次の記述の、【 】に入る語句の組合せとして、適切なものはどれか。
熱可塑性エラストマーは、多くの場合、高分子主鎖が【 A 】共重合体になっており、持続長が長く硬い成分(ハードセグメント)と持続長が短く柔らかい部分(ソフトセグメント)から構成されている。また、両方の成分は【 B 】であるために【 C 】相分離構造を形成し、ハードセグメントが結晶化などによって凝集することによって擬似架橋点を形成する。一方、ソフトセグメントは一般にガラス転移温度が低く、常温では激しくミクロブラウン運動をしているため、【 D 】特性を示す。なお、高温では両者のセグメントの混合【 E 】の寄与がハードセグメントの凝集エネルギーよりも大きくなるため、一様相に転移が起こる。その結果、汎用プラスチックと同様に加熱によって溶融することになる。
選択肢 | A | B | C | D | E |
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1 | ブロック | 相溶 | ミクロ | 可塑性 | エンタルピー |
2 | ランダム | 相溶 | マクロ | 弾性 | エントロピー |
3 | ランダム | 非相溶 | ミクロ | 可塑性 | エントロピー |
4 | ブロック | 非相溶 | ミクロ | 弾性 | エントロピー |
5 | 交互 | 非相溶 | マクロ | 弾性 | エンタルピー |
解答解説
正答は4番です。
エラストマーはゴム弾性を有する工業用材料の総称です。特に熱可塑性エラストマーは熱可塑性プラスチックの加工上の利点と、エラストマーの性能特性を兼ね備えています。これはひとつのポリマー鎖にハードセグメントとソフトセグメントを持つブロック共重合体であることに起因します(A)。共重合とは、2種類以上のモノマーを用いて行う重合を指します。
二つのセグメント同士は任意の割合で均一に混ざりあわない(非相溶性:B)ため、ミクロ相分離構造を形成します(C)。ちなみにマクロ相分離は、異なる種類の高分子鎖を混ぜた時に水と油のように分離する、スケールの大きな分離を指します。
ハードセグメントは熱可塑性を左右する易加工性や耐熱・耐寒性、耐薬品性などの材料特性を有します。ソフトセグメントはゴム弾性を左右する硬度や柔軟性などの材料を有します(D)。
ハードセグメントのガラス転移点もしくは融点以上の高温では、分子の運動が活発化し混合エントロピーが増大することで一様相に転移します(E)。架橋ゴムのエラストマーは再溶融して加工できないため、熱可塑性エラストマーの優位な特徴と言えます。
参考資料
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熱可塑性エラストマーとは?
www.elastomer.kuraray.com
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RAFT重合とミクロ相分離
www.cmpt.phys.tohoku.ac.jp
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熱可塑性エラストマー
www.jstage.jst.go.jp