タンク容量の計算方法

機械/タンク・容器タンク・容器の3本目(全3本)公開

タンクの容量は、胴(円筒)の容量に鏡板2枚の容量を足して求めます。縦型は液面が胴にあれば液位と容量が比例しますが、横型と球形は比例しません。鏡板の形ごとの式と横型の早見表を先に載せ、例題と法令上の容量の扱いまでまとめました。

鏡板込みのタンク容量の式(D:内径、L:TL間の長さ、H:円すいの深さ)

部分・形 TLからの深さ 容量 内径2.0 mのとき
胴(円筒) - πD²L/4 ≒ 0.785D²L 長さ1 mあたり3.14 m³
平鏡板 0 0 0
10%皿形鏡板 0.194D 0.09896D³ 0.79 m³
2:1半だ円体鏡板(正半だ円形) D/4 πD³/24 ≒ 0.131D³ 1.05 m³
全半球形鏡板 D/2 πD³/12 ≒ 0.262D³ 2.09 m³
円すい(頂点まで) H πD²H/12 -
球形タンク(全体) - πD³/6 ≒ 0.524D³ 4.19 m³

この表の鏡板の式は、消防庁が危険物タンクの内容積の計算例に示した式と同じです。10%皿形は中央部の半径がD、すみの丸みの半径が0.1Dの形を指します。

横型タンクの液位と容量の割合(満液=100 %)

液位 h/D 胴 鏡板(2:1半だ円体・全半球形)と球形タンク
0.1 5.2 % 2.8 %
0.2 14.2 % 10.4 %
0.25 19.6 % 15.6 %
0.3 25.2 % 21.6 %
0.4 37.4 % 35.2 %
0.5 50.0 % 50.0 %
0.6 62.6 % 64.8 %
0.7 74.8 % 78.4 %
0.75 80.4 % 84.4 %
0.8 85.8 % 89.6 %
0.9 94.8 % 97.2 %

hは底から液面までの高さです。胴の割合は胴の容量に掛け、鏡板の割合は鏡板2枚の容量に掛けて足します。

この記事の内容
  1. タンクの種類と容量の求め方
  2. 鏡板の形と容量
  3. 縦型タンクの液位と容量
  4. 横型タンクの液位と容量
  5. 全容量と使える量
  6. 消防法と高圧ガス保安法の容量
  7. 温度による膨張と空き容量
  8. 計算でまちがえやすい点
  9. 参考資料

タンクの種類と容量の求め方

種類 形と支え方 主な使い方 容量の求め方
縦型・固定屋根式 平らな底と円筒の側板に、円すいやドームの屋根を固定 大気圧に近い微圧で液を貯める 胴の円柱。屋根の中は消防法の内容積に入れない
縦型・浮き屋根式 液面に浮く屋根が上下する。上に固定屋根をかぶせて雨水の混入を防ぐ形もある 原油・石油製品など揮発しやすい液 胴の円柱。機能を保てる最高位置の液面まで
縦型・鏡板付き 上下に鏡板。下部のスカートで支える 圧力のかかる容器、中小の貯槽 胴+鏡板2枚
横型 両端に鏡板。2か所のサドルで支える 液の受槽、中小の貯槽 弓形の面積×長さ+鏡板
球形 全体が球。脚柱で支える 高圧のガス、LPG・アンモニアなどの液化ガス πD³/6。途中の液量は鏡板と同じ割合

1971年の『貯槽』は、固定屋根式を維持管理がやさしく最も一般的な形としています。浮き屋根式は屋根が液面とともに上下し、揮発しやすい液の蒸発損失を減らします。球形は同じ体積で表面積が最も小さい形です。同じ径と板厚なら、円筒の2倍の圧力に耐えます(同書)。

鏡板の形と容量

鏡板の容量は、TL(曲面と直胴の境)から先の曲面の部分です。鏡板の縁の短い直胴部は、胴をTL間の長さで計算すれば胴の側に入ります。TLの位置はタンク図面のTLとWLの記事で説明しました。

全半球形の容量は2:1半だ円体のちょうど2倍で、10%皿形は約4分の3です。1971年の『貯槽』では鏡板は2:1半だ円体が多く、高圧用には全半球形も使うとしています。

