SMKLとは
SMKL(Smart Manufacturing Kaizen Level)は、製造業におけるデジタル化の進行度を評価し、改善を促進するためのフレームワークです。
特にスマートファクトリー化の進捗を可視化し、具体的なアクションプランの提案を可能にします。
2軸で可視化する
SMKLは、製造プロセスを2つの主要な軸で可視化します。
- 第1軸:管理対象のレベル
- 第2軸:みえる化のレベル
各軸は4段階に分かれており、2軸で16種類に区分されます。
2D平面上で可視化できることから、自社の現状と改善の方向性を簡潔に理解できます。
第1軸:管理対象のレベル
第1軸は「管理対象のレベル」に焦点を当てており、以下の4段階に分けられます。
- 設備・作業者:個々の設備や人など最小単位
- ライン:一連の製造における設備や人のひとまとまり
- 工場全体:物流などを含めた工場全体の設備や人
- サプライチェーン全体:材料購入先や物流会社、販売会社、顧客などを含めたサプライチェーン全体
この軸により、どの範囲にまでみえる化が進められているのかを明らかにします。
第2軸:みえる化のレベル
第2軸は「みえる化のレベル」に焦点を当てており、以下の4段階に分けられます。
- データ収集:センサーなどにより必要な情報が収集できている
- 見える化(可視化):データを表やグラフで自動表示できている
- 観える化(分析):可視化されたものに基準や差異の確認ができ、通知も発生する
- 診える化(改善):対処が必要な差異に対し、自動で人や設備にフィードバックする
この軸により、みえる化がどのレベルで行われているかを明らかにします。
特に見える化(可視化)は手動では無く自動で表示されることが要件になっています。
表現イメージ
SMKLを用いて以下のような表現をします。
SMKLの活用方法
SMKLの活用方法を紹介します。
利用者目線、ベンダー目線の2種類があります。
現在地点と目標地点の明確化
SMKLを活用することで、デジタル化の「現在地点」を明確にし、「目標地点」を設定できます。
これにより、具体的な改善目標とそれを達成するための道筋が明確になり、効率的かつ効果的な改善活動を行うことが可能になります。
特に決裁者への説明がしやすく、設備投資をするための説明手段として非常に優秀です。
ベンダー企業の販売強化
ベンダー企業にとっても、SMKLは重要なツールです。
そもそも、ユーザーから具体的な目標が提示されず相談をされることも多々あります。
その際に全体像や具体的な取り組みを説明できることで、ニーズに合った製品やサービスを提案し成約に繋げます。
SMKL白書にベンダー活用基礎編とベンダー活用応用編の2種類があり、学びやすい環境が整っています。
取り組みが進んでいる例
プラントにAIを活用した事例が挙げられます。
例えば蒸留などの操作をパラメータ操作も含めて自動で行わせます。
人よりも運転が安定し、エネルギー効率も向上しています。
見える化の指標
見える化する指標としてISO 22400のKPIが推奨されています。
これらを活用しつつ、自社に合った指標を使用します。
参考にリストにして紹介します。
生産性指標
- 労働生産性
- 負荷度
- 生産量
- 負荷効率
- 利用効率
- 設備総合効率
- 正味設備効率
- 設備有効性
- 工程効率
品質指標
- 品質率;良品率
- 段取率
- 設備保全利用率
- 直行率
- 廃棄度合
- 廃棄率
- 工程利用率
- 手直率
- 減衰率
能力指標
- 機械能力指数:Cm
- クリティカル機械能力指数:Cmk
- 工程能力指数:Cp
- クリティカル工程能力指数:Cpk
環境指標
- 材料使用率
- 有害物質
- 危険物質廃棄率
- 総合エネルギー消費量
在庫管理指標
- 在庫回転率
- 良品率
- 総合良品率
- 製品廃棄率
- 在庫輸送廃棄率
- その他廃棄率
保全指標
- 設備負荷率
- 平均故障間隔
- 改良保全率
参考資料
オススメ書籍
・データビジュアライゼーションの教科書
"ビジネスで活用できる"可視化の考え方を分かりやすく解説しています。
データサイエンティストじゃない、Python使わない、そんな方でも絶対読んで欲しい書籍です。
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データビジュアライゼーションの教科書
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・データ可視化学入門
あらゆるデータに対する可視化の方法が網羅的に解説されています。
更に、可視化する指標を何にするか?といった前段の部分から深堀されており、データを見ることに特化した非常に分かりやすい書籍です。
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指標・特徴量の設計から始める データ可視化学入門 データを洞察につなげる技術
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・Microsoft Power BI入門
もしExcel以外のソフトで可視化しダッシュボードを作りたい場合はMicrosoftのPower BIがオススメです。
中でも「Microsoft Power BI入門」は初学者向けに操作方法以前の基本情報から解説してくれます。
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