シクロアルカンに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- シクロヘキサンがいす形配座となる場合、シクロヘキサン環についた官能基にはアキシアル位とエクアトリアル位の2種類の位置がある。
- シクロヘキサンの6つのアキシアル位は隣に垂直、つまり環の軸と平行であり、もとのエクアトリアル位は環の赤道周りで、魔のおおよその平面内にある。
- trans-1, 2-ジメチルシクロヘキサンでは、2つのメチル基がともにアキシアルの立体配座の方が、メチル基がともにエクアトリアルの配座よりも安定である。
- シクロアルカンが環構造を持つので、側面から見てシクロアルカンには“上”の面と“下”の面の2つの面があり、置換シクロアルカンでは異性体が可能になる。
- シクロアルカンの命名をするときは、環の炭素の数と最大の置換基の炭素の数を比べる。もし、環の炭素の数が置換基における数と同じか若しくは多ければ、アルキル置換シクロアルカンとして命名し、もし最大の置換基が環よりも多くの炭素を持つときには、シクロアルキル置換アルカンと命名する。
解答解説
正答は3番です。
シクロヘキサンは立体構造を説明するときに取り上げられる代表的な分子です。炭素同士の結合角がsp3炭素の理想の結合角109.5°四面体角に近くなるよう、安定ないす形配座をとります。
シクロヘキサンに結合する水素原子や置換基は、環に対し垂直なアキシアル位と平行(平面)なエクアトリアル位の2種類に分けられます。
更に、ジメチルシクロヘキサンのような2置換シクロヘキサンには、環の平面に対し同じ側を向いているシス体と異なる方を向いているトランス体の2種類も存在します。ただし両方アキシアル位だからシス体というわけではなく、環の上下どちらかにあるかに注目します。構造上、シス体・トランス体それぞれにアキシアル・エクアトリアルが交互に3つずつあります。
アキシアル位に置換基がある場合、隣の置換基と立体的に干渉してしまい構造的にひずんでしまいます(1,3-ジアキシアル相互作用)。そのためアキシアル位よりもエクアトリアル位に置換基がある方が安定化します。3番が誤りです。
5番の命名規則に関しては、結合している炭素原子の数が一番長くなるものを主骨格と考えて命名します。
参考資料
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有機化学基礎 講義資料 第10章「シクロヘキサンの立体配座」
www1.meijo-u.ac.jp