係数0.09896は、中央部の半径がD・すみの半径が0.1Dの形だけに使える値です。JIS B 8247(圧力容器用鏡板)の製品には、正半だ円形と近似半だ円形があります。表のπD³/24は正半だ円形(2:1)の値です。半径の違う皿形や近似半だ円形は、一般式で計算します。図面の中央部の半径Rと、すみの半径rを使います。一般式の出所は、堺市消防局の審査基準の別記25です。

縦型タンクの液位と容量

液面が胴の範囲にあれば、下の鏡板の容量に胴の円柱の分を足すだけです。

縦型タンクの液量[m³]

$$V=V_{h0}+\frac{\pi}{4}D^{2}h$$

式は横にスクロールできます

V:液量[m³]、Vh0:下の鏡板1枚の容量[m³]、D:内径[m]、h:下のTLから液面までの高さ[m]

例として、上下に2:1半だ円体鏡板が付いた縦型タンクで計算します。内径は2.0 m、TL間は3.0 mとします。全容量は胴の9.42 m³に鏡板2枚の2.09 m³を足して、約11.5 m³です。胴の範囲では、液位1 cmあたり31.4 Lずつ増えます。

下のTLから2.4 mまで液があれば、液量は1.05+7.54=8.59 m³です。この2.4 mを鏡板の底からの高さと取り違えると、TLからは1.9 mしかありません。液量は7.02 m³と出て、全容量の14 %に当たる1.57 m³がずれます。

液面計の0 %も、タンクの底にあるとは限りません。白石『化学プラントのプロセス設計』の蒸留塔の例では、液面ゼロが底から0.3 mです。液面計が示すのは、測定範囲の何%の高さかです(レベル計とレベルスイッチの記事)。容量に直す前に、0 %と100 %の位置を図面で確かめます。

液面が下の鏡板の中にあると、液位と液量は比例しません。この範囲は次の式で求めます。

縦型タンクの下の鏡板の中の液量[m³]

$$V_{h}=V_{h0}\,\frac{u^{2}(3-u)}{2} \qquad u=\frac{y}{a}$$

式は横にスクロールできます

Vh:鏡板の中の液量[m³]、Vh0:鏡板1枚の容量[m³]、y:鏡板の底からの液位[m]、a:鏡板の深さ[m]

2:1半だ円体と全半球形なら、この式は厳密に合います。10%皿形では、厳密に計算した値との差が鏡板の容量の最大2.4ポイントです。2:1半だ円体で鏡板の深さの半分(u=0.5)まで入れても、液量は鏡板の容量の31 %です。

横型タンクの液位と容量

横型の胴の液量は、円の弓形の面積に長さを掛けた値です。鏡板の液量は、冒頭の表の割合を鏡板の容量に掛けて出せます。

横型タンクの胴の液量[m³]

$$V_{s}=L\left[R^{2}\cos^{-1}\left(\frac{R-h}{R}\right)-(R-h)\sqrt{2Rh-h^{2}}\right]$$

式は横にスクロールできます

Vs:胴の液量[m³]、L:TL間の長さ[m]、R:内半径(D/2)[m]、h:底から液面までの高さ[m]

横型タンクの鏡板1枚の液量[m³]

$$V_{h}=V_{h0}\left(\frac{h}{D}\right)^{2}\left(3-2\,\frac{h}{D}\right)$$

式は横にスクロールできます

Vh:鏡板1枚の液量[m³]、Vh0:鏡板1枚の容量[m³]、D:内径[m]、h:底から液面までの高さ[m]

2:1半だ円体と全半球形なら、鏡板の式は厳密に成り立ちます。10%皿形に当てても、厳密に計算した値との差は鏡板の容量の0.2ポイント以内です。

例として、両端に2:1半だ円体鏡板が付いた横型タンクで計算します。内径は2.0 m、TL間は5.0 mです。全容量は胴15.71 m³と鏡板2枚2.09 m³を合わせた17.80 m³になります。液位を底から0.5 m(h/D=0.25)とします。胴の液量は3.07 m³、鏡板2枚は0.33 m³です。合わせて3.40 m³で、直径の25 %の高さでも容量は全体の19 %しかありません。

1.6 m(h/D=0.8)まで入れると15.35 m³で、全体の86 %です。上の方で液位の割合を容量の割合と読むと、残りの空きを多く見積もります。受け入れ量を決める場面では、あふれる側への読み違いです。全容量の90 %に当たる液位は、h/Dで0.84になります。

