酸化アルミニウム(アルミナ)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- アルミナの工業的製造法はバイヤーによって考案された。
- 工業的製造では、水酸化ナトリウム溶液を用いて粉砕したボーキサイト原鉱を加圧下で加熱抽出する。
- 工業的製造では中間生成物の水酸化アルミニウムを高温で焼成してアルミナとする。
- アルミナの天然鉱物はコランダムと呼ばれ、含まれる不純物によりルビー、サファイア等となる。
- ルビーやサファイアの単結晶はチョクラルスキー法を用いて人工的に製造される。
解答解説
正答は5番です。
アルミナの工業的製造法であるバイヤー法は、1887年にオーストリアの化学者カール・バイヤーによって発明されました。水酸化ナトリウム(か性ソーダ)溶液を用いて粉砕したボーキサイトを加圧下で加熱抽出することでボーキサイト中のアルミナ分が溶け出します。その後、中間生成物である水酸化アルミニウムの結晶を取り出し、約1,000℃前後の温度で焼成してアルミナ(Al2O3)を生成します。
アルミナの天然鉱物はコランダムと呼ばれます。純粋なコランダムは無色透明ですが、含まれる不純物の種類によって様々な色を呈し、宝石として珍重されます。ルビーはアルミナを主成分とし、微量のクロムを含み赤色を呈します。サファイアも主成分はアルミナですが、チタンや鉄を含み青色を呈します。
5番の内容も大きく間違えてはいないのですが、チョクラルスキー法以外にもヴェルヌイユ法、フラックス法、熱水法もあります。またチョクラルスキー法は主に高品質な単結晶シリコンの製造に広く使用されています。その他の選択肢も誤りではないため、最も不適切な内容として5番が選ばれたと考えます。
参考資料
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アルミニウムの製造工程
www.aluminum.or.jp
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結晶製法・育成
www.shinkosha.com