令和2年度 問31

 メタンから水素を作る改質炉メタンから水素を作る改質炉では、原料メタンの改質反応の反応熱を、熱源メタンの燃焼熱で補給して、所定の反応温度を保つ。
 原料メタンの改質反応(吸熱反応)CH4(g)+H2O(g)→CO(g)+3H2(g)(1)
 熱源メタンの燃焼反応(発熱反応)CH4(g)+2O2(g)→CO2(g)+2H2O(g)(2)
以下の各成分の標準生成エンタルピーΔrH°から推算して、原料メタン1.0 molに対して必要な熱源メタンの量として最も近い値はどれか。

ガス種CH4(g)H2O(g)CO(g)H2(g)O2(g)CO2(g)
ΔrH°[kJ・mol-1-74.8-241.8-110.500-393.5
  1. 1.0 mol
  2. 0.75 mol
  3. 0.50 mol
  4. 0.25 mol
  5. 0.10 mol

解答解説

正答は4番です。

反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を計算する際は、生成物の標準生成エンタルピーの和から反応物の標準生成エンタルピーの和を引きます。酸素や水素は単体元素であり最も安定な形態であるとみなし、標準状態での単体元素の標準生成エンタルピーは定義上0 kJ/molとされています

原料メタンの改質反応に伴うエンタルピー変化は-110.5 - {-74.8+(-241.8)}=206.1 kJ/molです。値がプラスなため吸熱反応です。

熱源メタンの燃焼反応に伴うエンタルピー変化は{-393.5+(-241.8 × 2)} - (-74.8)=-802.3 kJ/molです。値がマイナスなため発熱反応です。

両反応はメタン1 molに対する反応熱ですので、(発熱反応量)/(吸熱反応量)=206.1/802.3=0.26倍、つまり0.26 molの熱源メタンが必要になります。最も近い値は0.25 molです。

2024年3月11日 広告

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