全容量と使える量

実際に出し入れできる量は、最高液位と最低液位の間に限られます。最低液位は、抜き出しのポンプが空引きしない高さです。

受槽や塔底の大きさは、この間の液で流量の何分ぶんをまかなえるか(滞留時間)で決めます。白石『化学プラントのプロセス設計』の設計例では、受槽は空から半分の高さまでで約5分です。塔底は液面ゼロから最高レベルまでで約3分を取っています。同じ本の目安では、横型の受槽の長さと径の比は3〜5です。

同じ『貯槽』は、実際に貯められる量を実容量と呼んでいます。固定屋根式では、泡消火設備の放出口の位置で液面の上限が決まります。タンクの呼び名にする称呼容量は、多くが実容量の端数を切り捨てた数です。

消防法と高圧ガス保安法の容量

危険物を貯めるタンクの容量は、内容積から空間容積を引いた量です(危険物の規制に関する政令 第5条)。空間容積は、原則として内容積の5〜10 %です(危険物の規制に関する規則 第3条)。第三種の消火設備の放射口をタンク内の上部に設けるときは、扱いが違います。放射口の下0.3 m以上1 m未満の面から上が空間容積です。特定屋外貯蔵タンクと岩盤タンクには、同じ条の第2項に別の決まりがあります。

内容積には、固定屋根の中の体積を入れません。浮き屋根のタンクで除くのは、屋根が機能を保って最も高く上がった位置の液面より上です。計算は胴と鏡板に分けて合計します。改正前の規則の式で出した値やCADの計算値、実測値も使えます(消防庁 消防危第42号)。

改正前の規則の横置き円筒の式は、鏡板の長さの3分の1を胴に足す形です。許可の書類の内容積がこの式で出した値なら、計算と合いません。例題の横型なら、この式では16.76 m³です。鏡板を半だ円体として計算した17.80 m³より、5.9 %小さく出ます。

一般高圧ガス保安規則の対象の貯槽なら、液化ガスの量にも上限があります。常用の温度で内容積の90 %までです(第6条・第18条)。法令の要求は、所轄の行政と最新の条文で確かめてください。

温度による膨張と空き容量

液 10 ℃の密度 40 ℃の密度 体積の増え方
水 999.7 kg/m³ 992.2 kg/m³ +0.75 %
トルエン 876.2 kg/m³ 848.2 kg/m³ +3.3 %
メタノール 800.4 kg/m³ 772.2 kg/m³ +3.7 %

密度はNIST Chemistry WebBook(大気圧)の値です。例として10 ℃で10 m³受け入れたトルエンは、40 ℃で10.33 m³になります。95 %まで張ったトルエンが30 ℃温まると、空間容積5 %の6割あまりを使う計算です。上限の液位は、液が最も温まる条件の体積で決めます。

計算でまちがえやすい点

  • 内径で計算します。例として内径2.0 m・板厚10 mmのタンクを外径で計算すると、胴の容量は2 %大きく出ます。
  • ノズル・マンホール、内部のコイルや撹拌機の体積は式に入りません。厳密な量が要るときは、実測した容量表を使います。

参考資料

  1. 消防庁危険物保安室長通知「タンクの内容積の計算方法について」消防危第42号(2001年3月30日) https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/130330kiho42.pdf
  2. 危険物の規制に関する政令 第5条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/334CO0000000306
  3. 危険物の規制に関する規則 第2条・第3条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50000002055
  4. 一般高圧ガス保安規則 第6条・第18条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50000400053
  5. 堺市消防局「堺市危険物規制審査基準」別記25 タンクの内容量の計算方法 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/31516920240318101556756.files/beltuki25.pdf
  6. 化学工学協会 編『プロセス機器構造設計シリーズ5 貯槽』丸善(1971)pp.53〜55、pp.86〜88
  7. 化学工学協会 編『プロセス機器構造設計シリーズ2 塔槽類』丸善(1970)pp.169〜170
  8. 白石浩『化学プラントのプロセス設計-化学プラント工学入門-』分離技術会(2011)pp.108〜112
  9. JIS B 8247:2016「圧力容器用鏡板」
  10. 日本鏡板工業「製品情報」正半だ円形鏡板・近似半だ円形鏡板 https://www.nkweb.co.jp/products/500 、 https://www.nkweb.co.jp/products/508
  11. NIST Chemistry WebBook, SRD 69「Thermophysical Properties of Fluid Systems」 https://webbook.nist.gov/chemistry/fluid/

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