令和5年度 問24

次の記述の下線部A~Eのうち、不適切なものの組合せはどれか。

 X線回折計を用いることで物質の結晶構造を知ることができる。測定データを標準物質のデータファイルと照合することで、物質を同定することができる。(A)同じ組成の化合物の多形を同定することができる。
 結晶構造が既知であれば、精密な格子定数を求めることができる。(B)格子定数と組成の間に連続的な関係があるときは、格子定数を精密に測定することで成分の濃度を求めることが可能である。
 回折線の広がりを測定することで、結晶性の良否を調べることができる。例えば、(C)多結晶粉末の結晶子径が0.2 µm程度より大きいとき、回折線の広がりから結晶子径を求めることができる。
 (D)複数の結晶性物質が混合している場合、その構成比を推定することは困難である。
 (E)繊維状の結晶粒子が配向した材料では、回折線により強度が変化することから。配向性を評価することができる。

選択肢

  1. A、B
  2. A、E
  3. B、C
  4. C、D
  5. D、E

解答解説

正答は4番です。

X線回折計は、試料にX線を照射した際の散乱や回折を解析する測定装置です。この測定で、化学構造は同じでも異なる結晶の構造(多形)を見分けられます(A)。

結晶子は微細な単結晶です。X線による回折線の広がりは 0.1 µm 以下になると著しくなり、結晶子径を回折角のピークの半価幅から求められます(C)。

また未知物質の同定にも使われます。複数の化合物が混合していた場合でも、それぞれの構造を知ることができます(D)。得られる回折パターンは物質特有であり、データベース検索により物質を同定できます。

参考資料

X線回折装置の原理と応用 | JAIMA 一般社団法人 日本分析機器工業会
X線回折装置の原理と応用

www.jaima.or.jp

結晶子|粉体工学用語辞典
結晶子

www.sptj.jp

未知物質の同定(XRD)  | 株式会社東ソー分析センター
未知物質の同定(XRD)

www.tosoh-arc.co.jp

2024年3月11日 広告

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