令和元年度 問17

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ラジカル重合についての次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. バルク重合とは、液状モノマーをそのまま、あるいは開始剤を加えて、加熱、光や放射線照射しながら重合させる方法である。高分子量ポリマーは得られにくい。
  2. 溶液重合とは、モノマーを適当な溶媒に溶かして重合する方法で、生成するポリマーも溶媒に溶解するため均一系で進行する。バルク重合に比べると重合速度が低い。
  3. 懸濁重合とは、油溶性のモノマーを水中でかきまぜて分散した状態で加熱して重合する方法である。分散剤として少量の水溶性ポリマーを加える。
  4. 乳化重合とは、乳化剤を加えて油溶性のモノマーをミセル化し、水中で重合する方法である。水溶性の開始剤から発生したラジカルが、ミセル内に飛び込み、重合反応はミセル内で進行する。
  5. 固相重合とは、モノマーを固体状態のまま光や放射線を照射する、あるいは融点以下で加熱して重合する方法である。モノマーの結晶状態を反映してポリマー鎖が配向した結晶の形で生成する。



解答解説

正答は1番です。

ラジカル重合は、ラジカル発生剤を用いてモノマーにラジカルを発生させ重合を行う方法です。反応系内の状態によって様々な重合方法があります。

重合方式モノマー
バルク重合液状モノマーをそのまま使用
溶液重合溶媒に溶解させる
懸濁重合油溶性モノマーを水に分散させる
乳化重合油溶性モノマー水に乳化分散させる
固相重合固体状態のまま使用

1番のバルク重合は液状モノマーをそのまま使用する濃い状態であるため、高い反応性を示します。そのため重合熱の徐熱など温度制御が重要となり、加熱ではなく冷却が必要です。

参考資料

https://www.djklab.com/parts/service/pdf/polymer-radical-1.pdf
㈱DJK 技術資料 ラジカル重合

www.djklab.com

2024年3月10日