自社を想像して、ヒト・モノ・カネの動きが詳細に把握できますか?
新規ライン立ち上げや急な変更が起きた時に原価への影響を見積もれますか?
物語を読みながら日本の製造業の危うさを感じられる一冊を紹介します。
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小説 第4次産業革命 日本の製造業を救え!
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内容概要
主人公は、ケイテックという中堅自動車部品メーカー二代目社長の藤堂敬介です。
彼は、納めていた大手メーカーからの失注と、技術力を評価されながらも海外メーカーとの契約審査に落選するという困難に直面します。
藤堂は、どのように進めるべきか?何が本当に必要か?について迷い悩みますが、産業用システムインテグレーターである知人の河島に相談することで、会社の躍進への道を探ります。
この小説は、単に製造業に限定される話ではなく、多くの業種で直面するDXの重要性や、それに対応する過程をドラマ仕立てで描かれています。
著者
著者は大手コンサルティングファームに所属する藤野直明さん、梶野真弘さんの2名です。
これまで製造業における数多の企業を見てきたコンサルの視点から、日本の現状について語られています。
執筆の経緯
書籍の「あとがき」に執筆の経緯が記載されていました。
本書執筆の動機は、国内250ヵ所を超える工場を訪ね歩いてきた経験を持つ製造業のコンサルタントとして、危機感の乏しい日本企業に警鐘を鳴らしたいと思ったからだ。
「小説 第4次産業革命 日本の製造業を救え!」あとがきより引用
現状の日本企業を見ると、この第4次産業革命にどのように対応すべきか、考えあぐねているように見える。危機感を持って対処しようとしている企業はごくわずかだ。全体として危機感が薄く対応は鈍い。
われわれは第4次産業革命をテーマとした講演会で話をする機会も多いが、聴衆の反応はいま一つだ。一時間程度の講演では、危機感を醸成するまでには至らない。多くの人に危機感を持ってもらうにはどのような手段があるかを考える中で本書が生まれた。
今のままでは日本の産業は危ない!危機感が無い!ということを前面に押し出しています。
生産に関する基本情報、回答できる?
日本の製造業で特に弱いと言われるのがデータの統合管理や体系化です。
多くの企業が「どの製品を」「どの設備で」「どれくらいの時間使用したのか」という個別データが管理されておらず、原価の精度を上げて欲しいと言われても不可能です。
本書でも話題になっていますが、例えば以下の内容に回答できるでしょうか?
- 自社にどの程度供給力がある?
- 要求量に対し、納入の可能性と条件が提示できる?
- 新工場や新ラインを考える時、製造時間や人数、必要投資金額など基礎的な数字が出せる?
- 製造フローの変化で標準原価はどのように変化する?納期にどう影響する?
- 上記質問に数日で回答できる?
回答できない、もしくは回答できたとしても熟練者が時間をかけて余裕のある値を見積もっているところが多いはずです。
自社の状況を想像して、回答が難しい場合は一度読んでみるのをオススメします。
著者は欧米に大きく後れを取る状況に警鐘を鳴らしています。
紹介書籍
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小説 第4次産業革命 日本の製造業を救え!
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