メタンから水素を作る改質炉メタンから水素を作る改質炉では、原料メタンの改質反応の反応熱を、熱源メタンの燃焼熱で補給して、所定の反応温度を保つ。
原料メタンの改質反応(吸熱反応)CH4(g)+H2O(g)→CO(g)+3H2(g)(1)
熱源メタンの燃焼反応(発熱反応)CH4(g)+2O2(g)→CO2(g)+2H2O(g)(2)
以下の各成分の標準生成エンタルピーΔrH°から推算して、原料メタン1.0 molに対して必要な熱源メタンの量として最も近い値はどれか。
ガス種 | CH4(g) | H2O(g) | CO(g) | H2(g) | O2(g) | CO2(g) |
ΔrH°[kJ・mol-1] | -74.8 | -241.8 | -110.5 | 0 | 0 | -393.5 |
- 1.0 mol
- 0.75 mol
- 0.50 mol
- 0.25 mol
- 0.10 mol
解答解説
正答は4番です。
反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を計算する際は、生成物の標準生成エンタルピーの和から反応物の標準生成エンタルピーの和を引きます。酸素や水素は単体元素であり最も安定な形態であるとみなし、標準状態での単体元素の標準生成エンタルピーは定義上0 kJ/molとされています。
原料メタンの改質反応に伴うエンタルピー変化は-110.5 - {-74.8+(-241.8)}=206.1 kJ/molです。値がプラスなため吸熱反応です。
熱源メタンの燃焼反応に伴うエンタルピー変化は{-393.5+(-241.8 × 2)} - (-74.8)=-802.3 kJ/molです。値がマイナスなため発熱反応です。
両反応はメタン1 molに対する反応熱ですので、(発熱反応量)/(吸熱反応量)=206.1/802.3=0.26倍、つまり0.26 molの熱源メタンが必要になります。最も近い値は0.25 molです。