次の記述の下線部1~5に関して、最も不適切なものはどれか。
X線回折図計は物質の結晶構造を反映する。したがって、1 標準物質のデータファイルと照合することで、物質を同定することができる。複数の結晶性物質が混合している場合、その構成比を推定することができる。また、結晶の格子面間隔を正確に測定することが可能で、結晶構造が既知であれば精密な格子定数を求めることができる。これを利用して、2 固溶体の組成を決めることができる。
回折線の広がりを測定することで、結晶性の良否を調べることができる。例えば、3 多結晶体の構成粒子が数組だと、回折線の広がりから結晶子怪を求めることができる。また。4 繊維状の結晶粒子が配向した材料では、回折線により強度が変化することから、配向性を評価することはできない。
リートベルト(Rietveld)法は、粉末試料の回折パターンを計算による回折バターンと比較して結晶構造を解析する手法で、5 単結晶試料が得られない場合でも結晶構造が予想されていれば、構造を精密化できる。
解答解説
正答は4番です。
繊維状の結晶粒子が配向した材料では、回折線の強度が変化を利用して配向性を評価することができます。
X線回折計は、試料にX線を照射した際の散乱や回折を解析する測定装置です。この測定で、化学構造は同じでも異なる結晶の構造(多形)を見分けられます(1番)。
複数の化合物が混合していた場合でも、それぞれの構造を知ることができます。固溶体の組成は格子定数の変化(2番)から、結晶子サイズは回折線の広がりから(3番)求めることができます。
また未知物質の同定にも使われます。複数の化合物が混合していた場合でも、それぞれの構造を知ることができます。得られる回折パターンは物質特有であり、データベース検索により物質を同定できます。
参考資料
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X線回折装置の原理と応用
www.jaima.or.jp
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結晶子
www.sptj.jp
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未知物質の同定(XRD)
www.tosoh-arc.co.jp