令和4年度 問22

代表的な無機化合物の結晶構造に関する次の記述のうち、下線部が最も不適切なものはどれか。

  1. 塩化ナトリウム構造:1 Na+とCl-の2つの面心立方格子を組合せた構造である。MgOはこの構造を持つ。
  2. 蛍石構造:2 面心立方格子の各格子点に1個のCa2+と2個のF-が対になって配置された構造で、単位格子当たり12個のイオンを含む。3 UO2はこの構造を持つ
  3. ペロブスカイト構造:ABO3の組成式を持つ化合物で、Aイオンが酸化物イオンの大きさ程度まで大きくなると、Aイオンがつくる単純立方格子の面心位置に酸化物イオンが配置され、4 両イオンに囲まれた体心位置に、イオン半径の大きなBイオンが配置される
  4. 閃亜鉛鉱型構造:ダイヤモンド型立方構造の2つの原子位置をZn2+イオンとS2-イオンに置き換えた構造である。5 この構造は面心立方格子の格子点に、正負に帯電した2個のイオンを配置した構造と考えることもできる

解答解説

正答は4番です。

ペロブスカイト構造はABX3の組成式を持つ化合物で、Aは大きな陽イオン、Bは小さな陽イオン、Xは陰イオンを表します。BはXに八面体型で囲まれています。更にAはBX八面体に囲まれています。両イオンに囲まれた体心位置に配置されるのは、イオン半径の小さなBイオンです(4番)。

NaCl構造は、Na+とCl-の2つの面心立方格子を組み合わせた構造です。MgOは塩化ナトリウム構造を取りますが、ZnOは通常、ウルツ鉱型構造(六方晶系)を取ります(1番)。

蛍石構造(フッ化カルシウム、CaF2の構造)は、イオン性化合物に見られる重要な結晶構造の一つです。Ca2+イオンが面心立方格子を形成し、F-イオンがCa2+イオンに対し四面体となるような形で入りこんでいます。単位格子には8個のCa2+イオンと4個のF-イオンで構成されています(2番)。UO2、ThOなどがこの構造を取ります(3番)。

閃亜鉛鉱型構造は、ダイヤモンド型立方構造を基にしています。Zn2+イオンとS2-イオンがそれぞれ面心立方格子の格子点の半分を占めます。そのため各イオンは反対の電荷を持つ4つのイオンに四面体的に囲まれた状態になります(5番)。

参考資料

https://www.sc.u-tokai.ac.jp/katsumatalab/kougi/ceram5.pdf
ニューセラミックス プリント5

www.sc.u-tokai.ac.jp

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2024年3月11日 広告

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