気温36.0℃、水蒸気分圧p[kPa]の空気中の水滴温度(湿球温度)がTa=29.0℃であった。水滴表面の水蒸気分圧paは水滴湿度の飽和蒸気圧であり、ps=3.95 kPaである。また36.0℃での飽和水蒸気圧はp*=5.92 kPaである。
空気から水滴表面への顕熱移動速度qs[W/m2]は次式で求められる。
qs=h(T-Ts) (h=13.2 W/(m2K):伝熱係数)
一方、水蒸気分圧差を推進力とする水の蒸発速度N[mol/(m2s)]は次式である。
N=k(ps-p) (k=0.0056 mol/(m2 s kPa):物質移動係数)
これより水滴表面での潜熱移動速度ql[W/m2]は次式である。
ql=ΔνH×N (ΔνH=43720 J/mol:水の蒸発潜熱)
顕熱移動と潜熱移動が等しいこと(qs=ql)から空気中の水蒸気分圧pが求められる。以上よりこの空気の相対湿度(=100×(p/p*))として最も近い値はどれか。
- 30%
- 40%
- 50%
- 60%
- 70%
解答解説
正答は4番です。
飽和水蒸気圧p*は与えられているため、残る水蒸気分圧pを求める問題です。内容は複雑ですが、問題文に与えられた式を計算するだけで回答が導けます。
顕熱移動と潜熱移動が等しいこと(qs=ql)と問題に記載されており、h(T-Ts)=ΔνH×Nが立式できます。更にN=k(ps-p)であるため、h(T-Ts)=ΔνH×k(ps-p)となります。この式に与えられた値を代入します。
h(T-Ts)=ΔνH × k(ps-p)
13.2(36.0-29.0)=43720 × 0.0056(3.95-p)
p=3.57 kPa
よって、相対湿度は100 × (3.57/5.92)=60.3%、最も近い値は60%です。