平成26年度 問21

硫黄及び硫黄化合物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 二酸化硫黄を水に溶かした亜硫酸は弱酸性を持ち還元剤として作用する。
  2. 熱濃硫酸には強い酸化作用があり、希硫酸は強い酸性を示す。
  3. 硫黄は、ゴムに添加して分子間の架橋による網目構造を形成するために使用される。
  4. 硫黄単体には、斜方晶系、単斜晶系のような同素体が存在する。
  5. 接触法硫酸製造でのSO₂からSO₃への転化は吸熱反応で、五酸化バナジウム主体の触媒を使う。

解答解説

正答は5番です。

SO₂からSO₃への転化は吸熱反応ではなく発熱反応です。接触法は主に以下の工程で行われます。

  1. 硫黄または硫化鉱物を燃焼させて二酸化硫黄(SO2)を生成する
  2. 生成したSO2を空気中の酸素と反応させ、触媒の存在下で三酸化硫黄(SO3)に酸化する
  3. SO3を濃硫酸に吸収させて発煙硫酸を作り、これを希硫酸で希釈して濃硫酸を得る

2番の強い酸化作用と強酸性は同じように思えますが意味が異なります。酸化力とは、物質が他の物質から電子を奪う(酸化させる)能力のことを指します。強酸性とは、水溶液中で水素イオン(H+)を多く放出する能力のことを指します。例えば塩酸は強酸ですが、酸化力は弱いです

参考資料

接触法(濃硫酸の工業的製法・仕組み・反応式・触媒など) | 化学のグルメ
接触法(濃硫酸の工業的製法・仕組み・反応式・触媒など)

kimika.net

【高校化学】「二酸化硫黄の性質」 | 映像授業のTry IT (トライイット)
5分でわかる!二酸化硫黄の性質

www.try-it.jp

【高校化学基礎】「酸化力をもつ酸と金属の反応」 | 映像授業のTry IT (トライイット)
5分でわかる!酸化力をもつ酸と金属の反応

www.try-it.jp

硫黄の同素体
硫黄の同素体

sekatsu-kagaku.sub.jp

2024年3月10日 広告

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