潤滑油の基油に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
- 潤滑油用基油は、入手性やコストの面で石油系潤滑油基油はあまり使われない。
- ナフテン系基油は、摩擦・摩耗を低減する性能が要求される潤滑油に広く採用されている。
- パラフィン系基油は、電気絶縁油や冷凍機油など基油自体に低温性能が求められる潤滑油に利用されている。
- 石油系潤滑油の中で高粘度指数基油は、改質プロセスを利用し、硫黄分や芳香族炭化水素成分を低くしたものである。
- 潤滑油には様々な添加剤が使用される。一般的な自動車用潤滑油は5~25%の添加剤が配合されるのに対し、一般的な工業用潤滑油は5%以下と配合量が少ない。
解答解説
正答は5番です。
1番の潤滑油用機油は、入手性やコストの面で主に石油系(鉱油)が用いられます。鉱油では対応できない条件(高温安定性や温度-粘度特性等)が求められる場合に合成油が採用されます。
2番のナフテン系(シクロアルカン)基油は、粘度指数は低いものの低温流動性が優れている(流動点が低い)ため、電気絶縁油や冷凍機油などに用いられます。3番のパラフィン系(アルカン)基油は、粘度指数が高いのに対し一般的に流動点も高く、摩擦・摩耗を低減する性能が求められる潤滑油に用いられます。そのため2番と3番の内容が逆です。
4番の高粘度指数基油は、水素化精製(水素化脱硫)装置にて、原油の蒸留留分に含有する不純物(特に硫黄分)を取り除きます。またその際に炭化水素も反応し、飽和や水素化分解などが起きます。ちなみに問いに記載の改質プロセスは、重質ナフサのオクタン価を高め芳香族主体のガソリン基材に改質(リフォーミング)する工程です。
5番の添加剤比率は使用環境が影響しています。自動車用潤滑油では、エンジン内およびその周辺の高温・高荷重環境下で適切な潤滑性能を発揮するために、多くの添加剤が配合されています。一方、工業用潤滑油は用途が自動車に比べるとシンプルことが多いため、少ない添加剤で済みます。
参考資料
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オイル・グリースの基礎知識
www.nokklueber.co.jp
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各種潤滑油の製造に使われるベースオイルの品質性状 | ジュンツウネット21
www.juntsu.co.jp
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パラフィン系基油とナフテン系基油の相違について
www.jalos.jp