一斗缶やペール缶の自動充填設備

2021年12月2日 広告

化学メーカーをはじめとして液体製品を製造した際に梱包形態として一斗缶やペール缶、ドラム缶がよく選ばれます。

1容器の量が比較的少なく貯蔵タンクを設ける必要もありません。

各種容器への充填自体は自動化されているものも多数存在します。

それに伴い充填機周辺の設備も自動化されていますので今回は一斗缶やペール缶の自動充填設備について解説します。

一斗缶やペール缶とは?

ご存じの方も多いと思いますが、まずは一斗缶やペール缶がどのようなものか確認します。

どちらも種類が豊富ですが、今回は自動充填設備に使用する代表的な容器を紹介します。

一斗缶

一斗缶イメージ

天板の真ん中に取っ手が付いており、四隅のどこか1画には注ぎ口が付いています。

また注ぎ口にはキャップ(蓋)が付いています。

一斗缶には蓋や取っ手の種類が様々ですので株式会社イトウの解説を参考にしてみてください。

その名の通り18L程度の容量です。

ペール缶

バケツの意味を持つペール(pail)が由来の容器です。

参考写真にあるような蓋形状のペール缶はラグペールと呼び、専用の加締め器を用いて蓋の端を折り曲げて密封します。

ペール缶には蓋や注ぎ口の種類が様々ですので株式会社前田製作所の解説を参考にしてみてください。

容量は18Lや20Lのペール缶が存在します。

空缶供給

まずは充填する前までの空缶を供給する段階での自動設備です。

段ばらし装置、アンスタッカー

自動充填設備ではコンベアの上に空容器を何段かに積み重ねてストックしておきます。

まずは段ばらし装置で一番下段の容器だけを取り出します。

多くは下から二段目の容器を持ち上げ段ばらしする機構となっています。

その後、一斗缶の場合はPPバンドで6缶1束になっていることが多いため、アンスタッカーを使ってバンドを切り1缶ごとに分けます。

アンキャッパー

容器の納入時には内部保護のため仮蓋が取り付けられています。

充填前にはアンキャッパーにて仮蓋を取り外します。

アンキャッパーには爪がついており、その爪で仮蓋を引っ張るようにします。

クボタ計装のアンキャッパーが参考になります。

充填

次は充填に関する自動設備です。

充填機に関しては少し要素ごとに分けています。

充填機

まずは充填機に関する概要です。

以下の流れで自動充填されます。

  1. 空容器がセットされる
  2. 充填バルブのノズルを差し込む
  3. ノズルの先端が開いて充填開始
  4. ある程度の量が充填されると規定量で停止できるように小量充填に切り替え
  5. 充填終了

ちなみにボタンを押して自動で規定量充填のみ行う充填機を半自動充填機と呼びます。

半自動充填機は蓋閉めやラベル、容器セットなどが手動ですが、時間のかかる充填動作を比較的低コストで削減することが出来ます。

充填バルブ

充填バルブには一般使用されるショートノズル発泡を抑えるロングノズルの二種類存在します。

発泡は噴きこぼれを引き起こすため防ぐ必要があります。

ロングノズルは液面の上昇と共にノズルを上昇させながら充填します。

ノズル先端を液面につける、もしくは液面近くで液を出すことで発泡を防ぐことが出来ます。

ただしロングノズルは容器の底付近までノズルを下すため、充填サイクルタイムがショートノズルよりも遅くなります。

ノズルによるストロークの違い

計量器

充填中は計量器で計りながら充填します。

計量器には荷重を電気信号に変換するロードセルが使用されています。

ロードセルの原理はユニパルス株式会社のHPに詳しく記載されていますので参考にしてください。

また表示量が適切に納入されていることを保証するために、認証を受けた特定計量器を利用しなければなりません(経済産業省サイト)。

検定を受けていない計量器で充填した商品は販売が禁止されているので注意が必要です。

包装・積載

最後に充填後の工程です。

キャッパー

充填後の容器の上にキャップを乗せた後、押し込みもしくはねじ込みでキャップを締めます。

キャップは事前に選別機にて選別された後、1個ずつ供給されます。

加締め器

ペール缶の中でもよく使用されるラグペールは、容器に蓋を乗せた後に加締めを行います。

複数個の爪で一度に均等な力で板を曲げて密封させます。

写真は手動の加締め器ですが自動でも加締め原理は同じです。

ラベラー

ロール状に巻かれたラベルの端面を容器の側面に当て、容器を流しながら貼り付けています。

インクジェットプリンターやレーザープリンターを組み合わせて印刷後すぐに貼り付けるタイプもあります。

パレタイザー

充填が終わった容器はパレタイザーでパレットに積み付けられます。

一斗缶やペール缶のパレタイザーにはガントリー式とロボット式の2種類があります。

ガントリー式パレタイザーはXYZ方向への直進機構を持つガントリー型(門型)のパレタイザーです。

前後+昇降のみの機構でパレット1列分を一度に積む方式と、前後左右+昇降の機構で1缶ずつ積む方式の2種類存在します。

また産業用ロボットで1缶もしくは2缶ずつ柔軟に積み付ける方式もあります。

パレットマガジン

パレタイザーへのパレット供給はパレットマガジンを使用します。

空のパレットはパレットマガジンに重ねてストックしておき、積載パレットが排出された後にそこから供給されます。

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まとめ

今回は一斗缶やペール缶の自動充填設備について解説しました。

充填工程1つをとっても複雑で機器が多くなってきます。

完全自動化が難しくとも工数のかかっている要素のみを購入して自動化するところから始めても良いと思います。

またドラム缶の自動充填設備については以下で解説していますので、参考になれば幸いです。

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