全ての内容が無料です。
後述しますが有料の講座まで無料で開放されています。
実は「デラックス」
余談ですが……マナビ ”デラックス” クエストです。
そして更にデラックス(DELUXE)は「Digitaltransformational Education and Learning platform for Users × Engineers」の略です。
内容
マナビDX Quest 2022には大きく2つのプログラムがあります。
ケーススタディ教育プログラム
架空企業を題材に、社長や社員のインタビュー情報から状況を整理して課題解決に取り組みます。
教材は大きく2種類に分かれており選択可能です。
- 教材1:AIモデル開発メイン(需要予測や不良個所検出など)
- 教材2:データ分析からの課題特定メイン(収益改善や業務改善など)
私は教材1(AIモデル開発メイン)の方で参加しました。
要求定義に始まり、AIモデル開発、経営層へのプレゼン資料作成、現場展開などを学びました。
参考に、過去の「不良個所自動検出」という教材のサンプルが公開されています。
現場研修プログラム
教育プログラムを無事修了した希望者は、実際に企業と課題解決に取り組めます。
こちらは各自で数名のチームを組み応募、企業側からの指名を受ける仕組みです。
期間は約2ヵ月、座学では得られないリアルな現場を経験をすることができます。
プログラム内容は、公開されている協働事例集を参考にしてください。
※契約上、詳細の内容を述べることができません
スケジュール
2022年9月~2023年2月中旬と約5か月半をかけて行われました。
2ターム制になっており、11月に入ると一旦休憩期間を少し挟みます。
ケーススタディ教育プログラムは第1タームと第2タームで別の課題に取り組みます。
第2タームでは教育プログラムを受けながらも現場研修プログラムも並行して参加できる仕様になっています。
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とにかく忙しい!
長期間の取り組みに関わらず、期間中はあわただしい毎日でした。
そもそも本業の傍ら取り組むため、時間の確保からが課題となります。
ケーススタディ教育プログラムでは1ターム2ヵ月半くらいで要求定義・AI開発・プレゼン資料作成など全てをこなします。
更に現場研修プログラムにも並行して参加したため11月後半からは「本業+教育課題+現場研修課題」の3つを一気にこなしていました。
とはいえサポートが充実しており意外と何とかなるもので、結果的には処理速度も学びも有意義なものとなりました。
特徴
ただ講座を受けるだけとは違う、マナビDX Questの特徴を紹介します。
座学は殆どなし
基本は与えられた課題に対して参加者同士が情報交換しながら進めていく形式です。
プロジェクト型学習 PBL(Project-based Learning)と言うようです。
初学者向けに、各ポイントごとに多数の教材が配布されますので道に迷うことはありません。
むしろ分からなければSlackで聞く!そうすれば誰かが教えてくれます。
やる気を引き出す評価制度
情報交換・学び合いを掲げているものの、提出物には評価や順位付けがなされます。
大きくは以下の2種類です。
- AIコンペによるモデル性能評価
教育プログラム内のテーマに沿って開発したAIの性能を競います。
内容は一般的なAIコンペと変わりません。
例えばRMSEのような一般的な評価指標を使って評価が行われ、期間中も露骨に暫定順位が出続けます。 - プレゼン資料の相互評価
開発したAIを経営者および現場責任者に伝えるためのプレゼンを作成します。
資料を誰のものか分からないようランダムに数名に配布し、8項目で点数付けします。
その点数を基に順位付けされます。
順位付けされるとはいえ、Slack上では皆で議論しながら課題に取り組みます。
ライバルでもある良き同僚なイメージでしょうか。
上位者は有益情報を共有しながらも上位に食い込む猛者ばかりです。
私はAIコンペ・プレゼン各2回参加しましたが、努力の甲斐あってどれも上位20%に食い込めました!
マナビDX Quest のここが凄かった
数多のDX系教材とは違う、マナビDX Questならではの良い所がたくさんありました。
とにかく勉強になりました!
実践に近い
そもそもマナビDX Questは座学から実業務の間をつなぐ役割で提供されています。
より実践に近いプログラムになっており、経験を積めることが何より貴重でした。
異業種・異分野での交流は当たり前
基本は受講生同士の学び合いを重視しているプログラムになっています。
参加者は約2,000人、皆がSlackに集います。
これほどまでに多種多様な業種や職種の方々と交流した記憶はありません。
クラウドの活用、AIの開発、ROI計算など各方面に専門家がいるため勉強にもなります。
そもそも参加者の学習意欲が高いことはもちろんのこと、各方面に秀でた方々です。
交流をすればするほど自分の成長に繋がっていくのが分かります。
実際に企業と取り組める
このプログラムの目玉は、やはり現場研修プログラムです。
企業が本当に困っている課題に取り組めるため、難易度は高いものばかりです。
だからこそ高い経験値となって自身に返ってきます。
最後に
個人的には有意義な期間を過ごせました。
次年度以降も実施されるかは分かりませんが、もしあれば参加して損することはありませんので是非検討ください!
また、この記事のアクセス数などから、参加者がどのような心境であるのかを分析しましたので参考にしてください。
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マナビDX Quest:アクセスログから学ぶ参加者の心理 #マナビDXクエスト - Qiita
qiita.com
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